私は税理士になる前に10年近く様々な会社で経理の仕事をしてきました。

地味・細かい・面倒なイメージのつく経理。

そんな仕事を10年間行って、今度は税理士という外部の立場から会社と向き合うことになって気づいたこと。

それは「経理の仕事はブラックボックス化しやすい」ということです。

その理由を書いてみます。

経理の重要性が浸透していない

経理の仕事自体から、利益は生まれません。

私は外資系企業に長らくいたので、こういった部門のことを営業、開発などが「プロフィットセンター」と呼ばれるのに対し、「コストセンター」と呼ばれていました。

なんとなくこの呼び方に負い目(私は利益を生み出さないのか・・)などと考えていましたが、

今は、違った考えを持っています。

確かに経理の仕事から直接利益は生み出せませんが、会社を存続していくために、

  1. 会社のお金を守る
  2. 法律に基づいて外部に数値を報告する(税務申告含む)
  3. 経営の意思決定に役立てる

という3つのことに必須の仕事だからです。

経理部に人が入ってきたら、まずこの3つを「経理の役割」として伝えるべきだと考えます。

そうでないと「ただの事務屋さん」としてのイメージばかりになってしまいます。

メタボ化しやすい

様々な会社の経理部で仕事をしてきましたが、正直どこもメタボ化(人が多すぎる)している気がしました。

経理は、「最小の人数」で回すべきだと思っています。

パーキンソンの法則のように、人がいればいるほど業務が膨張する仕事だと思っています。

(いらない資料を作ったりだとか)

そして、経理の仕事は「属人化」しやすいのも特徴です。

「前任者がやっていたから」となんとなく続けていた仕事がなんの意味もない仕事だった、

なんていうこともありました。

このような属人化した環境では効率化の意識も低くなるでしょう。

社長自身が経理をやっているうちは効率化しなければ本業に時間が取れないので、こういったことはおきません。

事業が拡大し、誰かを経理に任せたあと、100%任せっぱなしにするのではなくメタボ化を防ぐためにもフォローが必要です。

外部から見えづらい

税理士など外部の専門家が見るのはできあがった帳簿だけです。

その前のプロセス(どのように証憑を集め、経費精算し、給与計算し、請求書を発行・送付し、外部の請求書を処理しているかなど)は見えません。

こういったプロセスはフローチャートにまとめるなど、なるべく「見える化」することが大事だと思っています。

慢性的に業務量が多い場合どこかがボトルネックになっているはずです。

一度経理業務をゼロベースから考えてみると、思わぬボトルネックが発見できるかもしれません。

まとめ

経理の仕事がブラックボックス化しやすい原因を考えてみました。

私は正直、小さな会社で社長に近いところで経理として働いていた時は「仕事をしている」感覚がありましたが、大きな会社になったとたんに「仕事の仕事をしている」感覚に陥ってしまいました。

それは自分が会社の歯車になりすぎて、本来の経理の仕事の価値を見失っていたからだと思います。

経理は会社の運営に欠かせない戦略的な仕事です。

利益に直接貢献しない、ということでつい見落としがちですが、経理が強い会社は儲ける力も強いと考えています。

編集後記

以前、スポットで確定申告のご依頼をいただいた方からまたご依頼が。

ありがたいです。

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