私は税理士になる前は一般企業で経理の仕事をしていました。

業務上エクセルを毎日のように使っていたため、様々な人が作ったエクセルの表を見てきました。

エクセルのシート一つ見てもその作成者の正確が表れるので結構面白いです。

面白いだけならいいですが、業務上「困るエクセルの表」も何度か見てきました。

いくつか挙げてみたいと思います。

データ領域を直接加工してしまっているシート

前にも記事で書きましたが、経理では月次決算のためにシートを月ごとに分けて作成しているものが多いです。

それに加えて累計だけを表示したシート、一定の科目だけを表示したシートなどを分けて作成しているので矢印ボタンを使わなければ最後のシートまでいけないことも・・。これは結構ストレスです。

一番問題なのは、「新規にシートを作って、前月残を繰り越して・・」という単純作業を毎月何も考えずに行ってしまうことです。

自分で会計ソフトから落としてきたデータなのに、直接加工しすぎて途中から数字が合わなくなり大騒ぎしている人もいました。

データ領域(会計ソフトから落としてきたデータなど)は一切手を加えずに、見せ方(アウトプット)を様々な形で変える。これがエクセルシートを作る際の基本となります。

ピボットテーブルを使えば、月ごと、累計のデータのみを瞬時に抽出することができますし、月次推移表なども簡単に作ることができます。

見えない(非表示)データがあるシート

見せたくないデータをわざわざ「非表示」にしてしまっているシートがあります。

例えば、前期には残高があった科目だけど、当期には残高がない科目。

見た目にこだわる完璧主義の方が作るシートに多い気がします。

作った本人には見やすい表なのかもしれませんが、「非表示」は他の誰かがそのシートを使用することを考えれば避けた方が無難です。

昔、計算式は合っているのになぜか合計がずれているという事態に直面して数時間悩んだ挙句、「非表示」となっていたセルに数値が入っていたことがありました・・。

今でのそのトラウマか、非表示になっているデータを見つけたら速攻ですべて表示するようにしています。

(単に、「見えないデータ」があると不安になるという理由もありますが・・。)

どうしても見せたくないデータがあるのであれば、非表示ではなく「グループ化」をすることをお勧めします。

グループ化されたデータはプラス、マイナスマークではっきりと表示されますので他の人が見ても「ここにデータがあるのだな」と認識させてくれます。

エラーを表示させないようにしてしまっているシート

ISERRORという関数を使うと、数式でエラーが発生したときの表示を変えることができます。

一番多いのが、エラーが発生したセルは空白表示するというものです。

例えば、A1の数式結果がエラーであった場合に空白表示するときは次のとおりとなります。

=If(iserror(A1),””,A1))

 

DIV! 、Value!、NAME?などエラーがずらーっと出てくると確かに見た目は汚いのでなくしたくなりますよね。

しかし逆に言えば、空白になってしまったらエラーの原因が分からないのです。

先ほどの問題シートとも重なりますが、第3者から見た場合、「悪い(必要ない)情報も、見えていたほうが安心」なのです。

エラーを表示してくれるということは原因をつきとめるヒントをもらえるということです。

見た目を重視して無理に「エラーはなかったもの」としてしまうと根本的な解決にならない場合があります。

セルの結合を多用しているシート

個人的に、とてもストレスのたまるシートです・・。

セルの結合を発見したら速攻解除します。

自分だけが使うもの、単発的に使うシートを除きセルの結合は避けた方が無難です。

なぜかというと、セルの結合をしてしまうとデータ領域として利用できないからです。

アクセスを使われたことがある方であればご存知かと思いますが、データ領域である「テーブル」はあらかじめデータの型(数値や、文字列など)を決めなくてはならず、一つのフィールド(列)に、二つ以上のデータはあり得ません。

なのでエクセルも同様、データ領域として使うシートは原則生データ(会計ソフトから落としてきたデータ、CSVデータなどの統制されたデータ)でなければなりません。なぜならピボットテーブルなどのアウトプットをするための参照データとして使用できないからです。

結合されたセルは見た目には良いかもしれませんが参照データとして使えないという致命的な問題があります。

他のエクセルブックからの参照式が入っているシート

ヘッダーに「リンクが含まれています」と出た途端に「ううっ」となります・・。

その場合、いちいちどこがリンクしているのかセルを見ていかなければなりません。

セルに長い参照式が入っているだけでもう見たくなくなります。

他のエクセルブックから数値を参照している場合、そのエクセルブックを削除してしまったらもちろん参照しているセルはエラーになります。

自分は分かっていても、誰か他の人が誤って消してしまうかもしれません。

リスクを回避するためにもせめて同じブックからの参照だけにした方が良いと思います。

手計算に近いシート

今までである意味「最強だ」と思ったのがこのシートです。

実は、最近見たシートです。

通常、同じ計算式をコピーしたい場合には「オートフィル」機能を使うと思います。

しかし、そのシートは「合計欄」をどうやら手で「A1+B1+C3+D4+・・」と足していっているようなのです。

文字で説明するのがとても難しいのですが。集計すべきデータが一列に並んでいないのです(想像できますでしょうか・・)。

当然オートフィルを使っても合計がコピーされていきません。

見ているだけで震えてきそうなシートでした・・。ある意味方眼紙に数値を書いて電卓で手計算を行った方が早いと思います。

エクセルで「手計算」をしているシートを見たのは初めてでした。

まとめ

今まで見てきた「困るエクセルの表」をまとめてみました。

最後のシートはちょっと問題外ですが、その他はよくあるパターンだと思います。

自分が作成したシートは自分だけではなく、他人も利用することが多いはずです。

自分以外の誰かがこのシートを使うかもしれない、と考えながらシートを作成するのはエチケットだと思います。

編集後記

私はクラシック音楽(特にピアノ)が好きです。(聞くのも、弾くのも。)

最近ピアノが弾きたくて仕方なくなってきました。

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実は、数年前電子ピアノ(10年以上使用)を持っていたのですが子供の机の置き場所に困り捨ててしまったのでした。

今は置き場所がないので買えませんが、「ピアノの一時貸」みたいなのをやっている教室があったら行きたいと思っています。

習い事に勧誘されるのでは、と思いなかなか踏み出せませんが^^;;

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