消費税の基本構造

消費税は、基本として預かった消費税から支払った消費税を控除して納付税額を求めます。

ただし、支払った消費税を全額控除できるのかというとそうではありません。

例えば、不動産賃貸業の売上構成を考えてみます。

売上の内容は賃貸収入(住宅・事務所)が主となりますが、このうち住宅の貸付け収入に関しては政策上の観点から消費税は非課税となります。

非課税売上に対応する仕入れ(住宅用賃貸物件の管理費、原状回復工事費用など)は、預かった消費税がないので納付税額の計算上控除することもできません。

売上に占める非課税売上の割合が大きければ大きいほど控除できる消費税額も少なくなるという仕組みです。

控除できる消費税額を簡易に示すと以下のとおりになります。

控除できる消費税額=支払った消費税額 × 課税売上割合(全体の売上に占める課税対象売上の割合)

毎年全体の売上に占める課税売上割合がほぼ変わらないのであれば問題ありませんが、たまたまその事業年度に限って大きな非課税売上が発生する場合(不要となった土地の売却等)はどうなるのでしょう。

臨時的な要因であるにもかかわらず、その年だけ控除できる消費税額が極端に少なくなってしまいます。

このような場合に用意されている制度が「消費税課税売上割合に準ずる割合」です。

課税売上割合に準ずる割合とは?

「課税売上割合に準ずる割合」とは、たまたま非課税売上高が多くなった事業年度に採用すべき合理的な課税売上割合です。

部門別や経費別などで厳密に計算する方法もありますが、前3年課税期間の課税売上割合の平均と前課税期間の課税売上割合のうち低い方を用いることが認められています。(国税庁質疑応答事例:たまたま土地の譲渡があった場合の課税売上割合に準ずる割合の承認 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/17/07.htm

これによってたまたま土地の譲渡等により非課税売上高の割合が高かった事業年度でも極端な納付税額の増加は防ぐことができ、通常の課税売上割合を用いて納付税額を計算することができます。(※)

(※)消費税の計算方法として簡易的な計算(一括比例配分方式)を採用している場合には少なくとも2年間継続して一括比例配分方式を利用した後でなければ、この課税売上割合に準ずる割合の制度は利用できません。

申請書の提出期限に注意

上記の「消費税課税売上割合に準ずる割合」を適用する場合には、「消費税課税売上割に準ずる割合の適用承認申請書」を承認を受けたい課税期間の末日までに税務署に提出します。

一般的な届出書は「適用を受けたい課税期間の前課税期間の末日」が原則ですがこちらは適用を受けたい課税期間の末日までとなっています。

ここで注意が必要なのがこちらの書類が「届出書」ではなく「申請書」であるという点です。

届出書であれば提出期限ぎりぎりでも出しておけばセーフですが申請書の場合税務署からの承認期間も含めての期限となります。

税務署の承認が出るのが大体提出してから1ヶ月程度なので、適用を受けたい課税期間の末日ぎりぎりに出しても承認が課税期間の末日までに出ない恐れがあります。

従って提出にはあらかじめ税理士と情報を共有して余裕をもって行うことが必要です。その課税期間開始前までに予想されている臨時取引について話しておくことが重要です。(以前、課税期間末日近くになって慌てて申請書を作成した経験があります・・なんとか承認はもらえました)

なお、課税売上割合に準ずる割合をやめようとする場合には「消費税課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書」を適用したい課税期間の末日までに提出します。こちらも忘れずに行います。

まとめ

今日は消費税の基本構造と臨時的に課税売上割合が大きく変わった場合の手続きについて説明しました。

消費税の構造は簡単なようであって奥が深く納税者が理解できにくい部分が多いと思います。

消費税増税は延期されましたが、今後も消費税については納税者の注意すべき点を発信していきたいと思います。

編集後記

私の息子は部活に入っていないので運動不足気味。

たまに夜に近くまでランニング、散歩へ行きます。

お年頃なので母親と二人で歩くのはNGだそうですが夜間は目立たないということでOKだそうです^^;;

(悲しいですね~・・)

まだこの時期は涼しくて夜走ると気持ちいいです。

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