「本業」という言葉に今後も意味はある?


昨日は税理士会主催の税務調査関連の研修でした。

講師は税務署OBの方で、実際の税務調査の話など聞きました。

その中で、弁護士の方の税務調査に入った時の話になりました。

何故その方が税務調査に入られたかというと、弁護士業以外の仕事(歌手業)をしていて、それが事業所得に上がっていたからです。

ラジオにも出演したことがあるなど、結構本格的な様子で、

お会いしてみたいなあ、と思ったぐらいですが

税務署的には「それ、本業じゃなくて趣味じゃないの?(雑所得じゃないの?)」ということで調査に入ったとのことです。

確かに「弁護士」という職業は傍目からはそれだけで食べていっているというイメージが普通です。

この話を聞いていて「本業」という言葉に今後どれだけ意味があるのか、考えてしまいました。

事業(本業)とそれ以外の区分は曖昧

個人の場合、異なる事業をいくつかしていたとしても(屋号をいくつとっていたとしても)課税は個人単位にまとめられます。

そこで「本業」とされるものは事業所得に、それ以外の副業的なものは雑所得として所得税法上区分されます。

事業所得は他の所得と損益通算ができるし、損失の繰越控除、青色申告特別控除(10万円又は65万円)ができますが、雑所得は一切このような特典はありません。

なので税務署は事業所得と雑所得の区分を厳しくチェックしています。

事業所得の定義は、下記の通りとても曖昧です。

  • 自己の危険と計算において利益を得ることを目的として継続的に行う経済活動
  • 営利性・有償性を有し、かつ、反復・継続して営まれる業務であって、社会通念上事業と認められるもの

実際の調査はその業務に費やした時間、コスト、売上額、継続性、職業の認知度など、総合的に判断します。

本業とそれ以外に分ける意味は今後あるのか

このように個人の場合本業とそれ以外との区分は重要となります。

しかし今後このような区分をしていくことに意味があるのか、疑問です。

その背景として、「お金のために働くことをしない人たち」「生涯1つの仕事をしていくことのリスク」があります。

お金のために働くことをしない人たち

昔と違って今はインターネットの発達によって生活コストをかなり抑えることができるようになりました。

格安SIMスマホ、民泊、ネットショップ、オークション、読み放題など。

インターネット環境があれば、物価の安い地方で暮らし、全世界向けにサービスを展開することも可能です。

ほとんど自給自足的な生活をし、なおかつ入ってくる報酬は地方だろうと全世界向けにしているのだから関係なし。

こうなると、無理にお金のために働く、という発想もなくなります。

そもそも、「お金のことは考えていなかったけれどやっていくうちに事業っぽくなってきた」

という話も仕事と生活が厳密に区分されておらず、インターネットによる時間と場所の制約を受けない現代だったら普通です。

このような場合どれが本業?と考えることにはたして意味があるのでしょうか。

どれも本業。が当たり前の考え方になっていくのではないでしょうか。

生涯1つの仕事をしていくことのリスク

昔は1つの会社に勤め上げることが普通でした。

しかし今は1つの会社で終わり、という人の方がむしろ珍しいでしょう。

終身雇用はとっくに終わり、会社は従業員を育てる余裕などなく、スキルは自分でつけていかなければいけません。

そしてインターネットにより情報が簡単に手に入り、変化のスピードも早くなっています。

「この仕事についたら安心」「この資格を取っていれば安心」

ということはありえません。

昔は安泰と言われていたけれども今は努力や工夫がないと難しい仕事がたくさんあります(税理士など国家資格もそうです)。

現に、会社の副業禁止規定を気にしながらも副業を始めるサラリーマンの方も周りに増えてきました。

生涯1つの仕事をしていく場合、その仕事自体がなくなったときに手の打ちようがありません。

なくならないまでも、価値が下がり、限りなく単価が低くなる可能性もあるでしょう。

このように、生涯1つの仕事をしていく考え方はリスクが高いです。

税制も新しい時代に合ったものを

事業・雑の区分だけでなく、現在の税制には時代に合わなくなってきているものがたくさんある気がします。

特にここ10年のインターネットの発達により、従来から税制が想定していたモノ中心の考えが古くなってきています。

個人の働き方も同様で、

今は店舗や設備などなくてもPC1つで事業を始められる時代なのです。

税制もその都度時代に合わせて修正していくべきだと感じます。

まとめ

弁護士&歌手の方の話を聞いて、「本業って何だろうな?」と思ったことをきっかけに現在の税制が時代に合っていなくなってきていることを中心に書きました。

今は2つ、3つ自分の専門を持つ人も珍しくありません。

税理士&お笑い芸人

なんて面白いですね。

税金に関する面白ネタを披露し、税理士の認知度をあげてもらいたいです。(誰かに)

編集後記

昨日は、午後税理士会の研修にて税務調査研究。

その後、親戚の税理士さんと奥さん、夫、義母、私とで会食。

人が足りなくて本当に困っているようで・・会計事務所の事業承継問題も深刻なようです。


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