先日、私宛に大手の会計事務所から広告が届きました。

内容は、「在宅スタッフ活用して会計事務所の働き方改革をしましょう」というもの。

パンフレットには、在宅スタッフを活用することによって

  • 顧問件数を増やすことができた!(一人30件以上)
  • 19時にはほとんどの人が帰宅!
  • 厳しい試験を通過した優秀な在宅スタッフさん揃ってます!
  • 在宅スタッフさんに任せることによって職員が営業ができるようになった!

などのメリットが書かれていました。

もちろん私には関係のない広告(一人でやっているし、規模拡大もしないので)ではありますが、気になった部分があります。

会計事務所にとっては働き方改革かもしれませんが

(結局顧問件数増えてるし19時に帰ることがメリットなのかはわかりませんが)、

在宅スタッフさんにとってはどうなんだろう、

ということです。

一部の人にとっての働き方改革?

調べたところ、その会計事務所は月に数十万円の料金で在宅ワーカー紹介サービスを行なっていました。

一方、在宅ワーカーさんに支払われる金額はもちろん書かれていませんが、

「在宅ワーカー 求人 経理」

などとネットで検索して調べてみると例えば次のような求人が見つかりました。

  • 完全歩合制。レシート1枚/ 1~5円(1日120枚☓20日作業した場合、月収約5,000円)簿記2級必須
  • バックオフィス(社保、労保、納税)全般業務 時給1,000円 資格あれば尚可

完全歩合制だとレシート1枚数円、時給制だと1,000円~1,500円くらいでした。

もちろん、以上の情報だけで判断はできませんが、全般的に忍耐が必要で、資格の必要な仕事を、かなりの低料金で募集していることが明らかでした。

もちろん子育て・介護などで外に出られない方はそういった在宅の仕事があるのは助かるかもしれません。

けれど、優秀な人材であるにもかかわらず在宅だからといって料金が抑えられる論理はおかしいです。

外注する側にとっては低料金で高品質のサービスを受けられるのでメリットがあるかもしれませんが、

外注される側は不利益を被っている可能性が高いです。

働き方改革は、誰かからの搾取から成り立つのでは意味がないと思っています。

外注先が人間からロボットに代わっても違う問題が起きる

今後は、外注先が人間からロボットに置き換わるかもしれません。

ロボットのほうが安く済み、正確に行えるかもしれないからです。

ただ、そもそも「外注して作業が減った分、さらに仕事を増やそう」とスケールばかりを

追い続けていたら、結局仕事量は変わりません。

(現に、冒頭の広告には「在宅ワーカーさんに任せることによって顧問先をさらに増やすことができた」と書かれていました。)

顧問先も、「なんだ、ロボットでやっているのだったらもっと値下げできるんじゃないの」

と圧力をかけてくるかもしれません。

そうなると、長時間労働、低賃金のブラック環境は続いてしまうでしょう。

スケールを追い続けるスタンスはいずれ破綻すると思っています。

働き方改革は「個」から

私は今後も冒頭の外注サービス(安い料金で優秀な人に作業してもらう)は使わないでしょう。

(そもそもひとりでできる業務量に抑えています)

すべての人にとっての働き方改革でなければ意味がないと思っています。

このような誰かが不利益を被るシステムには参加しないと決めています。

働き方改革を実行するのは大きな組織ではなく「個」からだと私は思っています。

組織に属さない少数派の「個」が集まって大きな声となれば大きなところが変わっていく(そうせざるを得ない状況になる)可能性があります。

大きなシステムに飲み込まれず、「個」として声をあげていきましょう。

まとめ

会計事務所のアウトソーシング事例を見ていて、思い出したのが一昔前に日本のメーカーが行った人件費が安い国へのアウトソーシングです。

そのような会社は、コストばかりを重視するあまり業務効率化のノウハウが社内に残らず結果的に苦戦した事例が多いです。

Win-Winの関係でなければ働き方改革も上手くいかないと思っています。

編集後記

昨日は、お客様へのメール対応を主に。午後はロボットをいじり、夜は懇親会に参加しました。

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