会計事務所の仕事にエクセルは必要ないと思います

先日、以前通っていた会計大学院でお世話になった講師に招かれてExcelによる会計データ分析という授業に出席してきました。

その会計大学院は、税理士を目指している方が多くそのほとんどが会計事務所に勤務されています。

その日の授業はオリエンテーションということで現在の仕事でのエクセルでの活用頻度や活用方法等について出席者全員が発表しました。

その中の一人(会計事務所勤務者)が、

「仕事でエクセルを使うことはほとんどありません。大体のことは会計ソフトで事足りるので会計事務所の仕事にエクセルは必要ないと思います」

と発言されていました。

私はこれを聞いて少しびっくりしたのですが実際会計事務所でエクセルをあまり使わない人もちらほらいることが分かりました。

私は一般企業の経理経験が長く、仕事でエクセルを使わない日はありませんでした。

 

会計ソフトは「終わったこと」を処理するためのもの

実際、会計ソフトでできることは確かにたくさんあると思います。

過去数年の業績比較や経営指標の管理、売掛金・買掛金管理、消費税申告書の自動作成・・等。

会計ソフトのネックは簿記が分かる人でしか仕訳入力ができないということでしたがMFクラウド会計やfreeeなどのクラウド会計ソフトの登場によって簿記の知識がない人でも形式的には決算書、申告書まで作れるようになってきています。

お客様自身で決算書、申告書まで作成できるようになってしまえば現在会計事務所で行われている入力業務は将来なくなっていくと思われます。

そうなると会計事務所として残る仕事は

  • お客様が入力した数値のチェック・正確性の担保
  • ITによる業務効率化支援(クラウド会計導入、会計ソフトインポート用テンプレートの作成等)
  • 会計数値から得られる意思決定に役立つ分析

となるのではないでしょうか。

このうちの「会計数値から得られる意思決定に役立つ分析」は、会計ソフトではできないと思います。

会計ソフトは、あくまで「終わったこと」を処理するものであって未来を予測できるものではないからです。

 

エクセルはシミュレーションツールとして最適

会計ソフトは「終わったこと」を処理するものであるのに対し、エクセルは将来の意思決定をするためのシミュレーションツールとして最適です。

例えば、お客様が飲食店を営む方であった場合次のような質問があったとき会計ソフトで対応できるでしょうか。

「売上高を増やしたいと思っている。売上増減の要因に様々な原因(自社の価格・競合他社の価格・気温・陳列方法)が考えられる。どの原因が一番売上と相関傾向があるか、今後の戦略に生かしたいため分析をしてもらえないか」

「安くすれば売れるのは当たり前。いくらで料理を提供すれば利益が一番出るのか教えてもらいたい」

このような分析は必要な情報を確実にお客様から引き出すことも非常に大事ですが、分析自体は分析ツールが豊富に用意してあるエクセルの得意とするところです。

分析にはある程度「仮説」をたててデータを絞るなどテクニックも必要となります。

 

まとめ

一見上記の業務は「管理会計、コンサル分野」として自分たちの仕事と関係ないと言う税理士もいると思いますが私はそうは思えません。

冒頭で述べたとおりお客様自身で決算書・申告書まで作成できるようになれば税理士の仕事としてはもっと価値の高いものになっていかなければならないからです。

それは前述したとおり

  • お客様が入力した数値のチェック・正確性の担保
  • ITによる業務効率化支援(クラウド会計導入、会計ソフトインポート用テンプレートの作成等)
  • 会計数値から得られる意思決定に役立つ分析

であり、これらの業務を行うのにエクセルは必須であると考えます。

言うは易く行うは難し、ですがより質が高いサービスを提供できるよう自分自身日々レベルアップしていきたいと思います。

 

編集後記

近くにあったのに一度も泊まった事がなかった横浜ランドマークタワーのホテルへGW明けを狙って宿泊。

残念ながら天気が悪く見通しが悪かったのですが翌朝は少し晴れました。

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普段見慣れていたビル群がミニチュアのように見えました。人々は豆粒のよう・・

毎日が慌ただしく過ぎていきますが、たまに深呼吸して高い位置から俯瞰して物事を見ることって必要だな、と思いました。

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