税理士という仕事柄、専門用語を使う場面が多いのですが、なるべくお客様の前では使わないように努めています。

先日、Webマーケティングのコンサルを受けたときのことです。

「ペルソナ」(簡単に言うとターゲット層)という言葉が出てきて、

「なんとなく知っているけれどきっちりと意味を理解していない状態」

だったのでその後の説明がたちまち分からなくなってしまいました。

(その後すぐに説明してもらったので大丈夫でした)

おそらくWeb業界では当たり前の言葉なのだと思います。

このことを機に再度自分自身も気をつけようと思いました。

専門用語をなるべく使わない理由は「相手に理解してもらえない」以外にもあります。まとめてみました。

自分でも用語の意味を理解していない可能性がある

専門用語を使うとプロっぽく見えますが、実は逆で使っている本人も理解していない可能性があります。

実際に、普段よく使い慣れている専門用語について説明してくださいと言われると、それがよく分かります。

例えば会計業界で言えば「BSってなんですか?」の質問。

何を今更・・と思う人もいるでしょうが、意外と1から説明するのは難しいです。

「会社の財政状態を表します」と教科書的な答えをしても「財政状態とは具体的に?」となるでしょう。

自分で噛み砕いて説明できない専門用語は正確に理解できていない証拠です。

一般の人が理解できるように説明できることに専門家の真の実力が問われるのではないでしょうか。

上から目線になる

こちらは単なる印象の問題ですが、専門用語ばかりを使うとどうしても上から目線に見られます。

以前コンサル出身の人で

「KPI」「ポートフォリオ」「アサイン」「MECE」「コンバージェンス」

などなど横文字を連発する人がいて話してて全く意味を理解できませんでした。。

本人はそのつもりはないのでしょうけれども、どうしても

「なんか上から目線だな。下に見られてるかも」

という印象を持ってしまいます。

すごく見られたい、と思っているのかもしれませんが逆効果になる可能性が高いです。

誤解を生む場合もある

よく理解していない専門用語を使うと、誤解を生む場合があります。

例えば、「リスケしといて」の「リスケ」という言葉。

こちらは単なる計画を組み直すという意味の他にも、銀行業界では「返済が苦しくなった借入金の返済スケジュールを見直す」という深刻な意味があります。

気軽に使われるとドキッとしてしまう言葉です。

余計な誤解を生まないためにも、こういった複数の意味のある横文字は使わないのが無難です。

専門用語を使わないことで、質問力が鍛えられる

専門家は、

「相手の理解度に合わせた説明ができるかどうか」

が非常に大事だと思っています。

「教えてやろう」という気持ちでいるとどうしても自分ばかりがしゃべってしまいます。

そうではなく、まずは相手に少しずつ質問を投げかけてしゃべってもらうことが大事です。

相手がしゃべる内容をじっくり聞き、少しずつ質問を変えていき理解度を確認した上で必要な情報を専門用語を使わずに提供する。

最初から専門用語を使っていたら、この「質問力」は鍛えられません。

専門家にはこのような高度なコミュニケーション能力が必要とされます。

こういった能力こそ機械で代替できないものではないでしょうか。

まとめ

私が専門用語をなるべく使わないように意識している理由を書きました。

専門用語の他、業界用語も私はなるべく使わないようにしています。

理由は、「その業界だけでしか通用しない」「閉鎖的」だから。

「マルフ」(扶養控除等申告書)とか「ノウトク」(納期特例)とかもう嫌いです・・。

もちろん同じ組織内では良いでしょうけれども、ついついお客さんの前でも使ってしまう場合があるので要注意です。

編集後記

今朝、IPhoneのパスコードを変えていないはずなのにパスコードを入力しても「違います」と表示されるようになってしまいました。理由分からず・・。

仕方なくリカバリーモードから復元することに。

普段からこういった事態に備えていたほうが良いですね。IPhoneのバックアップも定期的に行わなければ。

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