法人を作り、いざ活動してみると思いのほか役所の手続きに時間がかかることがわかります。

しかも税金は税務署や県(都)税事務所・市役所、社会保険は年金事務所、労働保険はハローワーク、登記は法務局・・といった形ですべてバラバラなのでなおさらです。

個人の場合はマイナンバーカードが認知されてきて敷居が下がってきていますが、法人の場合はまだまだ敷居が高く、そもそも電子システムがあまり認知されていない状況です。

それでもそれぞれ提出先の異なる役所へ毎回郵送・足を運ぶのはかなりの手間です。

そこで、法人の行政手続きの電子システムをまとめてみました。

税金、社会保険・労働保険、登記すべて電子システムが違う

法人の行政手続きを電子で行う場合、税金、社保・労保、法務すべてシステムが違います。

もし法人の行政手続きを電子化するのであれば、これらのシステム1つ1つに登録をし、申請をしなければなりません(一元化されればどんなに良いか・・)。

税金の電子システム

e-Tax(国税)

法人税、地方税、消費税などの国税の申告書の作成・電子申告、各税金に関する届出書を電子提出できるシステムです。国税庁が運営しています。

利用するには次のことが必要となります。

  • 利用環境の確認(OS(WIndowsのみ)、ブラウザ(IEのみ)、PDF閲覧ソフト等)
  • 電子証明書の取得(社長のマイナンバーカードでも可能)
  • ICカードリーダライタの購入
  • 開始届出書の提出(利用者識別番号の取得)
  • e-Taxソフト(WEB版と、デスクトップ版があります)のインストール

eLTAX(地方税)

法人都(県)民税、法人事業税、地方法人特別税など地方税の申告書の作成・電子申告、届出書を電子提出できるシステムです。「一般社団法人地方税電子化協議会」というところが運営しています。

利用するには、以下のことが必要となります。

  • パソコン環境準備(OS(WIndowsのみ)、ブラウザ(IEのみ)、PDF閲覧ソフト等)
  • 電子証明書の取得
  • ICカードリーダライタの購入
  • 利用届出(利用者IDの取得)
  • 「PCDesk」(デスクトップ版のみ)のインストール

社会保険・労働保険の電子システム

e-Gov(電子政府の総合窓口)

健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届、被保険者報酬月額変更届、報酬月額算定基礎届、労働保険の年度更新など社会保険・労働保険の手続を電子で申請・届け出ができるシステムです。

社員の出入りが多い会社さんはお勧めです。

利用するには、以下のことが必要となります。

  • インターネット環境の整備(Java、ブラウザの設定等)
  • 法人の電子証明書を取得する
  • ICカードリーダライタの購入(電子証明書がICカードタイプの場合)
  • e-Gov電子申請用プログラムのインストール

会社法務の電子システム

登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと

不動産登記、商業・法人登記、電子公証(紙に書かれた文書ではなく電子データを認証すること)などの法務手続が電子申請できるシステムです。

利用するには、以下のことが必要となります。

  • 利用環境の整備(OS(Windowsのみ)、PDF閲覧ソフト等)
  • 法人の電子証明書の取得
  • ICカードリーダライタの購入(電子証明書がICカードタイプの場合)
  • 申請者情報の登録
  • 申請用総合ソフトのダウンロード

なお、登記事項証明書を取り寄せるだけでしたら「かんたん証明書請求」でできます(電子証明書・ICカードリーダライタも不要です)。

参考記事:

会社の謄本はネットで頼んで郵送してもらおう。登記ネット「かんたん証明書請求」

主に必要となるもの:電子証明書、ICカードリーダライタ

今見てきたように手続きに必要となる主なものは、

  • 電子証明書(税金に関しては社長のマイナンバーカードでも可能)
  • ICカードリーダライタ(電子証明書がICカードタイプの場合。電子証明書を読み取る装置。家電量販店で数千円で売っています)

の2つです。

税金に関しては社長のマイナンバーカードがあれば手続きできるので取得しておきましょう。

法人の電子証明書は、少しとるのが面倒ですし、コストもかかります。

法務局、地方公共団体、その他民間の認証局が発行するものがあります。

各発行団体によって手数料やできる手続が異なるのですが、一番オーソドックスなのは法務局が運営する「商業登記に基づく電子認証」サービスの電子証明書です。

発行手数料が証明期間(3ヶ月から27ヶ月間まで)によって2,500円〜16,900円かかります。

電子証明書取得には申請書の他証明書発行申請ファイルが格納されたCD、印鑑カードなどが必要です。

法人の行政手続きを電子化するには、電子証明書を取得することから始めましょう。

まとめ

法人の行政手続きを電子化するための手続きをまとめました。

なかなか一筋縄ではいかないですが、小規模の会社など、専門家になるべく頼らず自分たちで行いたい場合には一度できてしまえばずっと自分たちでできます。

法人の行政手続きの電子化を考えられている会社さんは、まずは初めの一歩として、法人の電子証明書を取得することから始めてみてはいかがでしょうか。

編集後記

今日は午後息子と地元の映画館へ「獄友」という映画を見に。

冤罪に興味がある息子には面白かったようです。重いテーマですが、明るい部分もあり、色々と考えさせられました。

Today’s New

黄金町 シネマ・ジャック&ベティ 映画「獄友」

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