働く女性に立ちはだかる色々な壁ー配偶者控除103万円、第3号被保険者106万円・130万円。
10/132016
カテゴリー:女性の起業
1億総活躍社会を目指す日本で注目されているのが女性の活躍です。
しかし、女性が外で働くことを阻害する壁が日本ではいくつも存在しています。
最近配偶者控除の廃止の延期が話題となりましたが、税制だけの問題ではないと思います。
女性の働く意欲を阻害する壁を制度と価値観から考えてみました。
103万円の壁:所得税、住民税における配偶者控除
世間一般に認知されている制度が所得税・住民税における配偶者控除の制度です。
最近廃止になるかどうかで話題となりました。
合計所得金額が38万円以下(給与所得の場合、103万円以下)である配偶者がいた場合、所得税38万円、住民税33万円の所得控除が受けられる制度です。
従来から女性の働く意欲を阻害する制度だということで議論がされてきました。
ただ、求人にもよく「扶養内のお仕事」と掲載されていることもあり世間一般の認知はあるものの実際の税金に影響する額を正確に知っている方は少ないと思います。
例えば年収500万円の方が配偶者控除制度を利用した場合、減らせる税金は年額109,000円(所得税控除38万×税率20%+住民税控除33万×10%)、月額約9千円程度です。
また、配偶者が103万円以上稼いだとしても、141万円までは「配偶者特別控除」という段階的に控除ができる制度もあります。
月額9千円程度の影響をどう考えるかは各人によって異なると思います。
ただ、個人的には次に説明する106万円の壁のほうが手取りに影響する額が大きいし、将来の給付にも影響するので考えていかなくてはいけないと思います。
106万円(130万円)の壁:第3号被保険者制度
税制よりも影響があると考えるのが国民年金制度における第3号被保険者制度です。
この制度は、第2号被保険者(会社員や公務員)の配偶者で収入が一定以下などの条件を満たす場合には、保険料の負担なしに健康保険に加入することができ、かつ基礎年金を受給できる制度です。
平成28年10月までは収入基準が130万円(月額108,334円)でしたが、平成28年10月以降は106万円(月額88,000円)に改正されました。(当面は、従業員数501人以上の大きな企業に週20時間以上、1年以上勤務する人に限られます。)
例えば、年収106万円で今まで第3号被保険者制度の対象となっていた人が自身で社会保険料を払うこととなった場合、月額で健康保険料約4,300円+厚生年金保険料8,000円(神奈川県協会けんぽ加入の場合)=12,300円がかかります(年額147,600円)。
また、配偶者の働く事業所が社会保険の適用対象外の場合に第3号被保険者から外れたら、国民健康保険に加入する必要があります。その場合月額で国民健康保険料約4,300円(横浜市の場合)+国民年金保険料16,260円(全国一律)=20,560円かかります(年額246,720円)。
もちろん自身で保険に入ることにより給付や保障が増えるメリットもありますが、負担額は上記で示した配偶者控除の影響よりも大きくなっています。
個人的には配偶者控除よりもこちらの制度をまず見直すべきかと思います。
この制度は妻は家にいて外で働く夫を支えるということが当たり前の時代に妻の年金を確保するために作られた制度であり、現時点では時代錯誤的なものとなっています。
収入がなくとも自身で保険料を納めなければいけない第1号被保険者(自営業)の方の配偶者や、学生の方との不公平感も問題となっています。
でも一番の壁は・・
税制・社会保障の問題よりも女性が働く上での一番の壁は長年積み上げられてきた「男性は外で働き、女性は家庭に入るもの」という固まった価値観ではないでしょうか。
女性が子供を預けて仕事をしていると罪悪感に苛まれたり。
お父さんが平日の学校行事にでかけたり公園にでかけたりすると浮いてしまったり。
実力に差はないのに男女間で賃金格差があったり。
このほかにも、慢性的な長時間労働など女性に限らず日本の働き方全体に関わる問題もあります。
これらの考え方の「根っこ」の部分を改善しない限りには税制・社会保障など形式面を整えたところであまり意味がないと思っています。
女性が古い価値観や制度にとらわれず自由に仕事の選択をすることができる日本になっていくことを望んでいます。
まとめ
女性が働く上で意識する制度的な壁が103万円の壁と106万円(130万円)の壁です。
しかし、一番大きな壁は長年積み上げられてきた固定的な価値観ではないかと思います。
幸いなことに近年この固定的な価値観を変えていこうとする動きが出てきています。
大学卒業後専業主婦、非正規社員、社会人大学院生、正社員、業務請負、そして独立・・思えば自分も様々な経験をしてきました。
この経験を何らかの形で働き方に悩んでいる女性の方たちに役に立てられないものか、そんなことを考えています。
編集後記
ニンテンドークラシックミニの動画が懐かしすぎて感動します・・。
アイスクライマーでの二人同時プレイのコンビネーションが上手くいかない葛藤、エキサイトバイクの絶対クリアできない無理なコース作り、グラディウスの裏技によるフル装備・・小学生時代を思い出して泣けてきます。
最近のゲームのように目も疲れないし、予約しようかな、と思ってます。