9年前の12月、税理士試験の科目に初めて合格してから
12/52016
カテゴリー:税理士・税理士試験
今年も税理士試験の合格発表が近づいてきました。
私は9年前の平成19年に初めて税理士試験の科目(簿記論)に合格しました。
そのときのことは今でもよく覚えています。
誰もいないエントランスで1人喜び大騒ぎしたこと。
当時小学校入学前の息子が何事かという目で私を見ていたこと。
毎年12月初めになると思い出します。
試験に合格すれば人生が変わる気がした
大学卒業後すぐに結婚して出産した自分はこれといって人に言える特技はなく、
「このままでいいのか・・」と悶々としていました。
そこで、1年に1科目ずつ合格すれば良いという試験制度を知って
「これだったら私にもできるかも・・」と勉強を始めました。
当時、私から見て既に税理士の資格を持って働いている人たちは次元の違う存在でした。
「先生、先生」と呼ばれ難しい税務用語を使いこなし、お客様の質問にも的確に答え、税金のことならなんでも知っている・・私には手の届かない存在でした。
が、勉強を始めたものの、そう簡単に受かる試験でもなく。
結果として10年近くかかりました。
その間、税理士試験は私にとっての生きがいのような存在でした。
受かれば人生が変わる、そんなことを思っていました。
実際税理士となってみて⇒資格取得はスタートということを痛感
そして実際税理士として働いてみて。
「税金のことならなんでも知っている、手の届かない存在」の税理士であるはずが、今日もひたすらお客様からの問い合わせに対して必死に勉強しています。
「先生」だなんてとんでもない。
仕事をすればするほど、「お客様の役に立ちたい、そのためにこの勉強もしたい・・」
と貪欲になっていきます。
「なんでも知っている」などありえず、むしろ自分の知識、ノウハウの少なさを認めざるを得ない日々です。
そこで初めて「資格取得はスタート」なんだということを思い知らされました。
資格取得はステージが変わる通過点
とはいっても資格取得はステージを各段にアップさせてくれます。
資格取得により、初めてできること(他人の税務申告、税務相談)があるからです。
特に開業した場合には会社の指示ではなく、自分が指示したことによって他人に影響を直接与えるので責任が重大です。
いつまでも軽い責任でしか仕事ができない場合と違い、成長のスピードが格段に違います。
自分の責任で行動し、成果を出す。それができるために資格取得というステージを格段にレベルアップさせてくれる試練を乗り越える必要があります。
税理士試験で勉強しなかったことが今必要
今思えば税理士試験の勉強は「税理士になるための勉強」であって、「税理士として仕事をしていくための勉強」ではない部分が多いです(そうでない重要な基礎部分もありますが)。
例えば、開業してからの営業方法や、これから必須になると考えられる会計のIT活用方法などは試験勉強では学べません。(今これが最も必要・・)
私はとにかく「試験に受かれば人生が変わる」なんて思い込んでいたので、特に取ってからのことは考えていませんでした。
今目指されている方はきっと私のような楽天的な方は少なく、現在の業界の厳しさも分かった上だと思います。
もうお分かりかと思いますが、試験に突破した後も、試験勉強で習わなかったことがずっと必要になます。
しかし、それは一生成長できる環境が与えられるということではないでしょうか。
どうせずっと勉強していくのであれば、楽しむくらいな心持でいたいものです。
まとめ
税理士試験合格発表が近づき、あらためて自分にとっての税理士試験について思うところを書いてみました。
税理士試験は税理士になるための勉強も多いですが、実務を行う上での基本を学ぶためには必要です。もちろん、資格がなければ自分の責任で税務申告、相談を受けることもできません。
試験に受かることによって人生が変わるわけではありませんが、ステージは確実に変わります。
税理士試験受験者、開業税理士が減少している厳しい現状ですが、現役の開業税理士が伝えられる税理士の仕事の楽しさはどんどん発信していこうと思っています。
編集後記
最近週末は古い映画を見るのに凝っています。
南北戦争の頃のアメリカの貴族社会の崩壊、希望を描いた「風と共に去りぬ」を先週末見ました。
我儘だけれど気丈で奔放なスカーレットの生き方は少し憧れます・・。