「トークンエコノミー」で中間業者はいなくなり、価値が見えやすくなる
4/252019
カテゴリー:本
先日「サブスクリプション」という本を読んで、
「所有」から「利用」へ、「製品」から「顧客」へ、
といった時代の流れを感じました。
これに関連して、もう一つ今後のキーワードになっていくと思われるのが
「トークンエコノミー」です。
先日買ったこちらの本にはトークンエコノミーの基本的なことと、
ビジネスへの応用が書かれていて、とても面白かったです。
この本には、トークンエコノミーの定義をこう書いていました。
「トークンエコノミー」というビジネスモデルは、2017年ごろから話題となっているブロックチェーン技術と組み合わせ、提供者が独自に開発した仮想通貨(暗号資産)によって、これまでほぼ存在しなかった「ユーザーファースト(ユーザー第一主義)」のサービスを提供しようという試みです。
『トークンエコノミービジネスの教科書』p5より
ポイントとなるのが、
- ブロックチェーン技術、仮想通貨(暗号資産)が使われていること
- ユーザーファーストであること
です。
ブロックチェーンと仮想通貨(暗号資産)については2017年頃から日本でも大きく話題になりましたが、
主に「お金儲け」的な話が多かったのを記憶しています。
そんな中、世界ではブロックチェーンと仮想通貨(暗号資産)を活用したビジネス(トークンエコノミー)が着々と進行しています。
そして2つ目の「ユーザーファースト」。
これが大きなポイントになるのではないかと思っています。
サブスクリプションの本でも主役はサービスを利用する側、「顧客」(ユーザー)でした。
ユーザーが、ただ消費するだけでなく提供者と一緒に価値を高めていく。そんな世界に私は魅力を感じます。
トークンエコノミーについて私が感じた魅力を書いてみます。
中間業者が必要なくなる
先日、事務所の賃貸契約をしました。
その際、不動産業者との間で以下のやり取りが発生しました。
- 物件の仮申込
- 見積書の提示・承諾
- 必要書類(身分証明書等)の送付
- 請求金額の振込
- 契約書の締結、重要事項の説明
- 鍵の引き渡し
そして、今回の報酬として仲介手数料を不動産業者に支払いました。
一連の処理をしていてふと疑問に思ったのが、
「この仲介手数料は何をしてもらったことの対価なのだろう?」
ということです。
もちろん一連の手続きをしてもらったことの対価と考えるのが普通でしょうけれども、
貸す側、借りる側双方が「直接」やり取りすればかからなかったお金なんですよね。
こういった一連の手続きを自動化するトークンエコノミービジネスも既に登場してきています。
それが、「スマート・コントラクト」と呼ばれる仮想通貨のプラットフォームであるイーサリアムを利用した
自動契約システムです。
スマートコントラクトであれば、上記の一連の流れをブロックチェーン上に書き込み、
人の手を介すことなく自動的に行うことができます。
例えば家賃対滞納に悩ますオーナーさんが多いですが、
自動的に〇日過ぎたらメール送信、次に督促、次に差し押さえ・・
といった形でルールを設定することができます。
不動産情報も、不動産業者が現在情報を握っている状況ですが、
これが複数のノード(PC等)に分散して記録することによって
「管理者」自体をなくし、自動で記録されるようになれば情報が透明になり、余計な中抜きも発生しません。
中間業者を悪く言うつもりはありませんが、
サービスの提供側・利用側が直接つながる世の中のほうが私は望ましいと思っています。
価値が見えやすくなる
トークンエコノミーは「閉ざされた経済圏」であるともいわれています。
この本の中にはファンクラブが例に取り上げられています。
デビュー時から応援しているファンにとっては、そのアイドルが成功した暁には
とてもうれしい気持ちにもなりますが、現在目に見える「価値」は存在しません。
(ファンクラブの特典は少しはあるかもしれませんが)
一方、使途が限定(例えば限定グッズやチケットを交換できる)されたトークンが配布される場合はどうでしょうか。
このトークンは法定通貨とも交換ができるものとします。
当初は1円=1トークンだったのが、人気が急上昇して10万円=1トークン
になった場合には、当初からファンだった人に対してアイドル側は恩返しをすることができます。
もちろんファンはそのトークンを持ち続けても良いし、法定通貨に交換することもできます。
更にアイドルの運営側に回る(例えばライブ動画の翻訳をするなど)ことによってトークンを得られるのであれば、
アイドルからファンへの一方通行的なサービスではなく双方向の価値交換を行えます。
今まで「ボランティア」「影の支え役」などのように見えなかったファンの価値が見える化され、
トークンを保有するすべての人にとってメリットがあるというのがトークンエコノミーの魅力です。
グローバル企業・国家から距離を置ける
現在、FacebookやTwitterなどにアクセスすると怖いくらい「自分の求めている」広告に出くわしますね。
これは、私たちがSNSに投稿している文章や写真、動画などがすべてプラットフォーマーから広告主に売られているから、とこの本には書かれています。
規約には、「所有権はプラットフォーマーにある」ということが明記されているので
それを分かったうえで私も利用はしていますが。
ただ、巨大なプラットフォーマーが情報を独占して、莫大な広告収入を得ているのは
それが正しいかどうかというと疑問です。
もちろん便利なプラットフォームによってビジネスがしやすくなる、人とつながりやすくなる
などのメリットはありますが、
それにしても情報を根こそぎ持っていかれるのは。同じように国家も。
そんな状況の打開策となるのがグローバル企業と真逆の、
閉ざされたトークンエコノミーの世界ではないかと思います。
先ほどのファンクラブのように、
自分が「情報を提供したい」
と思えるコミュニティを自ら選択して、その中で価値を回していく。
そしてそのトークンエコノミーは個人にとってはいくつも属することができて、脱退も自由。
もっと進んで法定通貨は生活必需品(水、食料品など)にだけ利用してそれ以外はトークンだけで
回っていく世の中は、なんだか楽しそうです。
グローバル企業・国家と程よく距離を置き、対等でいられる世の中が理想です。
まとめ
『トークンエコノミービジネスの教科書』
を読んで感じたトークンエコノミーの魅力について書いてみました。
一番小さなトークンエコノミーってなんだろうな、と考えてみたら
「家族」かな、と思いました。
家事を手伝ったら自動的に肩たたきをしてもらう権利(昔の肩たたき券)が付与されるとか良いかも(^^;
編集後記
昨日は、事務作業を中心に。
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