外資系企業の英文経理ってどういう仕事?
3/172017
カテゴリー:英語・国税税務会計
昨日久しぶりにGoogle Analyticsを見ていたところ、このブログが
「外資系企業 経理」
というキーワードでも検索されていることが分かりました。
私は税理士業界に入る前に、約7年程外資系企業に勤めていた経験があります。
そのときの経験から外資系企業の経理のお仕事の特徴を書いてみます。
スピード重視、親会社の命令第一
外国の親会社の規模が大きくても日本の子会社はこじんまりしたところが多いです。
日本子会社の社長も、雇われ社長が多かったと記憶しています。
従って親会社からの命令が第一で、スピードが最重要視されます。
月次決算などは締めてから3~4日目あたりにBSやPLなどの数値の報告(Financial Package)を求められることが多く、
それと同時に資金予測(Cash forecast)や予算(Budget)も提出を求められます。
少しでも不明点がある場合にはすぐにE-mailが飛んできたり、電話会議が始まります。
なので時間に関してはいつも緊張感を持っていました。
その後に入社した日本企業との時間の流れの違いにかなり驚いたのを記憶しています。
会計ソフトが特殊
外資系企業で使う会計ソフトは特殊なものが多いです。
日本の会社でよく使われているソフト(弥生会計、MJS、勘定奉行、PCA・・)などは使ったことがありませんでした。
私が使っていたものは、
- Sun Account
- SAP
- Oracle
- Hyperion
というものですが、どれも横文字で(当たり前)日本の会計ソフトととは操作性もかなり異なります。
逆に税理士業界に入ったときに日本の会計ソフトに触れ、
「勘定科目が日本語だ、素晴らしい・・」
などと思ったのです(^^;
外資系企業で経理を行う場合には、ソフトの操作にまず戸惑うかもしれません。
英語の勘定科目、会計用語に慣れなければいけない
外資系企業に初めて入った頃。
まずは書類やメールが英語だらけだったのでその環境に慣れる必要がありました。
特に、勘定科目や会計用語はそのまま訳せない特殊なものが多く覚えるのが大変です。
先輩たちが、言っていたことを理解するのも時間がかかりました。
例えば、こんな感じです。
「それは、エーピー(Accounts Payable)担当に回して→買掛金担当に回して」
「そのジャーナル(Journal)、エビデンス(Evidence)ついてなかったよ→その仕訳、証憑ついてなかったよ」
「そのエクスペンス(Expense)、アクルアル(Accrual)してあった?→その費用、未払計上してあった?」
「アドバンス(Advance)、リバース(Reverse)した?→前払費用は取崩した?」
「これ、デビクレ(Debit、Credit)反対だよ→これ、貸借反対だよ」
しかし英語の勘定科目を理解しない限りは仕事ができないので必死に覚えました。
英語は毎日触れるのが大事だと思います。
外資系企業の経理で身につくスキル
外資系企業の経理の経験で身についたスキル。それは
- スピード感
- 英語力
ももちろんあるのですが、
- 日本の会計基準、税制は日本の中だけで通用するという理解
という当たり前のことでした。
どういうことかというと、日本では当たり前だと思っている処理が外国の人から見たら当たり前でなかったりするので、それをいちいち説明しなければいけないからです。
(むしろ、ルーティンよりは英語でそういった説明をする仕事の方が多かったくらいです)
例えば、日本で当たり前に行われている中間納付制度。
外国ではあまり一般的ではないようです。
「なんで前払いしなければいけないんだ!?」
としつこく聞かれたのを記憶しています・・(^^;
しかし逆に諸外国の会計や税法に触れることによって日本の処理が唯一でないことを知り、新たな発見をして視野を広げることができるのも事実です。
まとめ
今や日本の企業でも英語が必要な環境が増えてきました。
国境をまたぐ取引が増える中、間接業務である経理も日本語だけで行うわけにはいかない状況にあります。
もちろんドメスティックな会社を選択することも一つの手ですが、外資系企業を視野に入れるだけで相当スキルの幅が広がります。
これから外資系企業への転職を考えている人の少しでも参考になればと思います。
編集後記
昨日は、地元の女子中学校で租税教室を行いました。
女子高は、初めて行きました(しかもお嬢様学校・・)。
最初は緊張しましたがとても明るい雰囲気の学校で、後半はリラックスして行うことができました。
女子中学校ということで、「女性税理士はかなり少ないけれど、魅力的なお仕事」のアピールもしてきました。
少しでも興味を持ってくれたらな、と思っています。