映画『Perfect Days』の世界観が好き

映画『Perfect Days』の世界観が好き
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去年公開されて映画館まで足を運んで見た映画『Perfect Days』を、U-NEXTでまた見ました。

https://video-share.unext.jp/video/title/SID0103208?utm_source=copy&utm_medium=social&utm_campaign=nonad-sns&rid=CM049952374

あらためて良い映画だな〜と思いました。

映画館で見たときは言語化できなかったのですが、

この映画のどういう世界観が好きなのか、書いてみます。

※去年見て一番好きな映画

「日常」の美しさ

ネタバレしない程度のあらすじを書くと、

この映画は役所広司さん演じる中年男性が、

ひたするトイレ掃除の仕事をし、

その変わることない日常を描いた作品です。

こう書くと「なんかつまらなそう…」と思われるかもしれませんが

(実際、派手なアクション映画が好きな人はそう思うと思います)

とにかく私はこの「日常の美しさ」に何度見てもやられてしまいます。

この映画の美しさはなんといっても「光」「影」の使い方です。

映画の中で役所広司さんはカメラで「なんでもない日常」を撮影するのですが

(例えば掃除しているトイレの近くの公園で撮る木々から望む空とか)

*これは、私が公園で撮った写真

その風景が本当に美しいんです。観光地でもない、なんのイベントもない場所でも美しいと感じられる心を持てる素晴らしさに、じんときてしまいました。

そして、主人公のなんでもない日常がなんと生き生きしていることか。

住んでいるボロアパートで近所で拾ってきた植物を育てる、

カセットテープで昔の名曲を車の中で聞く、

仕事後は汚い駅チカでテレビ見ながら一杯、行きつけの銭湯でゆるみ、

古本屋で買ってきた一冊100円の本を寝る前にじっくり読む、、

*横浜・黄金町も古本屋がたくさんあって好きです

お金持ちや、家族持ちの幸せとは程遠い生活なのに

「豊かさ」を感じるんですよね。

「孤独な男性にケアを!」と勝手に国はサポートしますが、

少なくともこの映画に出てくる孤独な主人公はケアは不要なはずです。

社会との距離感

もうひとついいな、と思ったのが

主人公が醸し出す社会との距離感です。

東京の下町で、ひっそり暮らす主人公は

物理的には孤独。

当然、濃厚な共同体に属すこともなく、普段からつるむ友達もいない。


それでも、「日常」の中で出会う人たちと、

言葉を交わさなくてもそこには「つながり」ができていることがわかります。

いつもランチを食べる公園で見かける話したことない顔見知り、

銭湯でいつも一緒になる老人たち、

立ち話を一切しない古本屋やカメラ屋の店主、

週末だけ行く飲み屋でちょっとだけ話す女将さん、

困ったときには助けるけどプライベートには一切介入しない年下の同僚…

*街の中にあるベンチにただ座ってるだけでもつながりがある


最近、『庭の話』という評論家の宇野常寛さんの本を読んでnoteに感想を書きましたが、まさにこの主人公はゆるい事物と人とのつながりがある「庭」に生きている気がしたんです。

https://note.com/r_tomura/n/n23b05efc2780

べったりとした共同体でもなく、かといってネットやSNSに閉じこもってしまう人でもなく。ちゃんと社会に関わってるけど、社会を無理に変えようとしていないと言うか。

私もどちらかというとべったりな共同体やSNSが苦手なので、

こういう適度な社会との距離感はいいなあと思いました。

「今は今、今度は今度」

映画の中で、主人公が(おそらく)姪っ子と話しているときに

遊びにいこうよと言われて

「また今度ね」

と言う場面があります。


姪っ子が「今度っていつよ!?」

と聞くと「今は今、今度は今度

って主人公が言うんですよね。

なんかこれがすごく耳に残っていて。


この言葉、すごく仏教的だと思うんです。

先日、100分de名著で「正法眼蔵」という道元の著作を知ったのですが、その中で

いはゆる有事は、時すでにこれ有なり、有はみな時なり。

という言葉があります。

”有る時”というのは、「時(現在)」が「有(存在)」であり、「有(存在)」が「時(現在)」である。つまり、時間というものは「現在」という意味なのだと言っています。過去も未来もない。

私たちは時間は過去→現在→未来へと流れていくものと考えます。

これに対し道元は現在・現在・現在と考えていたようです。

だから現在1の私1、現在2の私2、、といった意味合いになります。だから、過去に思い悩んだり、未来に不安になるのは本質でないと。

ちょっと話はズレましたが、この「今は今、今度は今度」はこの考えに近いんじゃないかなあと思ったので書いてみました。

簡単に言えば、「いつだって現在(今)なんだから、今を大切に生きろ」ということなんだと思います。(ちゃんと理解できてませんが)

AIでいくらでも情報化できていくらでも不安になれてしまう時代だからこそ、大切にしたい考えですね。

編集後記

帆布のバッグを作ってみました。

これで、二作目。肩紐をちょっと細くして斜めがけもできるようにアレンジしました。お出かけが楽しみになりました^^

最近のあたらしいこと

厚地用のバネホックをかしめる作業

金槌でトンテンカンテンしてる時間が楽しいです^^