「節税」は未来への投資になるものだけ考えれば良い
4/212017
カテゴリー:税金
税理士の仕事の中で重要と思われているものが「節税対策」です。
独立後中小企業のお客様を持ち、本格的に節税対策を考えるようになりました。
しかし本やセミナーを通じてひととおりの節税と言われている対策を見てきましたが、違和感を感じるものばかりでした。
本当に有効と思える節税はそれほどない。
そして有効な節税とは未来への投資になるもの。
税理士としてどうかという向きもありますが、この結論になりました。
節税がしやすいのは法人>個人
有効と思える節税はそれほどないと申し上げましたが、1つ言えるのは法人は個人よりも確実に節税しやすいということです。
一番大きなメリットは、自分への給料を経費にできるという点でしょう。
個人の場合には自分への給料を経費にできず、収入から経費を差し引いた所得に対して課税され、そこから自分の給料をねん出することになります。
法人の場合には他にも自宅を社宅化(賃貸の場合)したり、出張日当を支給できたりと、個人よりも節税できる方法が多いのは事実です。
節税は未来への投資になるものだけ行えば十分
そうはいっても、私が思う有効な節税は上記以外には次のとおり限られています。
- 会計・税制を活用した節税
- 経営者・社員の能力アップ・モチベーションアップへの投資による節税
- 社内環境整備に対する投資による節税
1.は貸倒引当金・未確定債務の計上や、中小企業に対する法人税の特例など、公に認められている節税なので利用できるものはすべて利用すべきです。
2.は経営者・社員の方がセミナーに参加したり、勉強するための費用や社員に対する決算賞与を計上する節税です。
企業全体の収益力アップのためにもこの投資はお勧めできるものです。
3.はスタートアップしたばかりの企業が就業規則、旅費規程の作成、福利厚生の完備、セキュリティ対策など社内環境に投資する節税です。
ディフェンスを固める上でも、これらの投資はやっておいて損はないはずです。
個人的には以上を考えれば十分ではないかと思っています。
1.はともかく、2.と3.は「節税」と呼ばなくても経営者が常日頃から考えていかなければいけない項目です。
「節税」と考えるのではなく、未来への投資、と考えたほうがストンと腑に落ちますね。
未来への投資にならない節税、目的がはっきりしない節税は避ける
逆に私が違和感を感じるのが以下の節税(といわれているもの)です。
- 保険に入る
- 中古資産を買う
- 消耗品を買う
- 交際費を使う
これらに共通しているのが、未来への投資にならない、目的のはっきりしない支出であるという点です。
もちろん保険に入って将来に備える、などの本来の目的があれば良いのですが
「節税対策」としてこれらが挙げられているとうーん、となります。
確かに税金を払うよりは使ってしまった方が・・という考え方もありますが
ただの浪費につながる可能性もあるでしょう。
また、これらの節税対策(といわれているもの)はキャッシュが出ていきます。
出ていったキャッシュに対してどれだけの節税ができるか、きちんと確認してから行う必要があります。
まとめ
「節税」は将来への投資になるものだけ考えれば良い、という思いのもとこの記事を書きました。
どうも「節税」という言葉自体が考え方を狭くしているような気がします。
ただ税金を減らすことだけにフォーカスすると間違った方向へいってしまう気がします。
税金を払うことにより国に貢献する。そして株主や金融機関などの信用を得るといった目的もある経営者もいらっしゃるでしょう。
我々税理士の仕事は税金をただ減らすことではなく、経営者の価値観をくみ取った上で最適なタックスプランを考えることだと思っています。
編集後記
今日は午前中個人のお客様のオフィスで打ち合わせ、その後自宅で3月決算の法人の申告書作成。
やはりメールやチャットだけでなく、数カ月に1回でも会ってお話するとどのようなことに疑問・不安を持っているかを確認できて良いと思いました。