岡本太郎さんの「今日の芸術」という本がとても面白いです。

本の中に、「きれい」と「美しい」について書かれていて、感じたことがあったので書きます。

今日の芸術 新装版 時代を創造するものは誰か (光文社文庫) | 岡本 太郎 |本 | 通販 | Amazon

芸術は「きれい」であってはならない

岡本太郎さんはこの本の中で、「芸術は『きれい』であってはならない」と書かれています。

「きれい」は、芸術の本質とは無関係だし、自分で発見するものではなく、その時代の典型や約束事に決められた型だから、ということなんですね。

すごくどきっとします。私も、テレビやインターネットで「こういう生活が素晴らしい」といったものにかなり影響を受けているんじゃないかと思います。丁寧な暮らしとかミニマリストとか。

一方、「美しさ」は気持ちの良くない、汚いものにでも使える言葉と説明しています。グロテスクなもの、恐ろしいもの、不快なもの、いやったらしいものにぞっとする美しさがある、と。

例として、ゴッホとピカソを挙げていました。ご存知の方も多いと思いますが、現代では「素晴らしい」「天才」と言われている2人ですが、彼らが生きていた時代では「子どもの落書き」「グロテスク」「見てられない」などと酷い評判でした。(ゴッホは可哀想なことに精神を病んで銃で自殺を図ったといわれています)


それでも長い年月を経て、その鬼気迫るものを多くの人が感じ取り、名作になったんですよね。こういう「型にはまらず、作者の魂の込められた」ものが「美しさ」と、岡本太郎さんは言っています。

きれいなものばかり集めてもしっくりこない

さきほど「どきっとした」と書きましたが、

最近そう感じたきっかけがありました。


とある講座(セルフブランディング)に参加しているのですが、

自分の好きな雑誌を集めて、好きな部分を切り取って、コラージュする

という課題を与えられたんですね。

ああなるほど、自分の「好き」「感性」を探るワークだなと。


それで、普段買わない雑誌を買いに行ったのですが…

どれもしっくりこないんです。

きれいなインテリア、きれいな街、きれいな食べ物…

そう、私は「きれいな」ものばかり集めようとしてたのでした。

※当初集めていた切り取り

まあ、きれいだし美味しそうだしこんな朝食憧れる〜とか思ったけど本当にこれ好き?って言われると…


私は本が好きなので本の雑誌も読んでみたのですが、おしゃれな棚にすっきり収まった本を見てても「まあ素敵」「自分はやらんけどね」と思うだけだったんですよね。


きれいなものって、端的に言うと嘘っぽい。


唯一「いいな」と思ったのは、関連ないものが雑然と置かれている本棚。くまもんで有名なみうらじゅんさんが「哲学書と怪獣の本が並んでる」って言ってて、「あ、それいいなあ」と思ったんですよね。イメージ的にこういう本棚です。↓「俺はこれが好きなんだ!」が伝わって、良い。




結局、他の人のキラキラしたコラージュと被ってつまらなくなったので

雑誌はやめて、自分が撮った写真を中心にコラージュしました。↓




見ての通り、

廃墟とか、誰かの忘れ物とか、誰もいない水道場とかアトリエとか、汚れてる古本とか、

「誰もいない」「暗い」「汚れた」写真が多いです。

でも、こういうのが私にとって「美しい」んですよね。

(案の定、講座ではキラキラコラージュに埋もれてあまり理解されなかった気がします…)

ビジネスでも「美しさ」を出したい

↑のワークショップをしてみてわかったのは、

いかに私達が

外部からの影響でいろんな選択をしているか、ということなんですよね。


これは、ビジネスでも同じことが言えるんじゃないかと思っています。

最近、ホームページを見直していたのですが、

「きれい」にデコレーションしただけのサイトには絶対したくないと思いました。


私はホームページを外注せず自分で作っているので全然「きれい」ではないのですが、

「美しく」ありたいと思っています。




ここで言う「美しさ」は、

先程のワークショップと同様に

外部から借りてきた便利なものを使わずに、

自分の魂を込めた言葉や素材選びをするということです。ちょっと大げさですが。


「きれいな」言葉って、借りてこようと思えばいくらでも借りてこられると思うんです。

例えば下記のメッセージ。よく見ますが私は使いません。自分がピンとこないから。

「あなたのビジネスを、税務のプロが全力サポート!」

「税務のお悩みは、私たちにお任せください。」

「経営者の頼れるパートナー。」

「未来を見据えた税務戦略で、節税と成長を実現。」

「安心・信頼・実績の税理士事務所」

ちなみに、↑これらは全部ChatGPTで考えてもらいました。


今後、生成AIで「きれいな」ものはいくらでもできると思います。

でも、本当に必要なのは「美しさ」であって、それは人の生き方にも言えることだと思います。

見た目がきれいな人はその魅力をすぐ失うけど、美しい人はその顔のしわも含めてすべてが美しい。


「美しさ」にこだわって生きていきたいですね。

編集後記

週末は、コミュニティでWebコンテンツの勉強会を開いてもらったのをきっかけに、HPのメッセージを変えるなど。色々とできることはありますね。

最近のあたらしいこと

CALDI シュクメルリの素

ジョージアの郷土料理、「シュクメルリ」(鶏肉をニンニクの効いたホワイトシチューで煮込んだ料理)を試してみました!

普通のシチューと比べて、ニンニクが良いパンチになってすごく美味しい。リピします。

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