横浜市のRPA有効性検証に関する共同実験報告書を読んで感じた課題・ヒント

横浜市のRPA有効性検証に関する共同実験報告書を読んで感じた課題・ヒント
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近年大企業を中心にRPA(Robotic Process Automation。ロボットを使った業務の自動化)が注目されています。

このRPAを、地方公共団体(横浜市)にて行った共同実験の報告書

公開されていたので読んでみました。

横浜市総務局 横浜市におけるRPAの有効性検証の成果の公表について

実際に利用してみた職員さんのナマの声も掲載されていて、興味深いものでした。

実際にRPAを試したことがある身として、

この報告書を読んで感じた課題・今後のヒントを書いてみます。

※横浜市共同実験に関する成果報告書より。具体的な対象業務と削減時間が参考に※

 

「働き方改革」が主な目的

この共同実験は横浜市とNTT、NTTデータ、NTTデータのグループ会社である株式会社クニエの4者で実施されたとのことです。

使われたRPAはWinActorというNTTグループが開発したものです。

実施期間は、平成30年7月から平成31年3月までの9ヶ月間。

普段の仕事に加えてRPAのテスト業務に関わった職員さん、きっと大変だったでしょう。

主な目的は長時間労働の是正、働き方改革です。

横浜市は日本の市区町村の中で最も人口の多い都市で、業務量が半端ないのはイメージできます・・。

 

対象となった業務にヒントが

この報告書には、RPAを導入した実際の対象業務が列挙されていて、とても参考になりました。

例えば、以下の業務です。(「共同実験に関する成果報告書」11ページより抜粋)

  • 庶務事務システムの月締め時に、区局労務主管課(約50か所)用に出力されたファイルに対して個別のパスワードを設定し、リマインドメールを送る業務。
  • 工事の一般競争入札案件における資格審査の一つとして、専用サイトにアクセスし、事業者が届け出した「技術者」及び「現場代理人」の名前及び建設業許可番号を入力し、当該技術者等の他の工事への従事状況を確認する業務
  • 財務会計システムの歳入執行照会画面から18区及び各局の調定・収納・欠損額を取得し、一覧表にまとめる業務。
  • エクセルで作成された一覧表を基に、外部システム上の画像ファイルをローカルフォルダに保存する業務。
  • 財務会計システムで作成した支出スケジュールをダウンロードし、グループウェアの予定表に登録する業務。

私も大きな企業に勤めていたから胸が痛みました。似たようなことをしていました。

これらの業務に共通している特徴は、

  1. 定形・反復業務
  2. 異なるシステム間を行き来する業務

なので、まさにRPAの得意とするところかなと思います。

特に2の問題は私も業務をしていて常々難しいと感じるところで。

本来、データはデータのまま扱うべきところ、

システム間に人が介在してしまっているんですよね。

「入力」という作業は極力なくしていく方向が一番効率化が進むのではないでしょうか。

そのためにはRPAだけが唯一の解ではなく、データを扱いやすいシステム(CSV、Excelデータなど)を最初から導入する

という方法もあると思います。(国・地方公共団体は一度導入すると変えるのは難しいでしょうけど)

 

実際の結果

RPAを導入した結果、対象業務において平均84・9%(業務に寄っては99.1%!)の削減率だったそうです。

99%って、もうその業務に人は要らないレベルですね。

 

現場のナマの声も参考になる

実際のプロセス(研修会実施→技術ディスカッション→問い合わせ支援→中間報告会)の中で

出てきた現場のナマの声も参考になります。

  • RPAの活用イメージが湧きづらい
  • マニュアルどおりのシナリオ作成はできたが、実際に自分でシナリオ作成するのは難しそう
  • マニュアルを見てもマニュアルのどこを見たら良いのかわからなかった
  • シナリオ作成には一定のまとまった集中できる時間が必要であった
  • 画像マッチングできないというエラーが発生した
  • シナリオにあるパスワード付与処理が、一つずれてパスワードが付与されてしまう動作が発生

「RPAの活用イメージが湧きづらい」

は、普段行っている作業が当たり前と感じている人は感じると思います。

実際に一つでもロボットを作ってみて、体感することが大事です。

参考記事:

【RPA】Excel+WinAutomationで請求書作成・PDF化・定型文にてメール送付。

【RPA】UiPathとExcelVBAの連携によってcsvデータを自動でクラウド会計にインポート。ルーチンワークこそRPAを活かそう!

次に、「マニュアルどおりにはできるが、自分でシナリオ作成するのは難しそう」という意見。

今回の報告書には

全くプログラミング経験がない職員でも作成できたシナリオの発表」

「WinActorの操作性:プログラミングの知識は不要

マクロやプログラミングのスキルは不要ではあるものの、一定程度のITリテラシーが求められ」

といった形で

「プログラミング不要」

のニュアンスが目立ちました。

私はWinActorは利用したことがないのですが(UiPathとWinAutomationというソフトのみ)、

ある程度のプログラミングの知識は必要だと思っています。

特に、繰り返し処理、条件分岐処理などになると単純なGUI操作では難しいです。

上のナマの声にもあるように、何かトラブル(画像を認識しない、予期しない動作をする等)があったときに、何も知識がないとどこをどう変えれば良いのか当たりがつけられないのではと。

プログラミングを勉強するのに費用はほぼかかりませんし(ExcelVBAやGAS等はすぐに始められる)、

基本だけでも学ぶと全然違うのかなと思いました。

職員満足度は向上するのか?

この報告書の最後のページに書かれていたことが少し気になります。

RPAなどのICTを使いこなす働き方に変えていくことにより、 職員が「ロボットには代替できない業務(=作業に追われる時間の最小化)」に注力できる環境を作ることが、横浜市で働く誇りや働き甲斐にも繋がると考えます。

「ロボットには代替できない業務(=作業に追われる時間の最小化)」

と書かれていますがこれってイコールには必ずしもならないのではと思います。

作業に追われる時間が最小化することですぐにロボットには代替できない業務は見つかるのでしょうか。

「ロボットには代替できない業務」はふっと湧いてくるものではなく、自分たちで考えなければいけません。

 

99%も削減できてしまった業務をずっとやり続けていた職員さんに、

ロボットに代替できない業務を、と言っても酷かなと・・・。

とはいえ、対象業務を眺めていると胸が痛みますので、

こういった業務に追われる人がいなくなるのは全体的に良いことだと考えています。

 

まとめ

横浜市の総務局が発表した「横浜市におけるRPAの有効性検証の成果の公表について」について感じたことを書いてみました。

この報告書にWinActorは「安価」と書かれていましたが、

国・地方公共団体から見ればそうかもしれませんが

フリーランス・中小企業にはなかなか手を出せない価格です・・(年間1ライセンスうん十万円)

フリーランス・中小企業の場合にはRPAの前段階でできること(なるべくデータ化・連携しやすいシステムを使う等)があると思っています。

 

編集後記

昨日は、出版社の方と打ち合わせ。去年から続いていた企画が通り、今年夏くらいに出版できそうです。

特殊税務の本です。

その後、Webメディアを運営されている会社の取材へ。写真を撮られるのがいまだに慣れません・・。

 

Today’s New

とあるWebメディアの会社から取材を受ける


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