ひとり仕事とRPAは相性が良い。効率化を躊躇なくできることが最大のメリット
12/172019
カテゴリー:RPA
大企業の間接部門を中心にRPA(Robotic Process Automation)がトレンドとなっています。
RPAとは、主にルーチンワークをパソコンの中のロボットがやってくれるという仕組みです。
「RPA導入によって◯%の業務を削減!」
など派手なニュースが多いのでRPA=業務効率化の神
みたいなイメージがつきつつあります。
ただ、実際に私もいくつかRPAを作ってみて思うことは、
やっていることは非常に地道で地味なことです。
それでも大企業のような派手な効果はありませんが、確実に業務効率化は進みます。
昨日、税理士の井ノ上陽一さんの『税理士のためのRPA入門』を読みました。
井ノ上さんは、RPAに関する記事をブログに多くアップしています。
RPAはトレンドとなっている割には「実際に手を動かした」人の発信はほとんどありません。
そんな中、「実際に手を動かした人の情報」ということでとても価値のあるものです。
しかも、「税理士のための」ということでターゲットを絞っている点が良いですね。
そんな井ノ上さんが書いた本を読んで、あらためて
RPAとひとり仕事(特に税理士)の相性が良いことを実感しました。
その他、共感した部分を書きます。
※見つけた!!※
税理士業界特有のしがらみ
この本にも書かれていますが、RPAは使いにくいシステムをなんとか(無理やり)効率化させるのに適しています。
最近は外部と連携できる会計ソフト・税務ソフトも出てきていますが
まだまだ少数派で基本は「囲い込み」「ユーザー目線どこいった?的なUI・仕様」が目立つものが多いです。
最近もとある会計ソフトから年末調整のデータをエクスポートしようとして
「この情報がほしいのに・・」というデータがなくて断念したことがあります。
他の業界では考えられないかもしれませんが、
- 送られてきたFAXを見ながらソフトに入力
- 送られてきたExcelの表を見ながらソフトに入力
といったことが行われているのがこの業界かと思います。
業界の特性上、国のシステム含め簡単には改善されないでしょう。
その隙間を埋めるために有効なものがRPAです。
税理士業界とRPAの相性が良いのはこういった背景があります。
RPAはひとり仕事にメリットがあると思う理由
井ノ上さんも書いておりますが、
私がRPAはひとり仕事にメリットがある
思う理由は、
「躊躇なく効率化ができる」という点です。
例えば、私が以前作ったこちらのRPA。
決済サービスのPaymobizとExcelVBA、クラウド会計ソフトをRPAで連携させて
クラウド会計ソフトにPaymobizのデータを取り込むことを自動化したものです。
【RPA】UiPathとExcelVBAの連携によってcsvデータを自動でクラウド会計にインポート。ルーチンワークこそRPAを活かそう!
こういったプログラムは「自分が使うためのもの」であって、汎用性がありません。
(しかもPaymobizは既にサービスが終了していて、このRPAは使えなくなりました)
普通の会社で働いていたらこんなプログラムは
「自分のことばかり考えてないで他の人も役立つプログラムを作れ!」
なんて言われてしまうかもしれませんね。
ひとりだからこそこういった汎用性のないものを作って勝手に効率化できるのです。
↓こちらは請求書をクラウド会計ソフトで作ってメール添付して送るというものです。
RPA(UiPath)を使ってExcelからMFクラウドの請求書を自動作成・送付。ちょっとした機能を自分でカスタマイズできる
これもクラウド会計を使っている自分が業務で「こういうのあれば良いな」と思い作ったものでした。
↓はRPAでExcelから税務ソフトへデータを転記するというプログラムの記事です。
業界以外の人は「は?」と思うものかもしれませんが先程書いたようにcsvインポートすら
できないのが税務ソフトの現状です。
このようなシンプルなプログラムが業務効率化に大いに役立つのです。
【RPA】UiPathでExcel→税務ソフト転記。カオスなソフト入力スキルよりも、Excel・RPA・プログラミングのスキルを上げる
ただUiPath(RPAのソフト)が日本語化されてからあまり利用できていないので。。
今後試していきます。
RPAの誤解:誰でもできる簡単なものではない
よくRPAの説明として
「プログラミングの知識がない人でも簡単にできる」
「フローチャートで視覚的に見れるので誰でもメンテナンスができる」
といったものを見かけます。
井ノ上さんはRPAのことを「かんたん」とは書きませんでした。
『税理士のためのRPA入門』に「かんたん」と書かなかった理由 | EX-IT
私も書きませんし、実際やってみて、誰でもできる簡単なものではないということは実感しています。
確かに他のプログラミング(Excel VBA、GAS、Python、HTML/CSSなど)と比べて
「視覚的に」操作できる部分は大きいのでハードルは下がるかもしれませんが、
少なくとも上記3つのプログラムを作る際次の知識が必要でした。
- 業務の全体的な俯瞰スキル
- Webレコーディング、デスクトップレコーディングの理解
- 変数の理解
- 一般的な関数(For each、Do Loop〜until)やフロー制御(If)の理解
- ExcelVBAの基本的な理解
時間も1つのRPAを作るのに少なくとも5時間以上はかかっています。
プログラミングに触れたことがない人がいきなりできるものではないと思います。
巷の「誰でも簡単に・・」という言葉は鵜呑みにしないほうが良いでしょう。
プログラミングの業務時間削減以外の効果
大企業などはRPA(プログラミング)に関して「業務時間削減」と時間に関する効果をよく書いていますが、
私はそれだけではないと思っています。
それは、
- 業務を俯瞰する力をつけられる
- 融通が利かないことに対して忍耐強く、論理的に考える力が身につけられる
- プログラミングのノウハウ・スキルが身につく
ということです。
2つ目に関しては人間に対して「あれやっといて」で通じることが
プログラムではそうならないので慣れが必要でしょう。
クオテーション(’)一つないだけでもプログラムは動いてくれません。
「あ、うん」の呼吸で通じてしまう日本人だからこそ、
今後グローバル化する時代にこういったスキルは必要ではないでしょうか。
一番大きなものが3つ目です。
たとえひとつのRPAを作るのに5時間以上かかったとしても、プログラミングのノウハウ・スキルは一生残ります。
「自分でやったほうが早い」と作業を延々と繰り返すか、
ガツッと時間をかけ、苦労した上で一生使えるスキルを身につけるか。
私は後者を選び、しなくても良い作業は一生やらないよう心に誓います。
そんな考えもあるためRPA以外にも、積極的にプログラミングは試しています。
freeeのAPI(Application Program Interface)+GASを試してみたり。
Pythonで会話botを作ってみたり。
ドットインストール(動画サイト)でHTML/CSSを学んだり。
業務を俯瞰する力、(PC、又は人に)論理的に説明する力があることは
今後のAI時代に重要な力だと思うので、
プログラミングは触れておいて損はないと思っています。
加えて、
人(会社)から言われてやるとどうしてもやる気はでないので、
「これを実現させたい」
「この仕事の時間を減らしたい」
といった主体的な動機で始めるのが楽しく継続的に続けられる鍵です。
まとめ
井ノ上さんの『税理士のためのRPA入門』を読んで、あらためて
ひとり仕事とRPAは相性が良いということ、効率化を躊躇なくできることが最大のメリットであること、RPAに対する誤解など思うところを書きました。
本にはRPA、プログラミングに対する考え方の他、
実際のRPAソフト(UiPath)を使った事例も詳しく紹介されています。
RPA興味あるけど・・という方のはじめの一歩にお勧めです。
編集後記
昨日、午前中レンタルスペースへ行ったらトイレのドアノブが壊れていて
(危うく閉じ込められるとこだった)、すぐに不動産やさんに電話してなおしてもらいました。
たまたま誰も予約してなくてよかった・・。
午後は本屋さんに行って井ノ上さんの本を購入。
最近のあたらしいこと
レンタルスペースのトイレの中に閉じ込められそうになる