確定申告書が割と好き

私達税理士でさえ1年に1度くらいしか見ない個人の所得税確定申告書

無料相談などで多く見ることになるのですが、その人の人生が表れていて

割と好きです。

「確定申告、あと○件」

という言葉は、あまり使わないようにしていて、自分のできる範囲で受注しています。

作業する側から見れば「件数」で考えると管理しやすいのかもしれませんが、その先には納税者1人1人の生き方があります。

 

学生時代から確定申告書を見る機会があってほしい

確定申告書は、その人の稼ぎ、家族情報等、個人情報がギュッとつまっています。

「税金は納めなければならない」

と学校では習うけれど、

「税金はどのように計算されるのか」

を理屈でわかっている人は多くありません。

収入と所得の違い、10種類の所得の違い、総合課税と分離課税の違い、すべて意味があります。

簿記と合わせて学生時代から勉強した方が良いと思うのが確定申告書の作成です。

所得税の他にも税金はたくさんありますが、まずは身近な所得税から自分で体験してみると社会の仕組みが分かるはずです。

会社で年末調整が済んでいる会社員の方も、

自分で確定申告書を作ってみるとなんとなく差引かれていた税金の仕組みがわかって勉強になるはずです。

(気軽に確定申告の機会を作るのには、ふるさと納税がお勧めです)

 

確定申告書にはその人の生き方が表れる

確定申告書は1年間の個人の稼ぎをまとめた表です。

慣れていない人から見たら

「なんか数字だらけだな〜」

と思うかもしれませんが、その人の生き方が表れています。

事業にプラスして不動産投資も行っていて堅実な方だなあ、

節税をきちんと考えている方だなあ、

保険にたくさん入っている方だなあ

などなど。

特に事業を行っていて、扶養親族がたくさんいるような方の場合

心の中でエールを送っています。

毎回申告書見てこういうこと考えているから、申告チェックの件数ノルマが達成できないんでしょうね・・汗

 

手書きの申告書にもヒントが

手書きの確定申告書を見るのも好きです。

システムではできないことを行ってしまっているからです。

例えば、氏名欄に奥様と連名で確定申告書を作成してきた人がいました。

(確定申告は人ごとに行います)

昭和の始めの生まれの方でしたので、家族単位で考える世代なのかもしれません。

ちなみに、奥様の続柄を「嫁」と書いている人もいて、微笑ましくなりました。(正式には、「妻」)

課税される所得をマイナスで書いてそのまま税金を計算し続けている人もいました。

(課税される所得がマイナスになることはなく、最高でも0です)

参考記事:

所得がマイナスになることはありません

 

税金計算はその仕組が理解できてこそ、貢献も感じられるものだと思っています。

そんな大事なことを税理士として教えられる立場にあることを、嬉しく思います。

件数で管理するのではなく、確定申告書の先にあるお客様・納税者の顔を思い浮かべながら仕事していきます。

 

まとめ

確定申告書はその人の人生が表れています。

そして、社会の仕組みをコンパクトに学ぶことのできる良い教材です。

「自分には関係ない」と思う人も是非作成してみる機会を設けてみてはいかがでしょうか。

 

編集後記

スポットで依頼を受けていたお客様の元へ法人決算終了のご挨拶に行きました。来年は自力で行えると良いと思い

色々アドバイスしてきました。

 

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