海外に移住する場合の税金についてよくある質問
11/122020
カテゴリー:税金
年末に近づくと単発の税金相談が急に増えます。
多いのが、
「海外に移住する場合の日本の税金」
についてです。
よくある質問をまとめてみました。
※2017年に行ったベルギー・ブルージュ※
海外に移住したら、日本で税金を納める必要はありませんか?
一番ある質問です。
もちろん、この質問に対する答えはケースバイケースですが、
原則的なことを書きたいと思います。
海外に移住する場合、日本の所得税法上「非居住者」(簡単にいうと、日本に住所がない人)というものに
多くは該当します。
非居住者は、「日本で発生した一定の所得」があるときだけ、
日本で納税する義務があります。
この国内で発生した一定の所得を
「国内源泉所得」
なんて呼びますが、
具体例を挙げますと
- 日本にある事業所を通じて得た所得(事業所得)
- 日本にある土地の売却
- 日本にある不動産の賃貸
- 日本国内の企業から支払われる給与
などがあります。
ひとつめの例に挙げたとおり、事業をしている人の場合には
「事業所」など物理的な施設(Permanent Establishment、略してPEと呼ばれます)が日本にない場合には
基本的には非課税となります。
183日海外にいれば日本で課税されないんですよね?
これもよく聞かれる質問です。
「183日ルール」と呼ばれているものです。
このルールは、すべての人にあてはまるものではありません。
183日ルールは、日本の税法に定められているものではなく、
二国間の取決めである「租税条約」に定められている内容です。
その内容は、
給与所得者が、海外転勤などで海外に居住した場合に
滞在期間が183日以内であればその国での課税を免除する、
というものです。
ですので対象は「日本と租税条約を結んでいる国で働く給与所得者」であり、
日本と租税条約を結んでいない国の場合、
事業を行っている人の場合、
には無関係の話となります。
事業を行っている人は
滞在日数だけでなくその他の状況(国籍や家族、職業、資産の所在地等)も考慮され、
住所が日本にないと認められれば
非居住者に該当し、日本国内で発生した所得以外は課税されない、
ということになります。
住民票抜けば、非居住者になれますよね?
非居住者とは、簡単に言うと「日本に住所がない」人
なので、このようなことを質問されます。
ただ、「住所」の定義が実は曖昧なのです。
税法には住所の定義はなく、
民法から借用しているのですが、「生活の本拠」という
これまた曖昧な言い方にとどまっています。
ですので、先程も触れましたが
日本に住所がないか(非居住者かどうか)は、
- 海外の滞在日数
- 国籍
- 職業
- 家族の住んでいる場所
- 資産の所在地
等を考慮して総合的に判断するしかありません。
ですので、住民票を抜いたから
それだけで非居住者、というわけではないことを
理解いただければと思います。
まとめ
この時期、海外移住にかかわる税金の相談が
多いので質問をまとめてみました。
編集後記
昨日は、メール相談、対面相談、原稿執筆など。
最近のあたらしいこと
PSVitaでIQFINALをクリアしました。
なんとなく感覚が戻るのが嬉しいです。