税理士は結婚・出産しても続けられる仕事?
7/52016
カテゴリー:税理士・税理士試験
最近、女性税理士の割合が増えてきていて「結婚・出産をしても税理士は続けられる仕事」というイメージがでてきています。
専門学校などでもよくアピールされていることではないでしょうか。
私も少なからず資格を取る前、そのように考えていました。
しかしふと周りを見てみると、実際に子育てをしながら税理士をしている方はとても少ないように感じます。
私自身は、23歳のときに結婚・出産し、その後税理士試験受験、大学院時代を経て税理士資格を取りました。
私の経験談を踏まえて女性税理士が「結婚・出産をしても税理士は続けられる仕事」と言われていることについて、書いてみたいと思います。
女性税理士の実態
では実際結婚・出産をしながら税理士をしている女性はどのくらいいるのでしょうか。
税理士の統計データとして日本税理士連合会が公表している「税理士実態調査報告書 」というものがあります(最新は平成26年度)。
このデータは10年ごと(!)に公表されていて次回は平成36年でしょうか。(結構先ですね・・)
こちらのデータによると、回答者数のうち
男性税理士:27,852人(85.1%)
女性税理士:4,197人(12.8%)
となっています。
思ったより女性税理士、少ないと思います・・。大体8人に1人くらいでしょうか。
たまに税理士会の行事に参加しますが、地方ではもっと少ないような気がします。
ちなみに年齢別にみると
20代:187人(0.6%)
30代:3,358人(10.3%)
40代:5,599人(17.3%)
50代:5,817人(17.8%)
60代:9,868人(30.1%)
70代:4,343人(13.3%)
80代:3,421人(10.4%)
となります。60代以上で全体の半分以上(53.8%)は特殊な状態ですよね・・。
結婚・子育てに一番かかわる30代・40代女性税理士はどのくらいいるのでしょうか。
30代、40代税理士の割合27.6%(10.3%+17.3%)×女性税理士の割合12.8%=3.5%・・少ないですね。
更に私と同じ30代女性開業税理士の人数はどのくらいいるのか知りたくなりました。
回答者数の内開業税理士は全体の76%。その内、30代の開業税理士5%。この内女性が12.8%だとすると全体の税理士の内30代女性開業税理士の割合は76%×5%×12.8%=0.48%?・・・非常に少ないですね。
残念ながらこの内既婚・未婚の割合がどのくらいなのかはこのデータからは分かりませんでした。
なお、東京とその他の地方と比べれば東京は女性税理士の割合はもっと高くなるでしょう。
しかし思ったよりも結婚・子育てに関わっている女性税理士はかなり少ないということが分かりました。
「税理士は結婚・出産しても続けられる仕事」という意見は恐らく実際子育てを経験している現役女性税理士の言葉なのでしょうが、実際のデータで見てみるとかなり少数派です。
税理士はとるまでに時間がかかる
税理士試験は学生時代に一発で取れればいいのですがそんなに易しい試験ではありません。
早い人で3年、平均7~8年、10年くらいかけて取るのも珍しくないのではないでしょうか。
そうすると、大学卒業後(税理士試験の受験資格は一般的には大卒程度)22歳から受けるとして、30歳までに合格すればよいほうでしょうか。
しかし同時に結婚・出産のリミットも考えると受験期間中に結婚・出産をされる女性も多いと思います。
そうすると一旦受験を中断して育児に専念する期間が出てくるでしょう。
そもそも「税理士は結婚・出産しても続けられる仕事」という考えは、「税理士試験に受かっていること」が大前提となっています。
本当は税理士試験に受かるまでの仕事と、結婚・出産とのバランスが難しいのではないでしょうか。
時間、量は落として仕事は継続する
受験期間中に結婚・出産をする女性は仕事も辞めてしまうという方が多いかもしれません。
税理士受験・子育て・仕事は確かに大変です。
しかし仕事は時間、量を落として継続されることをお勧めします。
私の場合は税理士事務所ではありませんでしたが、時間の融通の利く企業で経理・財務の仕事を細く続けていました。
今でもそのときに経験した業務は役に立っています。(英語、Excelなど・・)
税理士事務所ではよく短時間のパートなどを募集しています。
入力業務がメインになるかと思いますが、税理士がどのような仕事をしているのか参考になると思います。
今税理士事務所では経験者採用に悩んでいるところが多く、経験豊かな子育て中の女性は重宝されるはずです。
補助税理士で長く勤めることも可能だが、開業税理士が一番結婚・出産しても続けられる
私は以前比較的大きめの税理士法人に勤めていました。
そこでは子育てをしながら税理士として活躍されている女性が数は少ないですがいらっしゃいました。
ただ、繁忙期のときはどうしても業務量が増えるため残業をして調整をしていました。
ある程度の勤務実績がある、その組織が自分に合っている、安定した給料をもらいたい、という方には税理士事務所で補助税理士として長く働くのも良い選択だと思います。
ただ本当に結婚・出産しても続けられるということを考えれば開業税理士をお勧めします。
事務所勤務ではどうしても自分の仕事量をコントロールできなくなります。(長くいれば調整力にたけるかもしれませんが・・)
開業すれば責任は全部自分ですし、毎月決まったお給料をもらえる訳ではありませんが、気の乗らない仕事は断ることができます。
特に開業したてはまだ仕事も少ないですし、子育てに重点を置くなどの調整が可能です。
一方でタイムマネジメントが一層重要となってきますので、甘えは禁物になります。
それでも勤務税理士と違って「他者に決められたルール」ではなく「自分で決めたルール」を守っていくことはとても気持ちの良いものです。
まとめ
「女性税理士が増えてきている」「税理士は結婚・出産しても続けられる仕事」という記事をWebでいくつか発見して「本当にそうなのかな・・?」と違和感を感じこの記事を書いてみました。
現状、結婚・子育てに関わりながら税理士として働いている女性は非常に少ないことが分かりました。
また、本当は資格を取るまでの結婚・出産とのバランスが難しいのではないかということも書きました。
ただ、経験者として「税理士(特に開業税理士)は結婚・出産しても続けられる仕事」であることは確かだと思います。
年々税理士受験者が減り続けていく中で、子育てを経験した女性がもっと増えてくれれば業界も明るくなるのではないでしょうか。
編集後記
数年前に誕生日に買ってもらったネスカフェドルチェグスト。
ちょこっとコーヒーを飲みたいときに便利です。
カプセルを購入するのがちょっと面倒ですが今の時期、アイスコーヒーが手軽に入れられて助かってます!
(ブラックではなくコーヒー牛乳のようにして飲んでいます^^)