ビジネスマンで普段数字を扱わない人はほとんどいないでしょう。

営業のアピールに使ったり、他の会社と比較する必要があったり、上司に月次報告したり、経営戦略に利用したり・・

しかし、数字に苦手意識がある人も多いのではないでしょうか。

私自身も、数字を「作る」ことはできても「読む」ことが得意かどうか、というと微妙です。

そこで最近利用しているのが数字を「視覚的に」「大きなところから」把握する方法です。

Excelを使って、会社の決算書を視覚的に大きなところから大雑把に捉える方法を紹介します。

視覚的に決算書を読むとは?

例えば、下記はとある会社の決算書からとってきた直近のPL(儲けを示す表)の数字です。(単位はすべて100万円です)

売上高 544,028

売上原価 231,850

販売管理費 293,401

営業利益 18,777

総資産 288,997

総負債 206,890

純資産 82,107

売上高が年間5,440億というと結構大きな会社ということが分かりますが、どんな会社かはピンとこないですよね。

これをExcelで視覚化するとぐっとみやすくなります。

ちなみに、決算書のExcelでの作り方は名古屋の税理士の植村豪さんのこちらの記事を参考にしました。

貸借対照表のイメージ図をExcelで作ってみた 前期以前と比較すれば見えてくることがある | 税理士業はInput&Output 〜 GO for IT

先ほどの会社のBSとPLの二期分をExcelで作ったのがこちらです。

パッと面積で大体の把握ができるのが良いですね。

数字を大きなところから見ていく→「なぜ?」を突き詰めていく

時系列で見ていく

数字は時系列で見ていくことが大事です。

その期の分だけ見ていてもその会社の特徴や活動が見えてきません。

今回は時間の関係上二期分作りましたが、本当は三期分以上用意した方が良いでしょう。

BS、PL両方で会社の特徴を捉える

視覚的に数値をざっくり見てその会社の特徴を捉えてみましょう。

例えば先ほど見たこちらのBSの会社は「すき家」などを運営するゼンショーです。

店舗を構えて営業するので固定資産がやはり多いですね。

一方自己資本比率(総資産に占める資本金等の自己資金の割合)は3割弱あるので財務基盤はしっかりしていそうです。

ゼンショーのPLはどうでしょうか。

売上高営業利益率が2、3%で薄利多売を表していますね。

これで値下げしたら最終利益がなくなってしまいそうです・・。

売上原価よりも販管費の方が高いのは以前のストライキ問題が関係しているかも。

BSとPLの大きさの比較をするのもその会社の特徴を探るのに良い方法です。

ゼンショーなどの飲食店業や小売業、卸売業などはどれだけ効率的に資産を使ったか(回転率)が大事となってきます。

回転率は売上高➗総資産で求められます。

ゼンショーは見ての通り総資産の回転率が1.8と業界平均(1.7)を上回っており資産効率が良い経営をしていることが分かります。

一方銀行業や装置産業、ホテル業などは固定資産が大きく、逆にPLよりBSの方が大きくなります。

このようにBSとPLのバランスで大雑把な会社の特徴を捉えることができます。

「なぜ?」を探っていく

ざっくりと決算書を眺めたら「なぜ?」を探っていくことが大事です。

一般に公開されている会社のHPや、有価証券報告書が見られるEDINET、短信が見られるTDnetでは決算書だけでなくより詳しい情報を見ることができます。

例えば、次の決算書は2016年度と2017年度のソフトバンクグループの決算数値をEDINETから持ってきて作りました。

1年間にBSがかなり膨らんだのが分かります。

まず固定資産の増加が目立ちますが、こちらの主な理由は他の会社を買収した時に計上されたのれん代です。1年で2兆5千万円くらい増えています。

同時に固定負債も増えていますが、こちらは有利子負債である長期借入と社債発行が主な増加理由です。

ソフトバンクが買収を積極的に行い、同時に借り入れも行なっているという「攻め」の姿勢がよく分かりますね。

PLを二期比較しても営業利益率がアップしており、稼ぐ力もついてきているのが分かります。

次に、こちらはユニクロを営むファーストリテイリングのBSとPLの二期比較です。

純資産の厚みがすごいのにびっくりです。かなり財務基盤がしっかりしてますね。

2017年度は売上は固定負債がだいぶ増えているのが分かります。

こちらは主に社債発行で、海外出店を加速させるためだということが分かりました。

ただ利益が出ているのにも関わらず、純資産がだいぶ減っているのが気になりました。

こちらの原因は主に在外子会社の為替換算差額とキャッシュフローヘッジの損失ということが分かりました。(これらは「その他の包括利益」という科目でまとめられています)

海外出店を行う企業にとって為替のロスは相当響く。そんなことも決算書から読み取れます。

自分の会社の数値が一番勉強になる

今回有名な会社の決算書を視覚的に、大きなところから見てきましたが、

一番勉強になるのは自分の会社の決算書の数値です。

その会社のことを一番知っているのは経営者と従業員の方なので、本来一番数値を理解できる存在ではないでしょうか。

会社の現状や方向性を知ったり、自分の仕事が数字とどう結びついていくかを知ることが1番の勉強方法だと思っています。

まとめ

数字はただ眺めていてもなかなか読むことはできません。

Excelのグラフ機能などを使って視覚化し、大きなところから見ていくようにしましょう。

今回この記事を書くのに参考にしたのがこちらの本です。

様々な会社の決算数値をあらゆる視点から分析していて面白いです。オススメです!

編集後記

昨日は午前中税務署からの問い合わせ対応。午後はカフェでとある企画の執筆。

変わりやすい天気なのにオープンカフェで作業したことを後悔しました(^_^;

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