私がメインのターゲットとしているクラウド会計ユーザーのお客様は、

大半の方が意識が高く、かなりの精度で処理をしてくださります。

しかし中には「簡単」「誰でも」にひかれて

なんとなく始めた方に「ちょっと見てください」と見せられた

データがすごいことになっていた・・ということが何度もありました。

すごいことになっているデータを修正するのは大変ですし、

納税リスクもあります。

クラウド会計はなんとなく始める前に、一度税理士に相談することをお勧めします。

「簡単」「誰でも」でも最低限の知識は必要

今まであった事例を書いてみます。

現金が数百万円のマイナス

数多くのフリーランスの方の決算書をみてきましたが、

現金が数百万円のマイナスの状況は何度もみてきました。

(現金のマイナスということは、現金をどこかから借りてきていることになってしまいます)

  • 貸借対照表の理解(そもそもマイナス残高はNG)
  • 青色申告55万の要件(残高を合わせる)の理解

がないと起きることかと思います。

今日もYoutubeで話してみましたが、

フリーランスの方は基本的に現金科目を使わない方法がベターです。

使ってしまうと残高を合わせなければいけないので。ただ、それ自体知らない方が多い印象です。

固定資産がマイナス

現金と合わせて、多いのが固定資産のマイナス残高です。

この原因は、減価償却だけ行って資産計上されていない、ということが多いです。

固定資産計上と、減価償却の基本的な理解がない理由で起こることかと思います。

売上二重計上

発生主義の理解がないまま売上二重計上をされている方が目立ちました。

年度繰越を行っていない

なかなか大変だったのが、年度繰越を行っていなかった方です。

前年度のまま、仕訳登録を行っているので

当然期首残高が前年の青色申告決算書とズレており、

その修正から始めなければいけませんでした。

  • 年度が終わったら数値を締める
  • 貸借対照表の継続性

の基本的な知識が必要と痛感しました。

役員報酬の額が毎月違う

とある法人の月次推移表をみたら、役員報酬の額が毎月違う方もいらっしゃいました。

定期同額給与、という概念を知っていたものの、

  • 法定福利費の計上方法(会社と個人折半)
  • 源泉所得税の徴収方法

を知らなかったのか、手取りで計上されていたり、

源泉所得税が徴収されていなかったり間違っていたりしました。

翌月10日に税務署に納付もしていなかったので、不納付加算税が相当発生してしまったようです。

給与関係は、源泉所得税の納税漏れ、役員報酬否認、経費(法定福利費)過剰計上など

リスクが高いので自己判断は怖い部分です。

摘要がすべて空白

これも多い事例ですが、仕訳帳の摘要がすべて空白の方が多いです。

自動連携されている銀行やクレジットカードであれば

取引内容がある程度自動で連携されるのでまだ良いのですが、

問題は現金支払などの手入力で摘要に何も記載されていない場合です。

  • 税務調査の際に仕訳帳はみられる
  • 消費税の帳簿保存要件を満たさない

の理解がないことが原因かと思います。

始める前に一度相談を

まだまだ色々と事例はあるのですが、

クラウド会計ソフトの「簡単」「誰でも」アピールはなかなかの罪だな、と感じるときもあります。

できれば、始める前に一度相談をして

上記の基本的なことを含めて運用方法を確認することをお勧めします。

少なくとも、知識全く0でなんとなく始めて全自動で正しい帳簿は出来上がりません。

そしてできれば始めた後、最初の決算もチェックを受けた方が良いです。

そこである程度精度よくできれば、

2年目以降ひとりで、自社で行うことも検討していただくのが良いと考えています。

 

まとめ

「誰でも」「簡単」のイメージがあるクラウド会計ソフトですが、

最低限の知識は必要です。

始める前と、最初の決算時に税理士のチェックを受けることをお勧めします。

 

編集後記

昨日は、同業者の方に個別コンサルティングをさせていただきました。

東京のほうからわざわざきていただいてよかったです。

 

最近のあたらしいこと

WindowsのPCを買い替えようと思い、初IBM(Thinkpad)を検討しています。

 

Youtube更新情報(毎週水曜日更新)

今日の記事と関係しますが、

フリーランスは現金科目を使わないで事業主貸・借を使おうと

主張しました。

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