飯田真弓さん著の「税務署は見ている。」という本を読みました。

26年間の国税調査官のキャリアを得て著者が経験したこと、納税者や税理士にアドバイスできることを分かりやすい言葉で説明しています。

今まで経験した税務調査のことを思い出してみて腑に落ちる部分がたくさんありとても参考になりました。

税務についてそれほど詳しくない一般の方向けの読み物としても面白いと思いますが、第一に我々税理士が読んでおくべき本ではないかなと思いました。

この本を読んでなるほど、と思った税務調査に関することをまとめてみたいと思います。

最も本腰を入れて税務調査が行われやすい時期は7月―12月

税務署の事務年度は、毎年7月1日から6月30日までで、7月から12月、1月から3月、4月から6月の三つの時期に分けて年間計画をたてるようです。

1月から3月は確定申告時期、4月から6月は確定申告の後処理や3月決算が重なるということから、税務署が本腰を入れて税務調査を行う時期は7月から12月が多いそうです。

そういえば、以前6月に税務調査を受けたことがあったのですが調査官は一人で、質問もあまりなくそんなにやる気があるように見えませんでした。もしかしたら数合わせ程度の調査だったのかもしれません。

しきりに「7月に人事異動があって・・」ということを話していて調査よりも直後に迫った人事異動の方が気になる様子でした。。

7月~12月は人事異動が終わってフレッシュな状態で調査に来るため注意が必要と言えると思います。

 

調査対象はどのように選ばれるか

「どんな会社が税務調査に選ばれやすいか?」ということは納税者にとって気になるところです。

しかし調査官にとってみれば日々「どの会社に不正があるのか、どこを調査に選べば追加の税金をたくさん納めていただけるか」を考えて行動しているので逆に怪しい会社があれば教えてほしいくらいのようです。

実際にはシステムを使った机上調査、事務所やその周辺を調査する外観調査、実際にお客として内観を調査する内偵調査が日々行われているとのこと。

調査官が少しでも「なんでだろう」と疑問を感じた場合にどんな内容なのかを聞きに行きたくなる=調査対象となると考えて良いそうです。

これらに加えて会社社長の親戚や従業員等からの垂れこみ(密告)からも調査対象に選ばれることが多いようです。

 

「これって大丈夫?」は税務署を呼ぶきっかけに

著者によれば、税務調査に入られない会社というのは「これって大丈夫かな?」と思うような処理は経営者も従業員も絶対にしないという会社のようです。

前述したとおり税務署は日々「どの会社に不正があるのか、どこを調査に選べば追加の税金をたくさん納めていただけるか」を考えて行動しているため、

「これって大丈夫?」

というほんの少しでもよこしまな心が経営者や従業員にあれば調査官のセンサーにヒットしてしまうそうです(スゴイなと思いますが。。)

「税理士がいいって言ったから処理したけどなんだか不安があるな・・」という取引は要注意かもしれません。

税理士の言葉を鵜呑みにするのではなく、調査官から説明を求められたときに経営者が堂々と説明できるように事前に税理士と納得のいく話し合いをしておくことが大事だと思います。

税務調査によって社長の人格・税理士との関係が明らかに

調査によって会社の従業員からの聞き込みをすると、その会社の雰囲気や社長の人格が明らかになるようです。

例えば税理士の助言によって「節税対策に外車を買った」「節税対策に会社の行事を早めた」ような場合、会社の従業員から見たら「外車など買うくらいだったらもっと給料を上げてほしい」「社長の都合ばかりで余計な業務に振り回される」という不満を起こしかねません。

従業員の幸せをきちんと考えられるような社長さんとしての資質が税務調査によって明らかにされるということもあるかもしれません。

また、税理士との関係も税務調査をきっかけに見直したほうが良い場合もあります。

私の周辺で起きた話ですが、税務調査の際にひとたび態勢が不利になると税理士が税務署側にたって会社側の不備を責めるといったとんでもない事も起こるようです。

普段から税理士に不満のある経営者にとっては税務調査が顧問税理士を変更するきっかけとなるかもしれません。

また、税務調査の後は「いくら払うか」より「何を間違えたか」を税理士と共有することがとても大事だと著者は言っています。これも当然で、何を間違えたかを共有できなければまた数年後に調査に入られ同じ過ちを繰り返す可能性があるためです。

 まとめ

「税務署は見ている。」という本を読んで過去の経験を通じてなるほどと思ったことをまとめてみました。

税務調査対策は非常に単純で、

「人に堂々と説明できないやましいことを普段から行わない」

ことだと思います。

そのためには経営者が会計処理を従業員や税理士任せにするのではなく自身で理解することが必要です。

編集後記

息子の中学校は毎日お弁当が必要なので毎日作っています。

でも元々料理が得意でないのと体調不良や気分が乗らないときもあり・・そういうときはスーパーで彩りの良いお弁当を買ってきて、

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そのまま詰めています。(プチトマトだけさりげなく追加。)

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最近癖になりつつあります・・が、スーパーのお弁当って彩りとかおかずとか参考になる場合もあります^^;。

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