ペーパーレスの本質は、紙をもらわない・紙を渡さない・データのまま扱う
11/212018
カテゴリー:ペーパーレス
ペーパーレスは環境のため、業務効率化のために積極的に取り組んでいます。
現在出回っている「ペーパーレス」の意味は、以下の2種類があると思っています。
- 紙を電子化してペーパーレス化
- 最初からデータでやり取りしてペーパーレス化
私が取り組んでいるのは2.です。
最初から紙を使わないでデータでやり取りする方法です。
ペーパーレスの本質は、こちらの方法だと思っています。
現在のペーパーレスの主流は紙を電子化すること
税務の分野ではペーパーレスが遅れていましたが、近年電子帳簿保存法の改正が行われ、昔よりは取り組みやすい環境にはなりました。
その一つが「スキャナ保存」です。
先程説明した1.の「紙を電子化してペーパーレス化」に当たります。
紙でもらった領収書等をスキャナ(スマホでも可能)で読み込み、一定の要件(タイムスタンプ付与等)を満たせばそのスキャナデータを保存することで紙の領収書は不要になる制度です。
紙を捨てられるのは良いですが、結局のところ紙をスキャンする、タイムスタンプを付与する(基本3日以内)、チェック体制(2人以上必要)を整える、事前に税務署への届け出が必要・・といったことが必要で、労力は残ります。
更に、紙を捨てるということは環境を汚すということです。こちらのほうが問題です。
現在のペーパーレスの主流はこのような「いかに紙を電子データ化するか」に重点を置いています。
私はこの「スキャナ保存」はペーパーレスの本質ではないと思っています。
紙の管理コストは減らせるかもしれませんが、結局紙を受け取り、渡している時点で紙を減らせていないからです。
ペーパーレスの本質は紙をもらわない・渡さない・データのまま扱う
スキャナ保存は「紙」でのやり取りがあることが前提ですが、
そもそも最初から紙を使わずにデータでやり取りできれば余計なスキャン作業等も生じず、環境も汚しません。
ペーパーレスの本質は
先程説明した2.の「最初からデータでやり取りしてペーパーレス化」
だと思っています。
例えば税務の場合は、
電子帳簿保存法という法律で、電子取引の取引情報(取引情報が電磁的記録の授受によって行われる取引。例えばメールで注文書・領収書等を添付して送る場合等)の保存はデータのままで行う必要があると定められています。
つまり、最初からデータでやり取りすれば、スキャナ保存をするまでもなくデータのままで保存することが原則です。(ただし、紙で打ち出した場合は紙で保存も可能。)
ただ、データで保存するためには下記の一定の要件を満たす必要があります(原則なんですが、要件を満たさなければいけないという。。紙で打ち出した場合には下記の要件はもちろん必要ありません)。
- 見読性(PCのディスプレイ上に、
整然かつ明瞭な状態で速やかに出力することができること) - 関係書類の備え付け(電子保存の対象となったデータを作成するのに使用したシステムの概要を記載した書類
) - 検索機能の確保(取引年月日、科目等の検索条件設定、
範囲検索、条件検索など) - タイムスタンプ付与又は事務処理規定(訂正・削除禁止、
管理責任者の設定など)の備え付け・運用
ただ、スキャナ保存と違って事前の届け出は必要ないですし(そもそも原則なので)、導入のハードルが高いタイムスタンプに代えて事務処理規定を定めればOKなのでそこまで労力はありません。
私が実践し、そしてお客様に勧めているのは、こちらの「最初からデータでやり取りしてペーパーレス化」です。
紙でのやり取り自体をなくしていく
データのまま扱い、保存するためには、紙でのやり取りをなくしていく必要があります。
もちろん取引先の事情もあるでしょうから、自分のやり方を押し付けることはできませんが、
言ってみないと分からないこともあります。
紙の請求書→メールにてPDF添付OK?
契約書→クラウドにて署名でOK?
など。
なるべく相手のメリット(工数が減るなど)を打ち出し少しずつ歩み寄るのが良いかと。
本日、出版社の方と打ち合わせで
「校閲は郵送で・・」
とおっしゃっていたので恐る恐る、
「すみません、PDFデータで受け取っても良いでしょうか・・?」
と聞いてみたところ、
「問題ありません」
というお答えをいただけたので、ほっとしました。(紙をもらってもなくすので。。)
言ってみると意外と通ったりします。
まとめ
「ペーパーレスの本質は、紙をもらわない・紙を渡さない・データのまま扱う」
と思うところを説明しました。
今まで行ってきたことを変えるのは難しいですが、少しずつ、ペーパーレス始めてみませんか。
編集後記
昨日は、税務雑誌記事のゲラチェック。なんとか終わりました。
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