税金を減らすことが第一の目的となっている場合のメリット・デメリット
3/62018
カテゴリー:税金
「とにかく税金を1円でも税務署に払いたくない」
という方は意外と(意外じゃないかもしれませんが)多いです。
そういう方にとっては、節税と脱税の境目も曖昧です。
その考え方は人それぞれなので、特に否定するつもりはありません。
ただ、「税金を減らす」というメリットを上回るデメリットがあると思っています。
税金を減らすことが第一の目的となっている場合のメリット
税金を減らすことが第一の目的となっている人のメリットとしては、
決算期や、個人の確定申告時期に皆が税金を納めているなかで、自分は納めなくて良く精神的に楽なメリットがあります。
プライベートの支出も「税金分が浮く」と思えば気軽に使えるメリットがあります。
税金を減らすことが第一の目的となっている場合のデメリット
一方、デメリットとしては、いくつか考えられます。
税務調査への対応の難しさ
普段からなんでも経費にあげていると、万が一税務調査がきたときの対応が難しくなります。
自信を持って経費です!といえるものでなければ
証拠書類や説明が必要になり調査も長期化し、お互い疲弊します。
可能性として、よきせぬ出費(延滞税・加算金など)があって税金を減らすどころではなく逆に持ち出しになる恐れがあります。
税金を払わなければお金は残せない
「税務署に1円でも税金を払いたくない」と思っている方がよく行うのが、経費を積み増しして利益を0にすることです。
確かに0にすれば税金は払わなくて済みます。(法人住民税の均等割や消費税など赤字でも払う税金もあり)
ただ、事業として残るお金も0です。
経費を積み増しして使ってしまっているからです。
「プライベートの費用も経費で落とせるから良い」という考えもありますが、
税務上のリスクが発生することはもちろん、プライベートの費用は企業の稼ぐ力をつけてくれる訳ではありません。
その時点ではプライベートの支出をまかなえた、とお得を感じるかもしれませんが将来的に
見たら事業で稼いだ貴重なお金を無理やり使ってしまい、事業の再投資に回せないのは損失です。
また、税金は利益に対して税率をかけて計算します。すべて持っていかれるわけではなく、お金は必ず残すことができます。
税金を払えば、残りのお金を使って戦略的に再投資することが可能です。
一方、経費を積み増しして税金を0にした場合残るお金も0なので戦略的に再投資することができません。
企業の稼ぐ力を測定できない・意思決定できない
税金をとにかく減らすことが目的となっていることの一番のデメリットとして、
「稼ぐ力」を正しく測定できず、その後の意思決定ができないことが挙げられます。
売上から経費を差し引き、利益を計算する過程は税金を計算するためだけでなく、
企業・個人の「稼ぐ力」を正しく測定し、意思決定に役立てる目的もあります。
一方、税金を減らすためだけに経費を積み増しした場合、税金は払わずに済みますが
売上から経費を差し引き、利益を計算する過程が税金を減らすこと以外意味のないプロセスになります。
算出された数値は、意思決定に役に立ちません。
手元にお金が残らないことと同じくらい、こちらもデメリットが大きいと思っています。
税金を減らすことが大きな目的となっている人は、その考え方は否定しませんが
長期的にみると失っているものが多くあると思っています。
まとめ
税金を減らすことが目的となっている場合のメリット・デメリットについて書いてみました。
お金が残らないのと同じくらい、数値が意思決定に役立たないことは問題だと思っています。
税金は、儲かったら課せられます。ただし、100%ではなく、残るお金が必ずあります。
もちろん個人の方だったら小規模共済、確定拠出年金、企業だったら役員報酬、社宅の活用など有効な節税手段はあります。こういった基本の節税と
「きちんと事業で利益を出し、税金を払って、お金を残す」基本を理解し、
短期的な視点ではなく税金を含めた長期的な戦略をたてていくことが大事だと思っています。
編集後記
今日は、午前中対面相談1件、午後は病院へ。
花粉症がひどいのですが、薬でだいぶ抑えられています。
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カフェ・ド・クリエ 桜木町でカフェモカ飲みながら執筆