法人と個人は別人格。金銭等のやり取りには注意しましょう
2/62020
法人を設立したばかりの方の質問で多いのが、
「個人の資産を法人の資産として使って良いですか?」
「法人カードの経費を法人分と個人分に按分できますか?」
といった個人と法人の間の取引に関するものです。
法人は個人と別人格であるため、
金銭等のやり取りについて明確な線引が必要となります。
※横浜地方法務局にて※
法人には個人の「家事按分」のようなルールはありません
個人で事業を行ってきた人であれば、
「家事按分」(事業とプライベートで経費を按分すること)を知っている方も多いでしょう。
例えば自宅兼事務所の家賃など、プライベートと事業で分けられない支出を、
なんらかの基準(面積など)で明確に区分すれば事業分は経費とできるルールです。
このルールは個人の所得税ならではのもので、
法人にはありません。
例えば自宅の住所を会社の住所として登記した場合です。
賃貸契約は法人名義でなく個人で行っている場合、
家賃の一部を面積按分にて法人の経費にする、といった考えはなく
あくまで独立した法人ー個人間で適正家賃にて賃貸借契約をする必要があります。
この場合、法人から個人に支払った家賃は、
法人では経費となりますが
個人のほうでは不動産所得として確定申告をしなければなりません。
金銭等のやりとりに注意
個人事業であれば事業のお金が足りなくなったらプライベート資金を補うというのは
よくあることですが、
法人の場合には個人と別人格であるため法人と個人のお金は明確に線引する必要があります。
したがって法人と役員との間で金銭の授受があった場合には、厳密には法人ー役員間の金銭消費賃借契約となります。
役員との間の一時的な貸し借り(特に創業時など)であればそこまで問題ないのですが、
合理的な理由もなく法人ー個人間での金銭のやり取りが多くなると
銀行からは(特に役員貸付金に対して)信用度が落ち(法人のお金を私用で使っているのではないか、など)、
税務署からは個人と法人の利益操作を疑われる、
といった原因ともなります。
また、個人で所有している資産を法人で利用したい場合には、
個人から法人に資産を売却し、譲渡所得税を申告しなければなりません。
(もしくは個人ー法人間で使用契約を結び、法人が使用料を個人に支払い、個人が確定申告をする)
現物出資をした場合も同じで、一旦その資産は売却したものとして取り扱われます。
また、時価に対して著しく低い価額で譲渡して譲渡所得税を免れようとしても、
時価に基づいて算定し直されるため故意に税金を逃れることができないようになっています。
このように、
所得税・法人税は、
個人ー法人間での取引に関して故意に税金を減らすことのないよう、がっちり塞いでいる
ので、
納税者側も意識して個人と法人は別人格であることを意識し、
お金の線引をする必要があります。
まとめ
法人は個人と別人格なので、金銭・資産のやり取りには注意しましょう。
特に法人成りしたばかりの会社は、個人のお金との線引を設立時から
きちんとしておくことをお勧めします。
編集後記
昨日は、連載のゲラチェックなど行いました。
最近のあたらしいこと
ふるさと納税でいただいた佐賀県の鰻
名古屋の鰻を思い出して、またひつまぶしが食べたくなりました