ものすごい早さでAIが進化しています。

そのせいか、

インフルエンサーや、煽り系の記事で

「AIでこういう仕事はなくなる!」

と言われていますが(税理士も例外ではなく)

そう簡単に仕事はなくならないと思っています。

そう思う理由を書いてみます。

※AIの限界を知ることも大事

1950年の職業リストからなくなったのは

執筆家・経営コンサルタントの山口周さんがおっしゃっていたと思いますが、

1950年の米国国税局の職業リストには、271種類の職業が載っていたところ、

なくなったのはたった1つだけだったということです。それは、エレベーターガール。

そういえば、日本でも全然見なくなったような…とはいえ完全に「消滅した」とは言えなさそうですよね。(どこかにはいそう)

タイプライターさんとか、電話交換手さんなんかは消滅したとも言えそうです。

とはいえ、これを聞いて仕事(職業)って、そう簡単になくなるものじゃないんだなとあらためて実感しました。

暗黙知だらけの仕事をAIが代替できる?

あと、「AIで仕事が消滅する」の意見に欠けている視点は、仕事の「暗黙知」だと感じています。

ネットに転がっている部分だけで解決できないことが多いです。

例えば、私がしている税理士というお仕事。

もうずっと前からデジタルで自動化できるとか、AIなくなるとか言われていますが全然なくなりません。

なくなると言っている人は

「AIに経費になるかどうか聞けばすぐ出てくる」

「仕訳なんて自動でできる」

「申告書もAIで…」

とおっしゃいますが、

その背景には膨大な量の「暗黙知」(公になっていない経験を積み重ねることにより得られる知識)があり、更には試験や普段の研鑽で培う土台となる知識があります。

AIで出る回答も、税理士から出る回答も、同じといえば同じですが、

文脈を理解し、過去と未来を地続きに俯瞰し、背景やロジックを相手に納得できるように説明できるのはまだ人間しかできないことかな、と思っています。

便利な会計ソフトがでてきてもにっちもさっちもいかない会計データが出来上がるのは

その証拠で、

断片的な知識では限界あるよね…と思うことが多いです。

あとは、AIは責任を取ってくれませんが、人間は責任を取らなければならない。この違いは大きいと思います。

仕事柄様々な職種の方と関わりますが、

皆さんそれぞれ何年も、何十年も鍛錬を積んでいる方が多く、

そういった人たちの目に見えない暗黙知がAIですべて代替されることは考えにくいです。

消滅するんじゃなくて、「安くなる」

私は厳密にはAIで仕事がなくなるんじゃなくて、AIで(一定の)仕事が安くなると考えています。

例えば、文字起こしを考えてみます。

会議や動画の文字起こしはいまだクラウドソーシングサイトなどで募集がされていることが多く、需要はあるのでしょう。

しかし、ご存知の方も多いと思いますが既に文字起こしの機能はテクノロジーでほぼできるレベルに達しています。

YouTubeでは標準で文字起こしがされていますし、Google Documentなどでの音声入力はもちろん、最新のAIツール(例えばAI文字起こしツールのvrewなど)を使えばテキストを動画に追加することができてしまいます。

それを知った人は仕事をすべてテクノロジーに任せるでしょう。なぜなら、そっちのほうが早くて安いから。つまり、人間に文字起こしをお願いする人は最新のテクノロジーを知らない人だけになっていきます。したがって、需要が減ります。需要が減れば、需給関係で、価格は下がります。

仕事はなくならないけど、一定の仕事の価格は下がる。ですので、安くなる(AIで完全に代替できる)仕事しかしていない人は段々と経済的に厳しくなってくることは確実でしょう。

私個人としては、「安くなる仕事をしていたらまずい」、というよりは、

テクノロジーで代替できる仕事であればどんどん代替してもらいたいし、

その先にあらたに生まれる仕事を(あわよくば)とっていくほうが楽しいからそうしたい、という気持ちです。常に、(自分にとって)楽しい方向へ行きたいと思っています。

まとめ

「AIで仕事がなくなる」論争は多いのですが、

そう簡単に仕事ってなくならないよね、

と思ったので書いてみました。

普段多くの経営者や専門家の方と会うのですが、

私が毎日数時間税理士業をしているのと同じように皆さん自分の仕事に時間をかけていて、リスペクトの気持ちは持っていたいなとあらためて思いました。「熟練」という言葉がいまこそ響きますね。

編集後記

先週は、上野の東京都美術館に行ってイタリアの画家、デ・キリコ展を見ました。

美術館は普段とは違う世界を味わえるので大好きです。

金曜日は、たまたま友人が鎌倉へ来てくれたので念願の紫陽花が咲き誇る明月院へ。(いつも混んでて地元なのに行けなかった)

紫陽花もさることながら、竹も素晴らしいなーと思いました。行ってみたかった古民家カフェも。連れ出してくれた友人に、感謝。

最近のあたらしいこと

シーズン中の明月院

お菓子と喫茶 マルン

生成AIパスポート試験受験

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