美術館に行くのが割と好きなのですが、

いつも感じていることがありました。

というのは、

皆さんすごくおとなしく鑑賞しているなあ、ということです。

(ひとりで来ている方は当然ですが)

私は姉とよく一緒に行くのですが、

解説文もロクに見ずに、

「この絵、子供が書いたみたいだね」

「この絵、なんかむしゃくしゃしたときに絵の具ぶちまけたみたいだね」

とかダメ出し含めた率直な感想を言い合いながら見ているからです(周りに迷惑かも)。

でもそういったアウトプットは、

意外と良いことだったんだな、とこの本を読んでわかりました。

自分だけの答えを見つける訓練になるからです。

 

アートそのものではなく、アート思考が大事

この本で著者は、

自分だけのものの見方で世界を見つめ、

自分なりの答えを生み出し、

それによって新たな問いを生み出す

ことを「アート思考」と読んでおり、

絵画などアートそのものとは区別しています。

アートと言うと、美術館に飾られている立派な絵画や、

歴史的な建築物などが思いつきますが、

そのような開花物ではなく、

それを開花するための根っこの目に見えない部分(自分なりの考え方)

が大事。そんなことがこの本に書かれていました。

下手な絵が好き

私も薄々「開花物」ばかり「アート」というのはなんか違うなあ、と思っていました。

息子の授業参観などで学校に行き、子どもたちが書いた絵を見るのが割と好きなのですが、

線が曲がっていたり、歪んでいたり、色がぐちゃぐちゃな

いわゆる「下手な」絵のほうが好みです。

ずっと下手でいてほしいなあ、と思うけれど

きっと美術の授業で立派な絵画を見せられて

「自分は下手なんだ」と思い込んで書かなくなってしまうのだろうなあ、と。

下手な絵こそ、自由に自分の思いを表現していて、その人らしさが宿っている気がします。

媚がない、という感じでしょうか。

なぜアート思考が大人にも注目されているのか

最近、アート思考とビジネスに関する本が出版されています。

アート思考を身に着けたいと思っているのは大人でも同じです。

なぜアート思考とビジネスが結びつくかというと、

正解のない世の中になっているからです。

インターネットやSNSの普及により、知識ベースの「答え」はすぐ手が届きます。

しかしそれを使って、加工して、自分なりの答えを導き出す、

あるいはそもそも「問い」を生み出すという行為は

自分なりの思考を持っていないとできません。

その訓練にも、美術鑑賞はうってつけであるということがこの本に書かれています。

美術館でみなさんおとなしかったのは、

「この絵の正しい鑑賞の仕方」

を探しに、解説文を必死で読んでいたからかもしれません。

もちろん知識としてその美術品の背景を知っておくことは重要ですが、

それよりも重要なのは自分なりのアウトプットをするということです。

間違っても良いですし。

(多分、私達の鑑賞の仕方も間違っていて隣で笑われていたかもしれません)

美術鑑賞に限らず、日常生活、ビジネスの場で

誰かが決めた「正解」なしに

どこまで自分で思考ができるか、

大人にとっても自分の人生を生きるために必要なことではないでしょうか。

そんな「問い」を投げかけてくれる本です。

実際の美術品を見ながらのクイズも面白いので飽きずに読めます。

 

編集後記

金曜日は、引越し先の内覧を何件か。

うっかり水分補給を怠っていたら熱中症のような症状が出てきて

家に帰り休息を取りました。

季節の変わり目の時期、気をつけたほうが良いですね。

 

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