租税教育は大人も学び、子供に税金の興味を持ってもらうところから
10/262016
カテゴリー:税金
11月に、とある地元の中学校で租税教室を行うことになりました。
租税教室とは、小学生、中学生、高校生向けに租税の仕組みや重要性を税の専門家である税理士がわかりやすく解説する制度です。
税金はなぜ必要なのか、税金の使い道はどうなっているのか、日本の財政状況などをレクチャーします。
事前に学校へ訪問するのですが、気になったのが先生の対応でした。
毎年のように担当の先生が変わるようで、今回も新任の先生が対応しました。
何か講義に対して要望はありますか?との問いに「お任せします」「分かりやすい説明で」くらいしか反応がありませんでした。正直、関心があまりなさそうでした。
関心がない大人たちがいくら租税教育を子供に、といっても無理がありますよね。
どうやったら子供が税金に興味を持ってくれるか考えてみました。
大人になっても税金を体系的に理解する必要がない
まず子供が税金に興味を持てない原因の一つ、大人自身が税金に関心がない背景について考えてみました。
今まで租税教室を何度か行ってきた税理士の方から話を聞くと、たまに生徒だけでなく先生方に「何か質問は?」と投げかけても「ふるさと納税でおすすめは?」くらいしか出てこなかったそうです・・。
それも仕方ないのかな、と思うのが日本では大人になっても税金を体系的に理解する必要がない仕組みになっているからです。
学校の教師のように公務員だったり誰かに雇われたりする立場であれば、税金計算を行う必要もありません。
いくら申告納税制度を掲げても、自分で行う必要がなければよほどのことがない限り(税金が大幅に減るとか)自分で行わないですよね。
給与明細を見て、支給額をチェックするだけの人も多いでしょう。
いくら「租税教育」と意気込んでもそもそも周囲にいるのが税金に興味を持っていない大人たちばかりであれば子供も興味を持てないでしょう。
だからこそ専門家が必要なのかもしれませんが、専門家がたまに教えるよりも、身近にいる先生や親が説明した方が子供は学んでいくのではないでしょうか。
自分の損得にかかわる情報であれば興味を持ってもらえる
わざわざ「租税教室」とお勉強っぽくしなくても、税金に興味をもってもらえる環境は身近なところにあるのではないでしょうか。
ポイントが「自分の損得にかかわる」情報に触れることです。
実際、中学生への租税教室で一番食いつきがよかったのが「税金払わなかったらどうなるの?逮捕されるの?」という話題だったそうです(^^;
「税金は払わなければいけないもの」と一方的に伝えるよりはこういった罰則的なことを伝える方がインパクトはありますね。
お父さんの給与明細を一緒に見る!
お父さんの給与明細を一緒に見れば、「所得税」「住民税」「健康保険料」「厚生年金保険料」がかなり引かれていているはずなので、
「これってなんで引かれるの?」
「どうやって計算しているの?」
「税金がなければこれだけもらえるんだね・・減らせないの?」
などと自然に興味が沸くのではないでしょうか。
説明するためにはお父さん、お母さんももちろん学ぶ必要がありますが家族全員で税金のリテラシーを上げていくことができると思います。
病院の領収書を見る、買い物に1人で行く
医療機関にかかったときの明細書も面白いかもしれないですね。(なぜ3割しか払わないの?の問いに答えるとか)
小さなお子さんであれば、一人で買い物へ行かすのも良い税金の勉強になると思います。
税抜、税込って書かれているのを見て手元資金で足りるかな・・という臨場感(?)をもって行動してもらえればおのずと「消費税は何か買ったらかかる」という意識が身につくはずです。
うちの子供はもう中学生ですがおやつ代を現金で渡すと必死にギリギリまで使おうとしています(^^;
まとめ
租税教室を行うにあたり、租税教育は大人も学び、子供に税金の興味を持ってもらうところから始まるのではないか?と疑問を持ち記事に書いてみました。
税金など重要だけど難しいと思われているものについては、身近なところから子供がかかわることをピックアップしてなるべく机上の説明ではなく実践させたほうが興味のとっかかりとしては良いと思います。
そのためには教える大人も自分の払っている税金について関心を持ってもらう必要があります。
少なくともいきなり税理士が学校に来てパワーポイントで「租税法律主義」「税理士の使命」を説明するよりはいいのではないでしょうか・・(中学生に説明することなのでしょうかね(^^;)
編集後記
今日午前中はとあるサイトの記事を2本執筆。この時期になると年末調整や確定申告の記事依頼が多いです。
午後は横浜ベイクオーターへお買い物。
ちょうどシーバスが出ていくところでした!この時間に山下公園へ行く人たちってどういう人たちなのだろう。でもうらやましい。私もなぜか乗りたくなりました(^^;
クラウド会計専門の女性税理士です。
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