2016年現在、安倍政権が実現しようとしている「同一労働同一賃金」

賃金は「仕事」によって決まるという欧米では当たり前の考え方を日本独自の雇用慣行にどう適用していくか、議論されています。

様々な問題は山積みかと思いますが、私は基本的に同一労働同一賃金の考え方に賛成です。

賛否両論や問題も山積みなことを承知の上で、賛成する理由や思うところを今日は書いてみたいと思います。

マネジメント側の考え方を見直すことがまず必要では

例えば、飲食店に勤めるフルタイム店長のAさんとパート店長のBさんがいる場合。

Bさんは介護等、家庭の事情のため勤務時間が短いパートとなっています。

Aさんはフルタイムの正社員で、長時間労働、配置転換等も可能です。

二人とも仕事内容は同じでありながら、時給換算するとAさんの方が高いのが今までの常識だと思います。

正社員の賃金が高い理由ととして「フルタイムで責任が重い」「残業・配置転換等の柔軟な対応が可能」などが挙げられると思います。

まず第一の「責任が重い」かどうか。

パートだからといってフルタイムの人より責任が軽いということはあるのでしょうか。

何か店内で問題が発生した場合に、「私はパート店長ですから」と弁明する人はいないと思います。

次に、「残業・配置転換等の柔軟な対応が可能」かどうか。

ポイントはこれらの事情がすべて「会社都合」であるという点です。

つまり、会社側がそもそも「定時で終わらせることのできる仕事内容にする」「急な配置転換が必要とならないように人材確保のために社内だけでなく外部とネットワークを日ごろから構築する」などのマネジメント能力があれば従業員にリスクを負わせずに済むはずです。

そういった意味で「正社員は残業が当たり前」「正社員は配置転換が当たり前」という考えそのものを、マネジメントする側が見直していくことが重要だと思います。

今後は専門性を重視した働き方が主流になる

前述したとおり、同一労働同一賃金は「仕事」に対して報酬が払われる考え方です。

その前提となる考え方は「専門性」ではないでしょうか。

例えば清掃業者にしろ医者にしろ、その仕事に付随する「専門性」は必ずあるからです。

日本は少子高齢化が進み、労働力人口の減少、国内の仕事の減少は避けられないでしょう。

更に日本の労働生産性の低さの問題もあり、より少ない労働力人口で収益を上げていかなくてはならない時代になります。

スポット的な労働を低賃金でさせていた非正規社員の活用も、政府から圧力がかかり今後は難しくなります。

周知のとおり日本の企業は終身雇用、ゼネラリストの育成の慣習が根強く残っているため専門性を重視した働き方は一般ではありません。

最近読んだ谷本真由美さんの「日本が世界一「貧しい国」である件について」に、欧米では専門性を前提とした働き方が主流であるということが書かれていました。

事務系などの専門性を評価するのが難しい職種でさえ、業界横断的にある程度カタログ化され、入社するときには一人一人「Job description」(従業員の職務内容に関する責任や権限等を個別に定義し、書面化されたもの)が提示されるといいます。

日本国内では「〇〇会社にいて〇〇部長をやっていました」ということが通じても、海外相手では通用しないでしょう。

仕事内容が曖昧な正社員に年齢に応じて報酬を支払う慣習は海外にはありません。また国内でも、企業の財政上慣行を続ける余裕はなくなり、より仕事の専門化が進むのではないでしょうか。

話題のクラウドソーシングを参考に

では自分の「専門性」は何か、自分の「仕事」としての価値はいくらなのかを測るのに参考になるのが話題の「クラウドソーシング」です。

以前、記事にもしました。

クラウドワークス体験記~スキルを生かして在宅勤務を行うメリット~

会社勤めをしているとなかなか自分の専門性と市場価値を考える機会がないのでこういったサイトを見てみると外の世界が分かって面白いと思います。

ただ、認知度がいまだに低く大手企業もあまり参加していないことから適正な報酬はあまり支払われていない状態だと思います。今後認知度が上がって大手企業の意識も変わり、報酬が適正化されていくことを望んでいます。

 

まとめ

同一賃金同一労働について賛成する理由や思うところを書いてみました。

この問題は雇用問題や社会保障問題全般に及ぶのでなかなかすぐに実行するのは難しいと思います。

今現在正社員で働いている人の抵抗意識もあると思います。

しかし基本的な方向としてはこの流れが正しい(というか、避けられない)と個人的に思っています。

編集後記

闇金融ウシジマ君を最近電子コミックで読んでいます。

お金について考えさせられます。

主人公が23歳ということにまた衝撃を受けました・・(^^;明日記事にしたいと思います。

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