[お勧め本]『ひとを〈嫌う〉ということ』中島義道さん著 -軽くあっさり嫌い合おう
7/62021
カテゴリー:本
哲学者の中島義道さんの本は刺激的でかつ大きな気付きにつながるので、
よく読んでいます。
最近読んだ本で『人を〈嫌う〉ということ』がとても面白かったので、
学んだこと3つを書いてみたいと思います。
他人を嫌うことは自然であること
「人を好きになるのに理由なんてない」など、ロマンチックなことが囁かれることがありますが、
その逆として
「人は大した理由もなく、他人を嫌う」ことが当然、とこの本には書かれています。
これは納得なんですよね。
よくテレビを見ながら「この芸能人は嫌い」と言っている人がいますが、
理由なんてあまりないと思うのです。
目立ってるから嫌い、態度が嫌い、顔が嫌い、声が嫌い・・本当に理不尽な理由だと思います。
しかし一方で小さい頃、学校では
「みんな仲良くしよう」
という綺麗事が正義であったため、「人を嫌って良い」なんて発想は私にはあまりありませんでした。
誰かを嫌いになったら罪悪感を覚えたり。
でも成長するにつれ、それは嘘だったんだなあ、と気づきます。
その証拠に、カフェや居酒屋では誰かの陰口ばかり耳にします。人の悩みはほぼ人間関係(特に、嫌いな人)です。
まずは「人はごくごく自然に他人を嫌う。しかも理不尽に。だから誰からも嫌われないようにする努力は不毛。」
ということを認めるところからスタートだと思います。
自分も嫌われていることを自覚すること
この本に、
「人から嫌われたくない」と思っている人ほど
自分は他人を嫌っているのに「自分は嫌われているはずない」と確信しているということです。
言われてみれば不思議ですよね。自分は呼吸をするかのように他人を嫌っているのに自分は嫌われていないと確信するなんて・・。
自分は平気で他人を嫌うのに、いざ自分が嫌われていると気づくやいなや猛攻撃を始めるのも特徴です。
思うに、普段から自分の意見を発信している人ほど
「他人は自分を嫌っている」
ことを確信している気がします。
私自身も、「ある程度の人から嫌われているだろうな」と考えています。
もちろん、言葉には気をつけて炎上させないような発信を心がけているつもりですが、
「私が他人を大した理由もなく嫌うことがあると同様に、他人もごく自然に自分を嫌う」ことは理解できるので。
これを理解できただけでも「発信」はしていてよかったなあ、と思います。
ただ、普段接している身近な人に嫌われるのはさすがのわたしも参ります・・。
(中島さんは傷つけ合うことも辞さない態度ですが、私にはできない)
一方で、ネットなどで匿名や知らない方から嫌われるのはどうしようもないし、
別に大した問題でもないかな、と思っています。
この本に書かれているとおり自然なことですし、知らない人から嫌われる害はあまりないような気がします。
軽くあっさり嫌い合う技術が大切であること
中島さんは、「人を嫌う」ことに蓋をしないで、
「軽くあっさり嫌い合う」ことをお勧めしています。
なかなか新鮮で、面白い表現だな〜と思います。
「ああ、この人は私が嫌いなんだな」と思ったらそれを自覚した上で
軽くあっさり嫌い合うと。人格を否定せずにお互いを認めた上で。
ただこれはかなり高度な技術なので
私がお勧めしたいのはSNSで言うところの「ミュート」ですね。
批判するのではなく、そっと離れる、というイメージです。それでモヤモヤが解決するのであれば、変な罪悪感をもつ必要はありません。
思うに、昨今のSNSの治安が悪化したのは「他人を嫌いになってはいけない」「他人から嫌われてはいけない」
これまでの教えの嘘が原因の1つかと思っています。だから、実名のインフルエンサーが
安全地帯にいる匿名に叩かれる構造になる。
匿名で他人を中傷する人ほど他人から嫌われてはいけない、嫌われるのが怖いと思っているはずです。
本当は他人が嫌いで仕方ないのに、それを正当化できないのでちょっとした炎上に
便乗して普段の鬱憤を発散させる人が多いんじゃないかな、と。
これを解決するには、やはり
ごくごく自然に自分は他人を嫌うし、自分も他人から嫌われる
ことを認めてしまうことじゃないかと思います。
まとめ
中島義道さんの『ひとを〈嫌う〉ということ』が面白かったので、
特に学べたことを3つ書いてみました。
人を嫌うことに罪悪感がある、人から嫌われたくない
と思っている方にお勧めです。
編集後記
昨日は、単発相談(対面・メール)の準備、顧問業務など。
単発のお客様も継続してご相談いただけるのがありがたいです。
最近のあたらしいこと
TensorFlow
AIに作曲してもらって、面白かったです。