年一決算のデメリット・リスク
2/282024
カテゴリー:クラウド会計・経理
フリーランスや小さな会社であれば、
「年一の決算でしか数字をみていない」
ケースも多いのではないでしょうか。
税理士に年一で決算申告をお願いする
方もいらっしゃるでしょう。
月次決算をしない、税理士と顧問契約しない、
は一見時間とコストの節約になると思われがちですが
デメリット・リスクもあります。
今日は、年一決算でしか数字を見ない場合のデメリット・リスクを解説します。
※数字を見るのは年に1回だけ?
痛税感が強い
年一決算となると、
税金が申告期限直前にわかる(知らされる)
ことになります。
この痛税感がデメリットです。
現預金残高しか見ていないと、
「え、こんなに払わないといけないの?何か間違ってるんじゃ…」
と思うことも多いでしょう。
消費税のほうはもっとそう感じるかもしれません。
現預金だけ見ていても正確な消費税はわからないためです。
2割特例(売上の消費税の2割を納めれば良い特例)、
簡易課税(売上の消費税に一定の割合を乗じて計算した金額を納めれば良い特例)
であればまだなんとかなりますが、
原則計算は厳密な計算が必要ですので試算が難しいです。
特に2023年からはインボイスが始まっていますので、
消費税の試算や翌年以降の計算方法の選択は
月次決算を行いながらでないと困難になっています。
顧問税理士がいる場合には
事前に税金の試算をしますので、痛税感は多少?和らぎます(少しだけとは思いますが…)。
ある程度税金の額を把握しておけば、資金繰りも安心です。
数字の精度が低い
当然ではありますが、
年一決算の場合には数字の精度が低くなります。
「専門家に年一でちゃんと見てもらっている」
という方もおられるかもしれませんが、
正直なところ
毎月見ているお客様と、年一のお客様の場合では
やはり後者は「なんとか辻褄を合わせる」妥協点が多くなります。
あまりにデータが入り組んでて、
仕方なく辻褄を合わせて終わらせるケースもあるでしょう。
確定申告などの期日が決まっている場合には、
詳細な経費の中身までチェックはできません。
その結果、
(会社の場合には)役員貸付・借入が多くなる、
中身のよくわからない経費が多くなる、
など税務署や銀行から好ましくない目で見られることになります。
数値の精度が低いということは
税額にも影響してきます。
月次で数字をチェックしている場合よりも、
多くの税額を納付する可能性もあります。
節税ができない
年一決算の方で
数字が閉まった後に
「税金、もう少し減らせないでしょうか…?」
と聞かれることがあるのですが、
難しいです。
会計や税法は「〜という体にする」「〜ということにして」
はできないため、
既に終わった過去を変えることはできないからです。
(減価償却の計算方法を検討するなど、多少の調整は可能です)
私はフリーランス・小さな会社の節税は
「ちゃんと経費を使う」
で十分と考えていますが、
これも年一決算では「あとどのくらい経費を使えるか」
を試算できないため難しいです。
現預金残高=利益ではないことを知らないと、
お金が余っているからとたくさん経費を
使ったら結果として赤字になってしまった、
なんてことにもなりかねません。
節税は、ある程度長い視点で、
常に数字を把握することで可能となるものです。
魔法のような手段ではないため、
少なくとも年一決算ではできることは
限られる、と考えていただいたほうが良いでしょう。
まとめ
年一決算のデメリット・リスクをまとめました。
もちろん、取引が少なくてシンプルな業種のフリーランス・会社であれば
問題ないこともあるのですが、
多くの場合にはデメリット・リスクのほうが上回るため
私はリアルタイムで数字を把握することをお勧めしています。
編集後記
昨日は、会社員+事業+RSU+不動産と
盛りだくさんな方のfreeeでの確定申告のお手伝い。
無事提出できそうで、よかったです。
最近のあたらしいこと
AIチャット「Cotomo」
ChatGPTなどの機械的な音声と違って、
ちょっとたどたどしい女の子の話し方が
妙にリアルで、すごいなと思いました。
会話スピードも早くて自然です。