最近個人の方から海外に移住した場合の税金相談を受けることが多いです。

国境を簡単に越えてできる取引が増えているからでしょう。

日本から出ていった場合日本の税金が課されるか、3つの論点をまとめてみました。

日本で課税されるかの判定① 日本の所得税法上「非居住者」であるか

日本から出ていった人(個人)が日本で課税されるかを考える場合、

まず最初に判定するのは日本の所得税法上「非居住者」になるかです。

非居住者とは日本国内に「住所」を有さず、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有さない個人

をいいます。

「住所」とは、民法から借用した言葉で、「生活の本拠」を意味します。

とても曖昧で分かりづらいのですが、例えば家族との同居の有無や社会的地位、職業、国籍などを加味して総合的に決定されます。

ただ単に「日本から住民票を外している」などといった形式的なことでは非居住者と判断されないのでご注意ください。

日本で課税されるかの判定② 日本の所得税法上の国内源泉所得があるか

非居住者に該当した場合、次に判定するのが「国内源泉所得」があるかどうかです。

国内源泉所得とは、簡単に言うと「日本で発生した所得」を意味します。

例えば、日本で発生した

  • 事業所得(事務所等の拠点が日本にある場合)
  • 土地・有価証券等の譲渡所得
  • 人的役務の対価
  • 不動産の賃貸料
  • 利子
  • 配当
  • 使用料
  • 給与

などが該当します。(実際はもっと多く、合計17種類の所得が列挙されています)

日本に住所がある「居住者」の場合、世界中どこで稼いだ所得でも日本で課税されますが、非居住者の場合には

国内源泉所得に対してのみ課税されます。

日本で課税されるかの判定③ 租税条約の取扱はどうなっているか

非居住者の場合、日本の所得税法のみならず日本と居住国との間に租税条約があるかも関係してきます。

租税条約とは、二重課税の排除等を目的とした二国間の取り決めです。

居住地国でも源泉地国でも課税される「国際的二重課税」を排除するためのルールです。

日本はアメリカを始め、123か国・地域との間で租税条約を結んでいます。(平成30年1月1日現在。財務省HPより)

この租税条約は国内法よりも優先されて適用されます。(ただし、非居住者の源泉地国での課税が不利にならない範囲で)

従って非居住者の方が日本で課税されるかどうかは、

日本の所得税法→租税条約

の順番で確認し、非居住者の方が不利にならない範囲で租税条約が優先されます。

ちなみに短期滞在者免税と呼ばれる「183日ルール」は多くの租税条約に定められているルールです。

183日ルールとは、主に給与所得者が出張等で居住国を離れて働く場合、183日までの滞在期間であればその出張先の国では課税されないという国際ルールです。

日本の所得税法に定められているルールではありませんし、183日ルールの条件も各租税条約によって異なります(租税条約自体ない国ももちろんあります)。

単純に「183日日本にいないから日本では課税されない」という判断はできないのでご注意ください。

まとめ

日本から出ていった場合の日本での課税を考える論点は3つ、

  1. 非居住者判定
  2. 国内源泉所得の有無
  3. 移住先と日本との間の租税条約の有無・取扱

です。

外国に移住を考えられている方は参考にしてみてください。

編集後記

本日は、午前中対面相談1件、午後は税務顧問のお客様と確定申告の打ち合わせ。

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