外国人旅行者の増加と、シェアリングエコノミーの考え方が浸透してきたこともあり個人で民泊サービスを行う方が増えています。

今日は民泊サービスの所得税の課税関係について整理します。

民泊サービスの宿泊料は不動産所得・事業所得・雑所得のいずれかに該当する

民泊と一言で言っても、その営業形態や規模によって所得区分は不動産、事業、雑いずれかに分かれることになります。

  • 不動産所得・・・不動産等の貸付による所得。損失が生じた場合には他の所得との相殺(損益通算)が可能。
  • 事業所得・・・事業から生ずる所得。営利性、継続性等の要件がある。損失が生じた場合には他所得との損益通算が可能。
  • 雑所得・・・所得税法規定する9種類の所得区分のいずれにも該当しない所得。サラリーマンの副業など。損失が生じた場合であっても他所得の損益通算は不可能。

民泊の許可は2種類(2018年6月からは3種類)

民泊営業には「旅館業法」又は「民泊条例」又は「民泊新法」(来年6月より)による許可が必要になります。

旅館業法民泊条例民泊新法(2018/6/15施行)
内容宿泊料を受けて人を宿泊させる営業形態。設備や面積など細かい要件あり。宿泊提供の日数制限なし。

【主な種類】

①ホテル営業(10室以上等)

②旅館営業(5室以上等)

③簡易宿泊営業(部屋数の規制なし等)

旅館業法の特例。宿泊者と賃貸借契約を締結。使用期間が3~10日以内。一居室の床面積が25㎡以上旅館業法の対象外となる条件として、「人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えないもの」を満たす営業形態
所得区分主に雑所得(>事業>不動産)主に雑所得(>不動産>事業)主に雑所得(>事業>不動産)

旅館業法に基づく民泊サービス

旅館業法に基づく民泊サービスを行うには、旅館業を行う施設がある都道府県の保健所に申請して許可を受ける必要があります。

旅館業の主な種類は①ホテル営業②旅館営業③簡易宿泊営業がありますが、民泊については③で申請して営業を行うことが一般的です。

下記の2つに比べると細かい要件がありますが、宿泊の日数制限が設けられていないため不動産を有効に活用できるというメリットがあります。

所得区分は主に雑所得となります。不動産所得の可能性は、通常の民泊サービスの場合、クレーム処理やおもてなしなど付随するサービスも提供するのが一般的なので低いでしょう。

また、現段階では個人で事業規模で民泊サービスを行う方は少なく事業所得に該当する可能性も低いでしょう。

民泊条例に基づく民泊サービス

国家戦略特区法を根拠に各自治体が制定した条例に基づく民泊サービスです。

旅館業法の特例としての位置づけです。(2017年現在大阪市や東京都大田区などが制定)

宿泊者との間で宿泊契約ではなく、賃貸借契約を結ぶのが特徴です。

賃貸借契約の場合、部屋の掃除などの管理に義務を追わないので旅館業法に基づく民泊サービスよりも営業しやすいメリットがあります。

所得区分は主に雑所得となります。宿泊者との間で賃貸借契約のみ締結されていれば不動産所得に該当しますが、先程と同じくクレーム処理やおもてなしなど付随するサービスも提供する場合が一般的なので、該当する可能性は低いでしょう。

民泊新法に基づく民泊サービス

2018年6月15日施行の「住宅宿泊事業法(民泊新法)」に基づく民泊サービスです。

旅館業法の対象外となる条件として「人を宿泊させる日数として国交省・厚労省で定めるところにより算定した日数が1年間で180日を超えないもの」とされている営業形態です。

民泊新法の対象となる施設はホテルや旅館等の宿泊施設ではなく「住宅」という位置づけであることが特徴です。

この法律によって住宅で宿泊事業を行うことが可能となり、これまでのような旅館業の特例ではなく、本来の意味での民泊サービスができるようになります。

所得区分は、上記2つと同様に雑所得となります。不動産所得の可能性が低いのは同様です。

また、事業所得の該当性も個人が民泊で事業規模的な収入を得ることは限定的と想定されるため低いと考えられます。

民泊サービスの所得区分は雑所得が基本。いずれにしても申告は必要

これまで見てきたように、民泊サービスの宿泊料の所得区分は雑所得が基本となります。

雑所得は総合課税(他の所得と合算)・累進税率が適用されます。他の所得と損益通算はできません。

どの所得区分に該当したとしても、所得税の課税対象となることは間違いないので申告は必要となります。

まとめ

税務雑誌に個人の民泊サービスの課税関係が掲載されていたので気になりまとめてみました。

民泊サービスは個人的に「必要なときに必要なものを提供する」という考え方が合理的だなと思い興味を持っています。

個人の方が住宅を利用して収入を得る手段として今後も注目されていくでしょう。

民泊サービスの拡大に伴い個人の課税関係も確認する必要があるので今後も注視していきます。

編集後記

昨日は一日内勤。

流石に一日中外出ないというのも気になり夜な夜な近所のブックカフェへ。

深夜の2時までやっているカフェということでたまに利用しています。

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