10万文字の書籍を書き上げるためにしていること

10万文字の書籍を書き上げるためにしていること
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先日、約10万文字の書籍原稿を編集者さんに提出しました。

単著としては7冊目の本となります。

私は雑誌やWeb記事などの「書く」仕事は頻繁にしていますが、

書籍はそれらと比べるとかなり特殊な仕事です。


プロジェクトとしてはかなり長い期間になりますし(少なくとも半年以上)、やり抜く力が必要になるからです。

今日は、10万文字レベルの書籍を書き上げるためにしていることを書きます。

※最初の頃に書いた書籍は非常に苦労した

毎日書く

Web記事や雑誌の記事は、多くても数千〜1万文字程度です。

これだったら数時間あれば書ける量なので万が一当日締め切りでも対応できます。(もちろんやりませんが)



でも、書籍は8万〜10万文字。この量だと一種の「作品」なので、

構造、ストーリーまである程度作り込んで書かないといけません。

そして、到底「1日」「1週間」「1ヶ月」で書けるものでもありません。(生成AI使えば書ける!という人はいると思いますがただ書けばいいってもんじゃない)。

*尊敬する人たちの本も参考に


だから、私は書籍の依頼があったときは「毎日書く」ことを決めています。

ある程度の最低限の1日の分量(1000文字とか)を決めています。

とはいえ意志だけでは続かないので、「仕組み」「習慣」でカバーしています。

具体的には、「朝」にタスクとして組み込んでいます。(私の場合「Notion」というアプリのオートメーション機能でタスクが自動追加されるようにして自分に発破をかけました)



「今は決算で忙しいから」「本業ではないから」と締切ギリギリに着手される方もいると思いますが、私はそれだと多分一生書き上げられないし、書けたとしても良い本は出来上がらないと思っているんですね。

セミナーなどのスポット仕事であれば「追い込み」はできるかもしれないけど書籍はやっぱり別物で、じっくり日々試行錯誤する時間が必要と思っています。

ラフでも書き始める

書籍を書くときは、必ず事前に目次案を編集者さんに提出します。

それでOKだったら書く、というプロセスです。



でも、その事前に作った目次のとおりに書かなければいけないわけでもなく。

実際書いていると、

これ入れたほうがいいな、これはいらないな、

などと色々と変更したくなるのが通常です。

というか、内容は書きながらブラッシュアップしていくものだと思っています。


ですので、「なんかまとまらないなあ」といったラフなスケッチでも、

「書いていけばおのずと見えてくる」

ので、とにかく書き始めることが大事です。

AIに任せられるところは任す

今回の書籍から、AIに任せられるところは任すようになりました。


任しているのは、

  • 調査(条文や判例など)
  • 図解
  • 誤字脱字のチェック

です。

特に、税金の本は根拠となる条文が非常に重要なので、これらの調査にはとても役立ちました。以前は本や古い資料を引っ張り出して調べたりしていましたがそれもほぼ必要なくなりました。ハルシネーションも少なくなっていますし、活用しない手はありません。


あとは図解。これまでの本はパワポなどで全部自分が作っていて、相当時間がかかっていました。

今回から生成AI(主にClaude)を利用しましたが、本当に優秀で少し手直しをすればシンプルでわかりやすいものが短時間で作れるようになりました。これで相当時間が短縮できました。




あとは、誤字脱字チェックですね。

これも今まではWordのチェック機能等を使って自分でしていましたが、生成AIにお任せできるようになりました。


一方で、「AIにやってもらわないこと」もかなり厳しく決めています。

それは、「文章を作ってもらうこと」。

「え、それが一番役立つ使い方では?」

と思われるかもしれませんが、AIが作った文章、嫌いなんです笑。


実際、Notion AIに誤字脱字をチェックしてもらったときに

指示不足で勝手に文章を変えられたときは相手がAIにもかかわらず

怒りが湧いてきて

「絶対に文章は変えないでください」

と怒りの指示まで出してしまったという…(←大人げない)

*Notion AIで校正はできるけど、文章は変えられないように注意が必要


このように、AIにしてもらいたいこと・してもらいたくないことをはっきりさせたのでとても良い役割分担をできたと思っています。

これから書籍を書かれる方は生成AIを自分の目的に合わせて使うことをおすすめします。

まとめ

約10万文字の書籍を書き上げるためにしていることを書きました。

私の周りでは、

「今書籍を書いている」

という人は何人かいますが、実際に書き上げた人は本当に少なくて。

「本業が忙しい」という理由が一番多いのですが、それだと無理だよなあ、と思うところを書きました。私にとっては「本業」「副業」の区分自体がないので。

かなり特殊な仕事なので、ある程度の心構えとコツが必要だと思っています。

編集後記

先週は、東京Stay2日目に広尾の山種美術館へ。

日本画専門の美術館で、歌川広重の東海道五十三次の浮世絵など楽しめました。広尾って、東京の中でもかなり雰囲気が独特で(かなりリッチピープルな街)いわゆる大衆的なお店がほぼなく、新鮮でした。

鎌倉に帰る途中、目に入って気になった恵比寿ガーデンプレイスの東京都写真美術館にも。ルイジ・ギッリというイタリアの写真家さんのコレクションや、映画「ジョーカー」で有名なペドロ・コスタの作品など見どころ満載でした。「良い写真てなんだろう」といろいろ考えました。

そして昨日は姉と7月に閉館時間が過ぎてて入れなかった念願の三菱1号館美術館にてルノワール・セザンヌ展を。可憐なルノワールの絵と対象的に、セザンヌの絵は構造をはっきりさせた絵で、好みが分かれるけどどちらも素敵でした。そして音声のキュレーションが素晴らしい。耳で聞きながら絵に集中、ってすごく良いスタイルだなと。

夜は新丸ビルでお食事。お互い子育てもほぼ終わって、こういう時間とれるようになってよかったねと。東京にも拠点持ってたまに遊びたいなあ。

美術館三昧の日々でした。

最近のあたらしいこと

東京都写真美術館

三菱一号館美術館 ルノワール・セザンヌ展

酢重ダイニング 新丸の内ビルディング

久松農園さんから産地直送の野菜