税理士+ひとり法人代表の私が、役員報酬を8万円にしている理由
11/112024
カテゴリー:お金の考え方
私は個人で税理士をしていますが、ひとり法人の代表でもあります。
法人設立以来、ずっと役員報酬は8万円です。
給与だけでいうと、年収96万円です。なぜそうしているのか、書きます。
※会社の代表だけど、年収96万円
役員報酬以外の収入があるから
これはちょっと特殊な事情ではあるのですが、
法人からの給与を年96万円にできるのは
個人事業としての収入があるからです。
なぜ法人があるのにわざわざ個人事業も続けているのかというと、
ひとりで税理士をする場合、法人としてはできないからです。(法律上)
「税理士法人」というものも作ることもできるのですが、
2人以上の税理士が必要になってしまうのです。私はひとりでやりたいので税理士法人は作れません。
ということで、やむなく個人で税理士業、それ以外の仕事(コンサルティング、執筆や講演セミナー、コミュニティ運営等)を法人で、という
区分けをしてやっています。税理士としての個人収入で生活費は賄っています。
(じゃあなんで法人作ったの?というお話は以前書きました)
社会保険を多く払いたくないから
役員報酬を8万円に抑えているのは、
社会保険が高いな〜と思うからです。
社会保険料率は、30年前と比べると約7.4%増えています。合計すると22.7%→30.12%の上昇です。
↓下記、Perplexityに作ってもらった表です
年度 | 健康保険料率 | 介護保険料率 | 厚生年金保険料率 | 合計 |
---|---|---|---|---|
1994 | 8.20% | 0.00% | 14.50% | 22.70% |
1995 | 8.20% | 0.00% | 16.50% | 24.70% |
1996 | 8.20% | 0.00% | 17.35% | 25.55% |
2000 | 8.50% | 0.60% | 17.35% | 26.45% |
2001 | 8.50% | 1.08% | 17.35% | 26.93% |
2002 | 8.20% | 1.07% | 17.35% | 26.62% |
2003 | 8.20% | 0.89% | 13.58% | 22.67% |
2004 | 8.20% | 1.11% | 13.934% | 23.244% |
2005 | 8.20% | 1.25% | 14.288% | 23.738% |
2006 | 8.20% | 1.23% | 14.642% | 24.072% |
2007 | 8.20% | 1.23% | 14.996% | 24.426% |
2008 | 8.20% | 1.13% | 15.350% | 24.680% |
2009 | 8.20% | 1.19% | 15.704% | 25.094% |
2010 | 9.34% | 1.50% | 16.058% | 26.898% |
2011 | 9.50% | 1.51% | 16.412% | 27.422% |
2012 | 10.00% | 1.55% | 16.766% | 28.316% |
2013 | 10.00% | 1.55% | 17.120% | 28.670% |
2014 | 10.00% | 1.72% | 17.474% | 29.194% |
2015 | 10.00% | 1.58% | 17.828% | 29.408% |
2016 | 10.00% | 1.65% | 18.182% | 29.832% |
2017 | 10.00% | 1.65% | 18.30% | 29.95% |
2018 | 10.00% | 1.57% | 18.30% | 29.87% |
2019 | 10.00% | 1.73% | 18.30% | 30.03% |
2020 | 10.00% | 1.79% | 18.30% | 30.09% |
2021 | 10.00% | 1.80% | 18.30% | 30.10% |
2022 | 10.00% | 1.64% | 18.30% | 29.94% |
2023 | 10.00% | 1.82% | 18.30% | 30.12% |
社会保険料は会社が半分負担するのですが、この負担もなかなか。現在社会保険の扶養の壁である106万円が議論されていますが、この壁がなくなったら、パートがたくさんいるような会社の負担は相当増えるでしょう。
というわけで会社、個人が負担する社会保険が増えてしまうことが気になってしまうので報酬はあげません。
もちろん厚生年金保険は将来自分の年金になるのですがどんどん給付額も少なくなっているので…試算額を見て悲しくなるくらいです。
将来の備えとしては、ある程度自分で給付をコントロールできるiDeCoや小規模企業共済制度、NISAを活用したほうが良いと思っています。
源泉徴収、住民税の特別徴収が面倒だから
源泉徴収と住民税の特別徴収が面倒というのも報酬を低く抑えている理由です。
通常、従業員に給与を支払うときにはあらかじめ所得税を差し引く源泉徴収が必要です。
ただ、報酬が低すぎる場合(2024年現在、月額88000円未満)、源泉徴収は0で良いのです。
また、通常であれば住民税も「特別徴収」という制度があって、毎月の給与から差し引く必要があります。しかし、年収96万円であれば住民税は非課税となることが多いため(市区町村によって多少異なる)こちらも差し引く必要はありません。(もちろん個人事業のほうの住民税は一括して別途自分で支払っています)
というわけで、私の法人で自分に出す給与は8万円から社会保険料を差し引いた金額ということでとてもシンプルで楽です。(お小遣い程度になってしまいますが…それでも年間100万円程度の経費になることは大きいです)
他に使う経費があり、法人税も気持ちよく払えているから
役員報酬が低いと節税にならないのでは?と思われるかもしれませんが
そもそも節税がすごく必要なほどの収入はないのと、
他に使う経費があることも大きいです。
一番は、IT関連費用ですね。
パソコン、スマホは1年おきくらいに買い替えて最新のものを利用しています。
あとは自分への投資。
書籍やセミナー代などはケチらないでどんどん出しています。
そんなのは微々たる金額と思われるかもしれませんが
私的には自分にとって納得のいく税引前利益が残り、法人税を払えています。
自分にとっての納得いく利益と法人税の額であれば、
(社保の負担や手間を増やしてまで)役員報酬はあげなくてもいいかな、というのが
今の心情です。
まとめ
税理士+ひとり法人代表の私が、役員報酬を8万円にしている理由を書きました。
- 役員報酬以外の収入(私の場合個人の収入)がある
- 社会保険を多く払いたくない
- 源泉徴収、住民税の特別徴収が面倒
- 他に使う経費がある、気持ちよく法人税を払えている
という理由からでした。
同じような状況の方に参考になれば幸いです。
編集後記
金曜日は、越谷で講演を。ChatGPTに関連するものでした。
その後、東京で個別コンサルティング。
東京駅近くのホテルラウンジにて。とても景色がきれいなところでした。
独立の相談でしたが、エネルギーを与え、与えられ、という感じでした。
最近のあたらしいこと
ホテルシャングリラ ロビーラウンジ