AIでアプリっぽいものは作れるけど

  • 2025.12.08
  • AI
AIでアプリっぽいものは作れるけど
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AIの進化がすごく、「プログラミングの知識なくてもアプリが作れた!」といった投稿を見かけます。

私も、試しにe-Gov(デジタル庁が運営する法令検索システム)のXMLデータを使って独自の法令横断キーワド検索システムなんぞを作ってみました。

ただ、作れることは作れるけど、その先(メンテナンスなど)は?と考えることもあるのでそのことについて書いてみます。

中身がブラックボックス

動画では、Pythonというプログラム言語を使ってアプリを作っています。私はAIが流行する前から、この言語を少し勉強していたので、その導入方法や基本的なことは知っていました。

ですので、AIにサポートしてもらいつつもなんとなくの「勘所」はありました。

それでも、これまで使ったことないライブラリを利用したり、UIを整えて行ったりする過程は初めての経験で、

「へーこうやって書くんだ」と新鮮でした。

ただ、当然ですがAIにコードを書いてもらっているので理解できていない部分も多いんですよね。


つまり、中身がブラックボックスということです。自分で全部作っていた時は調べて書いて、エラーが出たら修正して、、、とかなり時間をかけていたのですべてのコードの意味を理解して進めていました。これは大きな違いです。できたときの嬉しさはやっぱり一から自分で作った時です。

もちろんAIに作ってもらった時も嬉しさはあったけど、「自分がわからない部分がある」というだけで一抹の不安を感じました。

基本的な知識がちょこっとある人間ですらこうなので、全くの初心者であったら、エラーが出てきたり動かなくなったりしたときにたち行かなくなる気がします。(それもAIに聞くとわかるかもしれませんが)

AIが出したものの評価は人間の仕事

プログラミングに限らず、「AIでできた」というのは、文字通りの意味でしかなく、

「AIが出したものの評価」は人間がやるしかありません。


そうすると、結局のところこれまで勉強したことや、場数が試されるわけで

AIで楽になるどころかより高度なスキルを求められる状態になっているのでは、

とも思ったりします。



最近だと、GeminiのNano Banana Proという画像生成AIの性能がすごいと話題です。確かに、私も講演に利用するスライドで試しに作ってみましたが、これまで苦手だった日本語もきちんと表示されるようになっていますし、「これだけの指示でこんな意図を汲み取るのか」と驚きです。

とはいえ、実は理想のものに辿り着くまでは何度も何度もプロンプトを書き直しています(まだちょっと日本語が怪しい)。一発で良いアウトプットは出ません。


ものすごい優秀な部下をパソコンの中に雇っている状態で、その部下にいかに的確に動いてもらうか。それが今後求められるものです。優秀な部下がアウトプットしたものをちゃんと評価できるには、自分がそれを評価する審美眼を持っていなければなりません。仕事で求められるものが相当変わってきている気がします。


回り道だけど、「自分で理解してAIに助けてもらいながら小さいツールを作る」が最強

「アプリっぽいものができた」というのは、体験としては良いかもしれませんが、先ほども書いたように中身がブラックボックスであれば実践的ではありません。


私は、回り道であっても「自分で理解できるものを自分で作り、そのサポートにAIを最大限活用する」ことが今の時点では最強の方法である気がします。(100%が難しくても、大方は理解しておきたいかなと)


例えば、AIに指示すれば税金シミュレーションなどはできますが、これも先ほどと同じで中がブラックボックスであればメンテナンスができず、持続可能なものではありません。

*夫婦の手取りシミュレーションアプリも試しに作ってみました

私は税金シミュレーションには税率や内容をパパッと変えられるExcelを愛用しています。「Excelなんて古い!」と言われようが、今のところこれが一番なんですよね。税務申告する前に、必ずExcelで試算するようにしています。これでミスが発見できることも。税率の変更、計算構造の変更も楽々です。

今私が使っている

  • Power Automate DesktopでExcel→Webソフトへ入力:RPA
  • freee APIで試算表ダウンロード:GAS
  • SlackのメッセージをAPI経由でSpreadsheetに連携:GAS
  • 定型メール、Google Formの回答の自動送信:GAS
  • その他税金シミュレーション:Excel

といった業務効率化ツール(アプリとは言えないレベル、道具のようなもの)は、AIにサポートしてもらいながら、すべて自分で理解して作っています。エラーがでたら、その内容を調べて理解できる程度の小さなツールです。

ひとりビジネスの場合、本格的なアプリ開発は不要です。このように「自分で理解してAIに助けてもらいながら小さいツールを作る」ことが最強である気がしています。

まとめ

AIでアプリっぽいものは作れるけど、メンテとか持続可能性を考えた場合はどうだろう?と思ったので書いてみました。

私たちは出来上がったシステム(例えばSaaS)に対して「スピードが遅い!」「UIが悪い!」と簡単に言ってしまうけど(私もそうです…)ものすごい人員やコストをかけてサーバーを安定させ、バグ取りやメンテナンスをしているわけで。それを考えると本格的なアプリを専門外の人間が簡単に作れるわけないよな、とも思います。とはいえ、今日書いたように「自分(従業員)だけが使う、日常的な効率化ツール」であればAIはとても有効だと思っています。

大事なのは、「AIが出力したものを自分がちゃんと評価できるか」の一点に尽きると思います。

編集後記

週末は、久しぶりに早朝散歩。北鎌倉の円覚寺の紅葉を眺めたあと、由比ヶ浜まで歩いてきました。朝はやっぱり人が少なくて気持ちいいです^^

最近のあたらしいこと

薩摩杉

お花屋さんで売られていて、クリスマスツリーっぽくてかわいいなーと衝動買い。