近年小額投資非課税制度(NISA)の認知によって株式投資を始められる方も多いのではないでしょうか。

株式を保有していると一定時期に配当金がもらえます。

この配当金には所得税がかかりますがその申告方法として下記の3つの方法が挙げられます。

  1. 総合課税・配当控除
  2. 源泉徴収・申告不要
  3. 分離課税・損益通算可能

上記の内どれが一番納税者にとって有利かは、個人の状況によって異なります。

以下、3つの申告方法の概要と注意点について見ていきます。

配当所得の申告方法の概要

<総合課税・配当控除>

所得税はその種類によって10種類に分けられ、それぞれの所得金額が求められた後それらを合算、その合算額に対して超過累進税率(所得の低い部分には低い税率が、高い部分には高税率が適用。最低5%~最大45%)をかけて課税する「総合課税」を原則としています。

配当所得についても、他の所得と合算して申告を行うことが原則です。

この場合、他の所得の損失と相殺すること(損益通算と呼びます)ができます。

なお、総合課税によって申告する場合には「配当控除」という税額控除(税率をかけて計算された税額から直接控除)を受けることができます。法人から支払いを受ける利益の配当は、既に法人税が課税された後の利益のため、個人が受けた配当に所得税が課税されると二重に課税されてしまうからです。

配当控除の控除額は、配当所得の金額に対して10%又は5%を乗じた金額となります。

 

<源泉徴収・申告不要>

株式を購入するときは証券会社に口座を作ります。

その際、証券会社が株式の譲渡損益や配当所得に対する税金を源泉徴収して代わりに国に納付してくれる「特定口座(源泉あり)」という口座を選ぶことができます。

源泉徴収税率は2016年6月現在20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。

納税者は特定口座を選択することによって、源泉徴収された配当所得について確定申告をする必要がなくなります。これを確定申告不要制度と呼んでいます。

確定申告を行わないため、総合課税のように他の所得との損益通算や配当控除を受けることはできません。

<分離課税・損益通算可能>

10種類の所得を合算して超過税率を適用する総合課税に対して、他の所得と合算しないで個別に税額計算を行うことを「分離課税」と呼びます。

配当所得のうち上場株式の配当等については「分離課税」を選択することが可能です。

分離課税を選択した場合には申告時には総合課税とは異なる分離課税用の申告用紙を使って申告します。

上場株式等の税率は2016年6月現在一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)となっています。

申告分離課税を選択した場合には総合課税と違い他の種類の所得と損益通算することができず、また配当控除を受けることもできません。

ただし上場株式等を譲渡した場合に発生した譲渡損失と損益通算をすることができます。

配当所得以外に申告する所得がない場合は源泉徴収が便利

配当所得以外に所得がない主婦の方や、給与以外の所得のない一般的な年収の会社員の方の場合には特定口座を作って源泉徴収を選択するのが便利です。

証券会社が税金を徴収して代わりに国に治めてくれることにより納税関係が完結します。

所得が高い人は源泉徴収か分離課税が有利

所得税の税率は所得が高い部分にはより高税率が適用される超過税率が適用されることは前述したとおりです。

従って高所得の人が配当所得を他の所得と合算して総合課税により申告すると源泉徴収や分離課税で行う税率(20.315%)よりも高い税率で課税されてしまう恐れがあります。

従って所得が高い人には源泉徴収か分離課税を選択すると有利である可能性が高いです。

一旦総合課税の場合の税率(算出税額÷総所得金額)を計算して源泉徴収・分離課税の税率(20.315%)と比較すると良いでしょう。

源泉徴収制度は事務負担が少ないメリットがありますが、株式等に譲渡損失が生じている場合には配当所得と損益通算を行うことができません。

分離課税を選択した場合上場株式等の譲渡損失と配当所得について損益通算ができるので、譲渡損失がある場合には分離課税を選択すれば税額を圧縮することができます。

外国株式の配当を受けている場合には総合課税か分離課税が必須

外国株式の配当を受けている場合には国内で源泉徴収を受けているほか国外からも源泉徴収され二重に税金が取られている可能性が高いです。

この場合には「外国税額控除」という制度により二重課税を回避することができますが、源泉徴収・申告不要制度ではそもそも申告を行わないので外国税額控除を受けることができません。

外国株式の配当を受けている場合には総合課税か分離課税を選択し、自分で申告するということを覚えておくと良いと思います。

まとめ

以上、上場株式等の配当を受けた場合の申告方法と注意点についてまとめてみました。

3つの方法のうち、どの方法が自分にとって有利かは状況によって異なります。

※また、上記は国民健康保険料・住民税については考慮していないのでこちらも考慮する必要があります(2017/4/2追記)

特に株式等に関わる税金関係は複雑なので専門家に相談することもお勧めいたします。

編集後記

関東甲信越、梅雨入りですね。

今日は朝から体調が優れず予定していた研修もキャンセルしてしまいました。

月曜日からジメジメした天気は少し気分が萎えますね(言い訳ですが・・)。

お気に入りのレイングッズでも買って気分をあげていこうと思います!

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