コントロールを放棄するホロクラシ―型組織
8/292016
私は前から人の「働き方」に興味があります。
ニュースやネット、ブログなどに働き方の記事があるとついつい読み込んでしまいます。
(在宅勤務を導入する企業もだいぶ増えましたね)
どうしてこんなに「働き方」が気になるのかというと、ITが進化して時代は変わっているのに、働き方は依然として一か所に集まって働く方法がスタンダードとなっていることに常に疑問に感じているからです。
朝から体力を奪い取る満員電車、自分の仕事が終わっても帰ることのできない「定時」の縛り、集中できない環境・・疑問に思うことばかりでした。
前から私が気になっている会社で、「納品のない受託開発」をテーマにしているソフトウェア開発会社、ソニックガーデン株式会社という会社があります。
社員は基本的に「いつ・どこでも働いて良い」というリモートワークのスタイルをとっています。
この会社の経営者である倉貫さんの書籍やブログ、Twitterをよく読んでいるのですが、読めば読むほど
「あ、こういう会社だったら働いてみたい(みたかった)な」
と思いました。
ヒエラルキー型組織ではなくホロクラシ―型組織
今までであれば、人が増えれば「管理」が必要になるという考え方は常識です。
そのため、組織は平社員、係長、課長、部長、部門長、取締役・・・などど階層化、すなわちヒエラルキー型されていきます。
税理士事務所や税理士法人も基本的にはこのようなヒエラルキー型ではないでしょうか。
規模こそ小さいものの、師弟関係が色濃く残っている税理士業界はある意味ヒエラルキー型組織の典型とも言えると思います。
一方、倉貫さんによればソニックガーデン社が採用しているホロクラシ―型組織は、コントロール(管理)を放棄する経営とのこと。
今までの組織運営が刷り込まれている年代にとっては信じられない発想かもしれません。
中間管理職のいらないセルフマネジメント能力を持った社員たち
倉貫さんは前述のホロクラシ―型組織を維持するためには、社員一人一人が「セルフマネジメント能力」を身につけることが前提だと説明しています。
成長の速度が遅い人は、無駄なことをしている。つまり、タスクばらしが出来ていない可能性が高い。セルフマネジメントするためには、自分の仕事を把握することから始まる。だから最初に「タスクばらし」を身につけるのだ。これは社会人1年目のうちに身に付けたいスキルである。(ブログより引用)
自分のタスクを俯瞰的に把握し、最短で仕事ができることこそがセルフマネジメント能力を高めるための一番の要素としています。
文章で書くとシンプルですが言うは易く行うは難し、だと思います。
中間管理職、すなわち指示してくれる上司がいない中セルフマネジメント能力を身につけるためには、自分の頭を使って行動し、失敗し、反省し、また挑戦し・・を繰り返す方法しかないからです。
しかしこの「セルフマネジメント能力」を持った社員たちが互いに助け合い、グループとして、組織として活動できるのであれば・・それこそ個人では到底成し遂げられない大きな仕事も可能になるのではないでしょうか。
社員一人一人がセルフマネジメントができる自立した存在であれば、物理的なオフィスや中間管理職がいらない理由も分かる気がします。
リモートワークは職種限定?
リモートワークの話をすると、パソコン一つあればどこでも仕事ができるというプログラマーだからできる、ということをよく聞きますが本当にそうでしょうか。
ホワイトカラーの仕事でリモートワークが不可能と思われる職種を私は今ぱっと思いつきません。
我々税理士業界もリモートワークはもっと導入されてもいいのではないかと思っています。(税理士法との絡みの問題もありますが)
以前、クラウドの進化によって物理的な事務所の意味を考えるべき時がきているという記事を書きました。
税理士事務所でホロクラシ―型組織は実現できるのか
前述したソニックガーデン社が実践している中間管理職のいない、セルフマネジメント能力を持った社員たちが集まるホロクラシ―型組織。
もし私がプログラマーだったら、是非入社してみたい会社です。(入れるかどうかは分かりませんが^^;;)
税理士事務所でこのようなホロクラシ―型組織は実現できるのかどうか考えてみました。
プログラマーとの大きな違いは、税理士は「税理士試験に合格し、税理士会に登録」をしていないと税理士業務ができないということです。
従って、税理士事務所でホロクラシ―型組織を目指すのであれば全員が有資格者・登録者ということが前提になるのではないでしょうか。
(実際多くの税理士事務所では、職員が業務を回しているところが多いので現実的ではないですが)
「大規模組織型税理士法人」⇔「零細事務所、1人税理士」といった極端な選択ではなくその間くらいをとった互いに強みを持った税理士が横のフラットな連携によってチームとしてパワーを発揮できる「個々独立型ホロクラシー型税理士組織」は実現できるのでしょうか。
現時点では税理士法人ではそれが可能かもしれませんが、働き方となると税理士法の問題や、税理士受験生の方の業務をどうするかなど考えると難しいかもしれません。
しかし既存の枠にとらわれない柔軟な組織の発想はこの業界に特に必要だと感じています。
まとめ
私が考える理想の働き方である、ソニックガーデン社が採用するホロクラシ―型組織について考えてみました。
これから人工知能、Fintechなどが普及するにつれて人間が行っていた業務処理(特にホワイトカラー系)はどんどん少なくなることは確実です。
その流れ自体は望ましいと私は考えています。
今後は機械が行うことができないクリエイティブな仕事だけが生き残ると思います。
現在の1か所に集まって働く働き方、ヒエラルキー型組織がそういったクリエイティブな仕事をするのに適した環境なのかどうか、考えるべき時に来ていると思います。
プログラマーなどのIT職種だけでなく、税理士その他の職種でもそれは同じです。
編集後記
スープストックに久しぶりに行きました。
スープ2つ(Sサイズ)+ご飯又はパン+水の「スープストックセット」を頼みました。
「お飲み物はいかがですか?」と聞かれて一瞬迷ったものの
スープ+スープ+水+ドリンク・・液体だらけじゃないかと思いやめました^^;・・