自分の事業(会社)の利益構造を分析してみよう! 変動費・固定費とは
5/252018
カテゴリー:クラウド会計・経理
数字を毎月見ているけれど、
「最近儲かってないと感じる」
「どうやったらもっと儲けられるのだろう・・」
と考えられるフリーランス・経営者の方は多いと思います。
こういったことを考えるのに事業の利益構造を把握してみるとヒントが出てくるかもしれません。
損益分析の基本は費用を変動費・固定費に分けること
外部(株主・銀行・税務署など)に報告するための決算書は収益から費用を差し引いて利益を計算します。しかしこの情報だけではその事業の利益構造までは見えてきません。
そこで、便宜的に費用を変動費・固定費に分けるとわかりやすいです。
- 変動費・・・売上が上がれば上がるほど発生する費用
- 固定費・・・売上に関わらず発生する費用
例えば製造業であれば変動費はその製品を作るためにかかった材料費、労務費、経費が該当し、固定費はそれ以外の売上に関わらず発生する費用(家賃、人件費など)が該当します。
会社の儲ける力「限界利益」とは?
会社の利益は、
売上ー変動費ー固定費
で計算されます。
上の算式のうち、「売上ー変動費」部分を「限界利益」と呼びます。
この限界利益は、会社が生み出した価値の大きさを意味するので会社の「儲ける力」を表しているとも言えます。限界利益が高ければ高いほど会社の儲ける力が高いことを意味します。
限界利益/売上高を「限界利益率」と呼びます。この率と、固定費の額が会社の利益構造を決めています。
下記は、限界利益と固定費、売上高の関係を示した表です。
限界利益と固定費とが一致する売上高(つまり利益が0のときの売上高)を、最低限上げなければならない売上という意味で「損益分岐点(売上)」と呼びます。
この損益分岐点売上を越えれば利益が出ます。
上の図から見てわかるように、限界利益率の大きさと、固定費が損益分岐点を決めています。
つまり利益を増やすためには(損益分岐点(売上)を小さくするには)
- 限界利益率をあげるか(売上に占める変動費を抑えるか)
- 固定費を抑えるか
の2つの方法が考えられます。
自社の利益構造は?
上記を踏まえた上で、自社の利益構造はどうなっているか?を分析してみましょう。
例えば固定費が低く限界利益率が低い(変動費率が高い)事業は、次のように限界利益線がなだらかとなります。
どちらかというと小売・卸売など、薄利多売の業種に多いです。(大規模な小売・卸売の場合には固定費も高くなりますが)
このような業態の場合には参入障壁(固定費)は少ないのですが、量で勝負しなければならないということで「いかに売上拡大できるか」が鍵となります。
また、こういった限界利益率の低い事業が「値下げ」を行う場合、ただでさえ少ない限界利益が更に少なくなり、その減少分を補うために更に売上なければならない、という悪循環が発生しやすくなります。
したがって限界利益率の低い業種は値下げを慎重に行う必要があります。
一方、固定費が高く限界利益率も高い(変動費率が低い)事業は次のように限界利益線が急となります。
高級レストラン、ホテル業などですかね。
このような業態の場合、参入障壁(固定費)は高いのですが、損益分岐点を超えると一気に利益が出るといった特徴があります。
こういった業態は、「いかに顧客を惹きつけてリピーターを増やすか」といったブランド戦略が大切となります。
値下げも、場合によっては有効です。
航空会社などもあの手この手でブランド戦略を計っていますね。
一番良いのは固定費が少なく、限界利益率が高い事業
以上、
- 固定費が低く限界利益率が低い(変動費率が高い)事業(小売、卸売など)
- 固定費が高く限界利益率も高い(変動費率が低い)事業(高級レストラン、ホテルなど)
など見てきましたがこの2つは大雑把な例で実際には様々な利益構造の会社があります。
ところで一番良い(利益が出る)事業というのは
- 固定費は低いが限界利益率は高い(変動費率が低い)事業
と言えます。
そんな都合の良い事業はあるのだろうか・・と思いますが主に「人」が利益を生み出すコンサルティング業などは該当するかもしれません。
税理士などもコンサルティング業に近いといえば近く、変動費がほとんどないビジネスです。
固定費も限界まで下げることが可能です。(規模拡大を目指すと難しいかもしれませんが)
まとめ
事業(会社)の利益構造を把握するため、費用を変動費・固定費に分けて分析する方法を紹介しました。
このような会計数値を経営に活かす分野は「管理会計」と呼ばれています。
管理会計は今回の損益分析のほか、原価計算、予算管理、資金繰り、意思決定など多岐にわたります。
その中でも大事だと思うのは損益分析、資金繰りだと思っています。
より経営に密接に関係する管理会計は、税務署へ銀行へ報告するための会計(財務会計と呼びます)よりも面白いし、役立つと思っています。
管理会計の本はどれも難しいのですが、以前紹介したこちらの本は現役の経営者の方が執筆されているので説明がわかりやすく、おすすめです。
編集後記
昨日は、顧問の検討をしていただいた方のご自宅へ訪問。
私に「子供がいる」ということで親近感を持っていただいたとか。
初めていただいた言葉でしたので、嬉しかったです。
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