森博嗣さんのエッセイが大好きで、よく読んでいます。

参考記事:

[お勧め本]自由をつくる自在に生きる 森博嗣

最近読んだ、「集中力はいらない」は読んでいてとても爽快でした。

 

森博嗣さんは、研究者→作家といった経歴で、仕事がとても早いことでも有名です。

この本にも、締切の1年前〜半年前に原稿を完成させる、ということが書かれています。

そんな人だからさぞ集中力を保つために努力されているのでは・・と思いきや「集中力はいらない」(厳密に言うと、集中力だけが大切ではない)と書かれているので驚きです。

分散思考・発散思考

森さんはこの本で、集中の逆の意味で使える言葉がないが、敢えて言うならば「分散思考」「発散思考」ではないかと書かれています。

1点のことだけに集中する集中力よりも、同時に複数のことが考えられる分散思考、1つのことから思考が広がっていく発散思考が今の時代に有利なのではないかと。

逆に「集中」とは「機械のように働く」ことだとも書かれています。

森さん自身も執筆仕事に飽きたら工作をやって、そしてまた執筆に戻って・・などとじっと部屋にこもって執筆、ということがないそうです。

これを読んで、思いました。私達は幼い頃皆分散、発散思考が普通だったのではないでしょうか。

例えば私の息子を見ていると、傍目から見れば本当に「落ち着きないなあ・・」と思えます。

スマホで動画を見ていたかと思えば、歴史漫画を読み、ゲームで遊び、遊んでばかりいるのを注意しようかと思ったら今度は国語辞書で何か調べ、政治本を読み、PCを開けてeラーニングで学びたいことを学び・・といった感じです。(ちなみに部活動、バイト何もしていないので時間はたっぷりある人)

一見、「集中できない駄目な人」ですが、それぞれの作業をしているときは集中しているんですよね。

一定時間集中して、また次に移り・・を繰り替えしているのです。

確かにこれって別に悪いことじゃないかも、と思います。

大人でも集中できない

私は会社に勤務している頃、「席にじっと座って仕事をする」ことができませんでした。

(あまりそう見られることがないんですが・・)

特に経理・総務など淡々と行う事務が多かったので、すぐに飽きてしまうのです。

なのでトイレに行ったり、ちょっと会社を抜け出して散歩したりしていました。

周りを見て、「よく長時間じっとしていられるな・・」と思ったものです。(私が単に落ち着かない人間だけかもしれないのですが)

独立して仕事するようになってからは、1つの仕事をずっとしているということはなく、1日の中で様々な仕事を組み合わせています。

さらに、オンとオフの区別も曖昧なので仕事の合間に趣味をすることもあります。

他の人は違うかもしれませんが、こうすることが私にとってはベストな働き方だったようです。

ただ大勢が受ける研修に行けば「大人でも長時間1つのことに集中できない」ということがよく分かるのではないでしょうか。

始まって15分くらいは大人しく皆聞いていますが、15分経過したあたりから、スマホをいじったり、そわそわしたり、頬杖をついて寝始める雰囲気の人が出てきます。

そういった人は研修に集中していない、怠け者といったレッテルがはられますがむしろそれが普通の反応なのではないかと・・。小学校の授業などもそうですが座学、というのは基本人間向いていないのではと思うほどです。

分散思考のメリットー時間を有効活用

森さんは、分散思考のメリットとして「待ち時間を有効に使える」という点をあげています。

人間が行う作業のほとんどは「待ち時間」が存在しています。

例えば料理。何かを煮ているときに煮上がるまでぼーっと待っている人はいないでしょう。つけあわせの1つくらい準備できる時間はあるはずです。

仕事でも色んな仕事を分散して進めていくことのメリットはあるのではないでしょうか。

例えば我々税理士の仕事の1つである「申告書の作成」は時間がかかり、ミスが許されない集中力がいる仕事です。

こういった仕事こそ合間合間に違う仕事(執筆、企画など)を挟んで時間を空けてからまたチェックする、といったやり方が向いています。

一気に1つの仕事に集中してしまうとこういった方法が取れず、「休息」が必要となり逆に時間を使ってしまいます。

それに、書籍を執筆したり、企画するなどの「発想」が必要となる仕事は集中してできるものではなく、あるとき突然ひらめいたりするものです。(外を歩いていたり、趣味をしているときなど)

そういう意味では、比較的行動が自由でマルチタスクが要求されるベンチャー、又は起業・独立して1人で働くなどは、分散思考を得意とする人には合っているかもしれません。

 

まとめ

最後に、森さんの「時間」の考え方でとても共感した文章を引用します。

時間というのは、つまりお金よりも価値がある。お金は取り返せるけど、時間は使ったら戻ってこない。無駄なことに時間を使うのは、その分お金を払っていると考えてもらいたい。実際、無駄な時間を過ごすことで、どんどん金欠になっていく人は大勢いるように見受けられる。

森さんの時間への考え方が直球で書かれていますね。

「無駄なこと」というのは人それぞれで、自分の頭で考えて価値がなければそれは価値がない時間ということになります。

「集中することが善」など一部のメディアの考え方に踊らされるのではなくそこから一旦離れ、自分の頭で考えましょう、というメッセージがこの本にはこめられていると思いました。

感情に流されない、科学的論拠を基準にバサバサっと切る文章が爽快でお勧めできます。

編集後記

昨日は、月次数値チェック、眼科検診など。

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