平成27年10月より、国境を越えた電気通信利用役務の提供に係 る 消費税の課税制度が大きく見直されました。

一番早くて平成27年12月期、次に平成28年3月期の決算で既に消費税申告書への影響があった会社もあるかもしれません。

既に関係のある取引のある会社は税理士等から説明を受けているかと思いますが、ここであらためておさらいしてみたいと思います。

国境を越えた電気通信利用役務の提供に係 る 消費税の扱いが変更された背景

ある取引について消費税の課税対象となるか否かは、その取引が「国内で行われたかどうか」が要件の一つとなっています。

役務の提供の場合には、「その役務の提供が行われた場所」が国内であるかどうかによって課税対象となるか否かが判断されます。

従って今までは、役務の提供が国外で行われた場合には国外で消費されるものとして消費税の対象外となっていました。

しかしインターネットの電子書籍販売をはじめ国境を超えた取引が行われるようになったために役務の提供が国外で行われていてもその消費は国内で行われるという取引も現れてきました。

このような場合、同じ国内向けサービスであるにもかかわらず国外から提供されるサービスには消費税がかからず、国内から提供されるサービスには消費税がかかることとなり競争の公平性が保たれないなどの問題がでてきました。(例えば、Amazon(※)に対する楽天など)

そこで上記のような「国境を超えた電気通信利用役務の提供」に関してのみ、「役務の提供が行われた場所」ではなく「役務の提供を受けた場所」によって国内取引か否かを判定する基準が設けられました。

(※)Amazonなどの多国籍企業に関しては以前から法人税についても税逃れについて指摘されていました。2009年に日本の課税庁がAmazonに対して法人税の追徴課税を行ったのは記憶に新しいのではないでしょうか。この事件は日本国内にある倉庫が北米のAmazonの関連会社から指示を受けて本などを日本国内に発送していた事実があり、これが日本において課税が行われる根拠である恒久的施設にあたるのではないかということが論点でした。この件はその後相互協議となり詳しいことは公開されておりません。

電気通信利用役務の提供とは

上記の通り平成27年10月より、「国境を超えた電気通信利用役務の提供」については「役務の提供を受けた場所」によって消費税の課税対象となるか(国内取引となるか)が判定されます。

ここで「電気通信利用役務の提供」とは以下に掲げるようなものをいいます。

  • インターネット等を介して行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウエア(ゲ ームなどの様々なアプリケーションを含みます。)の配信
  • 顧客に、クラウド上のソフトウエアやデータベースや利用させるサービス やクラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス
  • インターネット等を通じた広告の配信・掲載

具体的には電子書籍の購入、グーグルアドワーズの利用(広告配信)、海外の事業者が提供するクラウドストレージ利用料金などが該当します。

ここでポイントとなるのが、あくまでここで列挙している項目は電気通信を利用して直接提供される役務の提供であるという点です。

従って単なる通信である電話やFAX、インターネット回線の利用などは「電気通信利用役務の提供」に含まれません。

例えば企業のロゴなどの著作権の譲渡がインターネットを通じて行われたとしても、著作権の譲渡 に付随してインターネットが利用されているだけなので、上記の電気通信利用役務の提供 に該当しません。

消費税は誰が納めるのか

「国境を超える電気通信利用役務の提供」に関しては、電気通信利用役務の提供を行った国外事業者が原則として消費税の納税義務があります。ただしその役務の提供が消費者向けか事業者向けかによって消費税を実際に納める者が異なります。

<消費者向けの役務提供の場合(明らかに事業者向けと分かる取引以外の取引)>

国外事業者自らが消費税を納める義務があります。

また、一定の要件を満たした登録国 外事業者から受けた役務提供だけに国内事業者側での仕入税額控除が認められます。

<事業者向けの役務の提供の場合>

国外事業者に代わり日本国内の事業者が消費税を預かって納める義務があります。この場合、日本国内の事業者は仕入れに関する消費税を認識するとともに同額の消費税を預かる仕訳を計上します。これをリバースチャージ方式と呼びます。

例えば、日本円換算で100円の電子書籍を購入した場合には以下の仕訳をきります。

借方)仕入 100 貸方)買掛金 100

借方)仮払消費税 8 貸方)仮受消費税 8

 

課税売上割合が95%以上の場合には当面影響なし

上記の取り扱いは、電気通信役務の提供を受ける国内の事業者の課税売上割合が 95%以上の場合には、当分の間、電気通信役務の提供取引は 無かったものとされます。つまり、平成27年10月以前の方法(国外取引として消費税を認識しない方法)と変わりありません。

ただし、課税売上割合が95%以上になるかどうかは期中に分かるものではないため、国境を超える電気通信役務の提供取引に該当するものがあったら区分しておくなどの対策をしておくことをお勧めします。

事業年度末に慌てないために、事業年度の初めに該当しそうな取引をピックアップし、処理方法を税理士等とすり合わせておくことが大事です。

まとめ

平成27年10月より施行された国境を超えた電気通信利用役務の提供に係る消費税(リバースチャージ方式)についておさらいしました。

ここ近年インターネットによって国境を超える取引が当たり前となり法の整備が急速に進んでいる印象を受けます。

年度末に慌てないためにも該当しそうな取引は事前に整理しておくことが重要です。

編集後記

今日は記事の中で電子書籍に触れたためふと気になり昔使っていた電子書籍2台を引っ張り出してみました。

電子書籍が出始めたころに買ったSHARPのガラパゴスとAmazonから輸入したKindle。

電子書籍が出始めたころに買ったSHARPのガラパゴスとAmazonから輸入したKindle。

一つはSHARPの初期のガラパゴスというタブレット。

ミーハー気分で発売されたと同時に購入しました。(確か2010年頃だったと思います。まだ電子書籍が珍しいときでした。)

主に日経新聞と、ビジネス新書を購読していました。

でも確か1年で生産中止になってしまったものです・・^^;;今見てみると電子ペーパーじゃないので目が疲れますね。

もう一つはAmazonの初期Kindle。まだ日本で販売されていないときにわざわざアメリカから輸入したものです。

主に洋書の電子版を買ってました。消費税はもちろんかかってません(今日の記事の問題そのままですね)。

無料3Gがついていてそれなりに使えたのですが通信速度がかなり遅いのがネックでした。

今は電子書籍は何も利用していません。

どうやら本だけはアナログ派のようです。

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