経理部は情報を創造・提供する、経営に一番近い部署
7/62017
カテゴリー:クラウド会計・経理
私は前職の税理士法人に勤める前は、複数の外資系企業に8年程度、日本の上場メーカーに3年程度勤めた経験があります。
その間一貫して経理の仕事をしてきました。
私の経験したことでいうと、
企業の経理部の評価はどこも思った以上に低く、人事異動で一番行きたくない部署にされていたりと、イメージが良くありませんでした。
私は小さな企業、大きな企業どちらも勤めたことがありますが、特に大きな企業ほど経理部が蔑ろにされていた印象があります。
しかし独立した今だからこそ分る事は、
経理部は情報を創造し、提供する経営に一番近い部署
であるということです。
経理部の仕事の大半が事務作業であった事実
企業の経理部というと、どんなイメージを持つでしょうか。
たくさんの伝票や請求書を基に、何やら難しい処理をPCの前でコツコツ行っているようなイメージでしょうか。
今思うに、経理には大きく分けて下記の仕事に分けられると思います。
- 事務作業(経費チェック、仕訳処理、振込処理、単純な資料作成など)
- 情報創造(決算書・短信・有報など外部利害関係者に必要な情報の創造)
- 情報提供(経営者が意思決定に役立つ情報(会社が利益を上げるための情報)の提供)
このうち、私が経験した経理部では1.の事務作業が7割、2.の情報創造が2割、3.の情報提供が1割(ないところも)程度でした。
私がいた上場メーカーは経理部が10人くらいいたのですがちょうど上記のような配分でした。
つまり、どこの経理部もほとんどが事務作業に終始していました。
私が「仕事をしている感覚がない」と思ったのも(特に大手の企業で)これが原因かもしれません。
クラウド会計に出会って感じた事務作業の無価値化
企業の経理部の7割程度を占める事務作業。
これは近いうちに消えていくだろう。
そう感じた理由の1つが独立後出会ったクラウド会計の存在です。
私が10年くらい前に勤めていた小規模な外資系企業では、スタンドアローン型の会計ソフトに通帳のデータを1つ1つ打ち込んでいました。
給与計算ももちろんエクセルで計算。料率の管理も大変です。
上記の作業はクラウド会計を使えば、10分の1くらいの時間でできてしまいます。
仕訳するデータはインターネットバンキングから自動的に落ちてくるので科目をつけるだけ(しかも徐々に覚えていく)、給与計算も社保率、労保率などは自動的に改定されます。
最近の話ですが、社保に必須の「算定基礎届」、労保に必須の「年度更新」も漏れなくお知らせしてくれる機能には感動しました。
つまり、企業の経理部が7割くらいの人員・時間をかけていた「事務作業」がほとんど機械で自動化される時代となっているのです。
もちろん大手の企業では他の部署で使っているソフトとの連携や複雑な会計処理ですぐには自動化できないとは思いますが、早晩、経理部が伝票を前にカタカタと取引入力・・という光景は消えていくでしょう。
経理部の本来の仕事は情報を創造し、提供する仕事
記帳に簿記の知識が必要で、それに代わるものがない時代であれば事務作業をする人の価値はあったでしょう。
しかし前述したとおり事務作業が機械に取って代わる時代となれば、
経理部もより価値のある仕事、つまり情報を創造し、提供する仕事をしなければなりません。
というよりも、便利な機械が出てくる以前から本来経理部はそのような仕事をメインに行うべきではなかったのでしょうか。
なぜ今まで会社の経理部の立ち位置が低かったかというと経営者側も
「経理部は事務作業をする部署」
「数字のことは経理部に任せておけばいい」
という意識があったからではないでしょうか。
経理部は今後経営者と一緒に事業戦略を練るくらいの重要な部署になっていかなければいけないと思います。
そのためには価値を生まない事務作業はなるべく自動化させて、人にしかできない仕事に人材を集中させる必要があります。
経理部の人員も基本的な財務会計知識の他、会社の事業に関する深い理解、他部署とのコミュニケーション能力、数値を経営に生かす管理会計の知識も必要となります。
非常にダイナミックでやりがいのある仕事です。
経理部の中途採用の求人情報を見かけることがありますが、
月20万円程度の給料で会社の事業を理解し、外部利害関係者・経営者に対して情報創造・提供ができる人材が来るとは思えません。
経営者側も経理に対する意識を改革する必要があるでしょう。
まとめ
自分が企業の経理部に属していた時の経験を基に、独立後に感じた経理部の本来の仕事のあるべき姿を書いてみました。
今思い返せば、簿記が好きで進んだ経理職への道、どうもやりがいを感じられない。なぜだろう・・と悩んでいた理由が分かりました。
本来の仕事をしていなかったからです。
企業の内部で感じた違和感は、今外部からお客様のアドバイスをしていくのに役に立っています。
経営者と直接やり取りすることにより、経営者自身が数字を見れるようになる重要さにも気づくことができました。
編集後記
グルテンフリーを意識して最近はカルディに売っているフォーをお昼に好んで食べています。
少し味は独特ですが、上にのせる具材を変えることによってアレンジを楽しめます。