英語ビジネスドキュメント・ライティングの技術 高杉尚孝著
9/102016
カテゴリー:本
英語ビジネス文書の書き方の指南書を読んでみました。
ビジネスで使うのはほとんどが英会話ではなくライティング
前職の税理士法人での勤務時代もそうでしたが、今でも外国のクライアントとのやり取りで英語を使うことが多いです。
そのほとんどが、会話ではなく文書での回答、主にメールです。
(たまにテレフォン会議などがあり聞き取れなくて苦労していましたが。。)
日本ではどちらかというと英語の文書作成よりは英会話のほうが重視されている感じがしますが、実際ビジネスで必要となるのは圧倒的に文書作成の方です。
今まで特に英語でのビジネスドキュメント作成に関しては周りの人の真似をしたりなどして体系的に学んだことがありませんでした。
この本は英語でのビジネスドキュメント作成に関するスキルはもちろん、日本語でのビジネスドキュメント作成にも役立つことがたくさん書いてありとても参考になりました。
英語は個を、日本語は関係性を重視する
この本の冒頭に、東西の世の中の整理の仕方の相違が文書に与えている影響が書かれていました。
西洋=個と集合・・・変わることのない個に宿る共通の本質をもとに個-集合関係を通して世の中を整理する考え方。
東洋=部分と全体・・・ものごとの関係性を重視することから、部分-全体という区分で世の中を整理する考え方。
例えば、英語では名詞を重視し細かく分類する点が特徴的です。
「誰が」「何が」という主語が英語文書では重視されます。
このような特徴は「変わることのない個」を重視している世界観が影響しているのでしょう。
一方、日本語では「誰が」「何が」ということを明示しなくても文書が成り立つ特徴があります。
「今日はいい天気だ」も日本語では主語がないのが普通ですが、英語では”It’s fine today.”と仮の主語を付けることが一般的です。
更に日本語では同じ意味でも呼び方が複数ある単語がたくさんあります(例えば旦那さんから見た奥さんが「妻」「家内」「嫁」「かみさん」・・と呼ぶなど。話す相手によって変わるのが特徴的ですね)。
物事の関係性から世の中をとらえる東洋の考え方が表れていると思います。
グローバルビジネスドキュメントの基本は明示・説得的な書き方
西洋の世界観の違いから、ドキュメント作成の基本姿勢も異なると著者は書いています。
英語的なドキュメント=明示・説得的
日本語的なドキュメント=暗示・示唆的
そして、グローバルビジネスドキュメントの基本は英語的なドキュメントの基本姿勢である「明示・説得的」であるとしています。
私は勤務時代、(日本語でも英語でも)自分が作成した文書のチェックを上にしてもらっていたとき、
「文章が長い」「意味が分からない」「何がいいたいのか分からない」「理解できない」
・・などと厳しく言われていました^^;;
物事を言い切る自信がなかったというのもありますが、曖昧な表現に慣れすぎていたというのもあるかもしれません。
日本語の特徴が暗示・示唆的であるにもかかわらずビジネスでは明示・説得的が求められる。
ビジネス文書の書き方の書籍が本屋さんに多いのも分かりますね。
明示・説得的な文書は訓練が必要
日本人として生まれ、日本の環境で育った私にとって明示・説得的な文書を作成することは難しいです。それなりの訓練が必要でしょう。
英語だったらなおさらです。しかしビジネスをする上で必須なのは確かです。
ところで、学生時代「書く」訓練はあったでしょうか。
ほとんどの方は学生時代には、書き手に責任のある文書(論文や評論)を書く経験もほとんどなかったと思います。
大学時代に初めて「卒論」の執筆が始まりとまどった方も多いのではないでしょうか。
ちょっと英語ビジネスライティングからそれてしまいますが、英語に限らず日本語でももう少し今の教育には「書く」授業を増やしてもいいのではないかと思います。
(それも、「感想文」とかではなく自分の主張を論理立てて書く「(小)論文」ですね)
まとめ
英語ビジネスライティングの本を読んでみました。
上記に書いた西洋の世界観から始まり、文書のロジック、パラグラフの基本、文書の展開の仕方など役に立つ項目がたくさん紹介されています。
英語の例文がたくさんでてきますが、逐次和訳はないので英語にアレルギーがある方は少し辛いかもしれません。
今後英語でのビジネス文書作成にかかわる方にはお勧めです。
編集後記
今日は夜、税理士会の行事に参加。
出会いがたくさんあり、刺激となりました。
調子に乗ってワインを結構飲みました・・。