年末調整の完全電子化を勧めなかった理由。大切なのは業務全体の効率化
3/182022
電子帳簿保存法をはじめ、
最近は会社内のあらゆる手続の電子化が注目されています。
電子化はそれ自体を目的にするのではなく、
業務全体の効率化を考えた方が良いと思っています。
完全電子化を一番に勧めなかった理由
今年の1月に、「速解!年末調整の電子化」という本を書きました。
年末調整の電子化の方法と、その手順、注意点をまとめた本です。
速解! 年末調整電子化ガイド | 戸村 涼子 |本 | 通販 | Amazon
国税庁のHPでは、
無料の年末調整の電子化ソフトである「年調ソフト」
を使った方法が「完全電子化」として「効率化効果No.1!」と
掲げられています。
出典:年末調整手続の電子化に関するパンフレットについて|国税庁
著者としても、これを一番に勧めたほうが国に忖度?できたかもしれませんが
しませんでした。
効率化効果No.1とは思えないからです。
その理由は色々ありますが、
- 年調ソフトがインストール型ソフトであること
- 年調ソフトは控除申告書データの作成までしかできないこと
- ほとんどの給与計算ソフトに年調ソフトのデータをインポートできないこと
- 電子申告機能がないこと
- マイナポータル連携が非常に手間であること
などです。
控除証明書、控除申告書をすべて電子化できたからといって、
効率化にはつながらないのです。
業務全体の効率化を考える
結果として、上記の本では
一部紙を残した案(クラウド給与計算ソフトを使った方法)をベストと紹介しています。
そのほうが、業務全体の効率化を目指せるからです。
最初から業務全体の効率化を目指せるシステムを
選び、システムに合わせて人が変わる
ことが大切と考えています。
効率化を目指せないシステムを使い続け、
一部だけ電子化しても
経理の手間が増えるだけです。
電子化は単なる手段であって、
業務全体の効率化を意識した制度設計が大切と考えています。
まとめ
年末調整の完全電子化を本で勧めなかった理由を書きました。
大切なのは業務全体の効率化ですので、
電子化自体を目的にしないことが大切ですね。
編集後記
ちょっと昔懐かしい写真が撮れる、
オールドレンズを楽しんでいます。
「こういう写真が好きなんだなあ」という気づきにもつながってます。